高天原へご案内 ③
高天原に入って数時間が経った気がして、やっと奥地らしきところにやってきた。
ヴィアンも少し疲れているようで、ゆっくり休めと声をかける。ヴィアンはその場で目を閉じ、眠り始めたのだった。
酷使してしまったかもしれないな。
「こっからは歩きだ。ぶんぷく茶が丸と狐の魔物をテイムしに……」
そういうと、突然目の前に影が現れた。
私は刀に手をかける。
「待たれよ。妾は何も害は加えぬぞ」
「誰だ?」
私がそういうと、その女は姿を現した。
頭には狐耳がついており、顔はいたって普通の人間のような顔だった。ただ、目元付近には赤いアイラインがあり、細目。
尻尾も大きく、只者ではなさそうだ。
「妾は玉藻前という。狐の神竜人……。ふふ、珍しい神様もいるものよの」
「神様?」
「妾たちモンスターにとっては神竜人は神様よの。妾は神にも反抗はするが……狐の神には抗えぬ。ふふ、ぜひとも妾を連れていけ。そなたのような神に出会ったのは初めてじゃ」
「連れていけ?」
「テイムしろということよの。それとも、妾じゃ不満かえ? そこの蜘蛛もそなたのモンスターじゃろう? もしかしてあんな見た目が好みなのかえ?」
「いや、見た目には割とこだわりはないが……」
「なら決まりじゃな。妾を玉藻前と呼んだら契約ぞ。妾はそなたの命令ならば何事もやってみせよう」
と、テイムを迫ってきた。
マツリが言っていたモンスターはこの玉藻前のことだったか。
「玉藻前は戦うとしたらSランクのモンスターだ……。Sランクは数が少なく一体一体が災害と呼ばれる強さがある。無償でテイムできるならそれに越したことがないぞ」
「妾のことを知っておるのか。ふふ、災害のう」
「……玉藻前、これでいいのだろうか」
「ふふ、契約成立よの」
《玉藻前をテイムしました》
玉藻前をテイムし、私たちについてくるようだ。見た目は本当にかわいいが裏が読めない顔をしている。よくある小説とか漫画の中じゃ裏切り者の顔してるぞこいつ。どういった魔物だろう。
玉藻前といえば鳥羽上皇の……。うーむ。わからん。
「っと、目的はそれじゃない。ぶんぷく茶が丸だが……」
「あの子か。妾が呼び寄せようぞ」
「呼び寄せる?」
「ぶんぷく茶が丸、出てこい」
そういうと、草木の陰からひょこっと顔を出す狸。狸にしてはでかく人間のようなサイズだった。おなかには茶釜のようなものがあり、ぶんぷく茶釜を思わせる。
「そなた、この男に……」
「いや、俺がテイムしにきたんです。護衛を頼んだんですよ」
「ほう、そうであったのか。ぶんぷく茶が丸よ、この男についていくんだえ」
そういうと、狸は可愛らしくおなかをたたいて返事をした。
「て、テイムできるようですね……。で、ではよろしくお願いしますね、ぶんぷく茶が丸さん」
「ぽんっ」
茶が丸はおなかをたたいて返事をした。
「とりあえずこれで高天原での用事は終わったな。帰るとしよう」
「ふふ、妾たちも仲良うしようぞ。ミツネよ」
「あ、ああ」
玉藻前はそういって私に引っ付いてきたのだった。




