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これは想定外です  作者: らんらんらん
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狂気の王子

 


 自分のコピーをつくる…?

 そんな事が可能だろうか。

 記憶を見るのだって難しいのに、赤子に記憶を移すとなると負荷に耐えられるとは思えない。リスクが高過ぎるだろう。



「もし、王子の研究が完成していたなら、王子と別人の容姿をした人物が王子になっているってことだ。複数のイカれた王子とか最悪だよな。

 まあ、これについては俺も眉唾だと思ってんだけどよ。ご先祖サマが残した手紙に、過激派の領地で魔力の強い幼子の誘拐が頻発してたって情報があってなァ…実験してたのは間違いないらしい」


「頻発ってことは、その実験台にされた子供は…生きてないですよね…」


「そうだろうな。そのヤバい王子が、ご先祖サマが持ってた“異世界人”の資料を狙ってたらしいんだわ。逃げてすぐは追っ手がいたみたいだしな。

 ヤバい王子じゃなきゃ渡しても良かったんだろうが、資料をどう使われるかわかったもんじゃねーし、貴重な資料過ぎて破棄もできない。だから、未だに守り続けてるんだ」



 確かに、“異世界人”についての資料は貴重だ。

 師匠のご先祖様達が保管してくれていた事に感謝する。だけど、その資料を破棄したら、師匠達はどれだけ自由に生きられたのだろうか。



「なんの資料が狙われたのですか?」


「…正直、どれが狙われていても可笑しくはない。王家には、俺のご先祖サマがせがんで聞いたような話の資料はなかったみたいでな。

 さっきお前にやるって言った本は、空想の物語として面白い話なんだが、他の空想の話が問題でなァ。

 死者蘇生や死霊術、錬金術について書かれている本は外には出せん。後は、“宇宙”についてだな」


「ウチュウ?」



 初めて聞く言葉に首を傾げると、師匠はガシガシと頭をかきながら困った顔をした。

 そんな顔されても、わからないモノはわからないです。



「あー俺もあんまり理解は出来てないんだけどよ、夜に星が見えるだろ?“異世界人”が言うには、この地も星の一つなんだとよ。

 空に光ってる星があるんじゃなくて、空よりもっとずっと離れたところに、この地にみたいな星が沢山あるらしい。それが、夜になると光って見えてるんだと。人がいない星も多いらしいがな。

 その数多の星のある空間を全部引っ括めて、“宇宙”と呼ぶらしい。

 それで、あの星の中の一つに、“異世界人”のいた元の世界があるんじゃないかって話だ」


「はあ、なんというか、壮大な話ですね」


「全くだなァ。ただな、この世界には転移の魔法がある上、“異世界人”はなんらかの力によってこの世界に来てる。つまり、どうにかすれば別世界に行けるってことだ」



 確かに、“異世界人”の存在が証明されているのだからあり得る話か。これ、国家機密レベルの話ですよね…



「!!さっき、王家が“異世界人”の研究資料を保管してたって言ってましたよね?」


「気づいたか。もし、彼の残した召喚魔法や帰還魔法について研究を進めていたなら、“宇宙”についても記載があった筈だ。そして、家にある詳しい資料が必要になったのだと思う」


「召喚魔法が王子の指示で研究されていたなら可能性は高いですね。…いや、アレッタ国も今回の事件も魔物の召喚、なにか魔物に関しての資料はありますか?」


「ンンん、魔物なァ。魔王ってのが出てくる話ならある」


「魔王?」



 また聞いたことのない言葉が出てきましたね。

 “異世界人”の資料を読んでからの方が話が早かったかもしれない。



「魔王と魔族ってのが魔物を操って人族に攻め込むってゆー空想の話だな」


「あの、それ、王家にも資料があった可能性ありますか?」


「…ある。勇者が魔王を倒す話があった筈だ」


「推測ですけど、魔王を召喚しようとしてる気がします。各地で起きた事件で、今まで確認されたことがない変異種が出現しています。人工的に魔物を強化する方法を確立したのかもしれません。研究がかなり進んでいるのは間違いないです」


「そうなると、関わってるのは伯爵家だろうな…」



 伯爵家の生き残りか、アルミン・カマラが生き残って研究を残したか。どっちにしても捜査をしなくては。



「師匠、また来ます」







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