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これは想定外です  作者: らんらんらん
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防衛完了

 


 300匹を超えるウルフの群れと100匹程のオーガの群れは、2時間が経つ頃には討伐が完了した。



「怪我人は左のテントで魔術師による回復を受けてください」


「魔物の処理は冒険者ギルドが担当だ。回収班に集めてくれ。素材の売上がボーナスになるから雑に扱うなよー」


「「「おおおおー!」」」


「騎士団も集めるの手伝えー」



 後続の群れが来ないか警戒しながら、門前の片付けをする。

 400程の死骸が転がっている光景は、夥しい量の血溜まりと相まってかなり凄惨だ。



『ギルドマスターのブルーノだ。東門の皆、無事で良かった。斥候の報告で、もう群れはいない。いくつかのパーティーに、群れのはぐれがいないか周辺を確認させている。南北西の門は解放した。待機してた冒険者は一部そちらに向かわせる。魔物の処理に使ってくれ』


 ギルマスからの伝達魔法の梟が、伝言を伝え終わると光の粒になって消えていく。やっと肩の力が抜ける。


「警戒解除!」

「死者ゼロで防衛完了だ!良くやった!」


「「「ウオオオオオオ!!!」」」


 雄叫びが王都の空に響く。




「いやーアンジェがいなかったらあの変異種は厳しかった。俺の愛剣がボロボロよ?」


 トビアスさんが苦笑する。


「ええ、あれは強かったですね。ドラゴンの首を切るつもりでやりました」


「マジで?そんなに?」


 そんなに。クロード様の嫌な予感は絶対アレだった。

 舐めてかかったら死人が出てたと思う。


「かなり魔防高かったですし、攻撃力も大型に匹敵してましたよ。普通のオーガの討伐がBランクパーティー推奨と考えると、アレの討伐依頼ならAランクパーティーが複数必要だったと思います」


「げえー。国が動くの遅かったら危なかったな。オリハルコンの大剣、俺も欲しいな…」


「いいですよーオリハルコン!刃こぼれしないし!作ったら連絡下さい。私と同じ魔法陣刻みますよ?」


「いいね!採掘にダンジョン潜ってくるかー」


 トビアスさんと話しながら、抉れた地面や血溜まりを魔法で片付けていく。東門の解放もすぐ出来そうだ。




 撤収の指示を出して、冒険者ギルドに戻る。

 ギルマスは難しい顔をして私達を待っていた。


「お疲れさん。さっそくで悪いが、報告を聞いてほしい。ランディスの森の調査の結果、あの群れは突然現れた可能性が高い」


「は?」


「群れの足跡を遡らせた。足跡の始まりの地は、壊れた魔導具と思われる物を中心に、森が一部枯れ果てていた。その地は、魔素が無くなっていて魔法が使えないことが判明した」


「…まさか、召喚魔法?」


「ああ。別の奴も同じ答えだった。可能性は高い」


「変な群れだとは思っていたが、人為的な襲撃だったってことか」


 召喚魔法は禁忌魔法に指定されている。


 昔、人の魔力を使って召喚魔法を研究していた者がいた。無理矢理魔力を搾り取る為に、かなりの数の奴隷が使われたらしい。発覚したのは、街一つ犠牲にした召喚魔法を行い捕まったからだ。被害者は数万人と言われている。


 今回は人の魔力じゃなくて、自然の魔素を利用したってことか。


 魔素は、空気中や植物、土地に含まれる魔力の元だ。私達の魔法は、体内の魔力を呼び水に魔素を魔力に変換して使う。昔は、魔素については理解されていなかったらしい。

 昔の魔導具は、魔石の魔力のみ利用していたが、今の魔導具は、魔法陣が改良されて魔石の魔力を呼び水として魔素を利用している。


「既に国王陛下に報告済みだ。他国の冒険者ギルドに情報共有する許可も出た。これから、荒れるぞ」


 ギルマスの言葉にハッとした。

 確かに、これはまずい情報だ。


 人為的に魔物を召喚して、どこでも襲うことができる。

 更に、自然の魔素を奪う副作用を使って土地を枯らすことも可能だ。


 魔物を完全な支配下におけるかは不明だが、数の暴力は侮れない。


 犯人を早く捕まえないとマズイ。





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