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これは想定外です  作者: らんらんらん
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また事件

 


 執務室に戻ってきたウィリアムは、困惑した顔をしていた。



「アルフォンス殿下〜、アンジェリーナと一緒に確認して欲しいことがあるんだ〜時間とれる〜?」


「急ぎか?」


「う〜ん、早い方がいいかな〜」


「なんだ?」


「確信はないんだけど〜、俺、魅了されてるかも〜?」


「「は!?」」


「い、今すぐアンジェリーナを呼べ!!急げ!!」



 ウィリアムの発言に、執務室は騒然となった。慌ててルーカスが呼びに走る。伝令を使うことすら忘れるほどの衝撃発言だったらしい。


 魔術師団の副師団長執務室にいたアンジェリーナは、汗だくのルーカスが飛び込んできて驚いた。



「ルーカス様、どうしたんですか!?」


「アンジェリーナ、とりあえずきてくれ!」



 アンジェリーナは、よくわからないまま席を外す許可を貰う。他の補佐も、ルーカスのただならぬ様子に許可を出した。

 気が動転しているルーカスを問い詰めることは諦めて、急いで王太子執務室へ向かった。

 到着したルーカスは、ノックも忘れて執務室のドアを開けた。



「アンジェリーナを連れてきた!」


「よくやった!アンジェリーナ!ウィリアムを診てくれ!」



 執務室に入ると、アルフォンスがウィリアムの肩を掴んでおり、その後ろでカルロスとクロードがウロウロしている。


 なにがなにやら。アンジェリーナは、とりあえずウィリアムに話しを聞こうと向き合った。



「ウィリアム様、何が起きてるのか教えてください」


「ごめんね〜。こんなに皆が慌てるとは思わなかったんだ〜」


「ウィリアム!慌てるに決まっているだろう!魅了だぞ!」


「え?魅了?魔法防御の魔道具外したんですか?」


「「あっ……」」


「外してないよ〜。でも、一週間くらい前からちょっとオカシイんだよね〜」



 一週間前に廊下で困っていた王宮の侍女の手助けをしてから、気持ちが落ち着かず、その侍女に会うとドキドキするし、妙に気になるらしい。


 ただ、何かが可笑しいと警戒が強まる不思議な感覚があるという。


 その侍女が、前に愛人志願してきた相手なのも警戒する理由だ。もしかして、何かをされたのではないかと。



「ふむ。魅了魔法ではないですね。ただ、興奮と思考低下が見られます。解毒魔法かけますね」


「ありがとう〜。薬盛られたのかな〜?」


「差入れを貰って食べたとかあります?」


「クロードを見てたから、女の子からの差入れは貰わないようにしてる〜」


「ああ、それは賢明な判断ですね。では、触られたりしましたか?」


「いや〜?落ちてた荷物を拾ってあげただけだし、その後も声かけられるくらい〜。あ!匂い!」


「匂い?香水ですか?」


「たぶん?なんか甘ったるい感じの匂いがした〜。普通、侍女は香水つけないから〜、お菓子でも持ってるのかと思ったんだけど、今日も同じ匂いがした〜」


「もし香水なら、無差別ですね。アルフォンス殿下、こちらに近衛騎士分隊長ギルベルト殿をお呼びしても宜しいでしょうか?」


「ああ、頼む」



 アンジェリーナは伝達魔法で、副師団長の旦那さんであるギルベルト・ヒムを呼び出した。

 王宮内の異変なら、彼が一番詳しいはずだ。



「ギルベルトさん、最近の王宮内の異変について教えてください」


「今月に入ってから数人、監視対象になってる者がいる。何か掴んだのか?」


「ウィリアム様に、先程まで状態異常がみられました。本人の証言から、原因と思われるのは、侍女のメアリー・グレシの香水です」



 ギルベルトさんの話によれば、メアリー・グレシも監視対象の一人だった。


 監視対象になっている者の近くに、最近になって接触する人が増えているが、その人達の様子が可笑しいそうだ。

 急に監視対象に好意的になったり、真面目だった者が仕事をサボったり、あり得ないミスをしたり、体調を崩している者もいるという。


 また、監視対象の男女関係が派手になっているらしい。


 監視対象に部下を接触させたが、特に異常はなく、理由がわかっていなかったそうだ。たぶん、部下の方は耐性があって効果が出なかったのだろう。



「その香水、催淫効果と思考低下、もしかしたら幻覚もあるかもしれません。デートドラッグ事件の時にも使われた、カシムカズラの分泌液を使っている可能性があります」


「待て、アンジェリーナ。ウィリアムはそんな危険な状態ではなかったのだろう?」



 アルフォンス殿下の疑問はもっともなのだが、他の被害者達との決定的な違いがある。



「浄化水晶」



 私の言葉を聞いて、自分達の胸元のチェーンブローチに目を向ける。



「ウィリアム様が感じた不思議な感覚の答えだと思われます」



 このサイズの浄化水晶では、状態異常を防ぐことは出来なかったが、軽減と警告をしてくれたのだろう。



「カシムカズラの分泌液が使われているなら、本来はかなり危険な状態ってことか」


「はい。香水として使用しているなら量は少ないでしょうが、直接肌に触れている可能性が高いので、監視対象は依存症になっているかと。被害者は、吸引した期間が短ければ解毒魔法で回復するはずです」


「ハルトン伯爵、感謝する。すぐに捕縛に動こう。失礼する」



 ギルベルトさんが、険しい顔をして退出していく。

 たぶん、魔術師団に応援要請がくるだろう。私も師団長に報告しなければ。



「皆様、今後も異変を感じたらすぐに相談してください。私も失礼します」








浄化水晶が入ってるかご型チャームのイメージは、ガムランボールだよ!



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