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これは想定外です  作者: らんらんらん
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西部の動き

 


 この偉そうな態度の王女は、自分の立場がわかっていないのだろうか。


 先日の馬鹿王子といい、今回の王女といい、他国に出すなら最低限の教育をして欲しい。


 ああ、アンジーに会いたい。





 大陸の北西部で勢力を増しているセークメト帝国が、女神教会の神官を手に入れた事によって戦線を南下させている。


 今までは、王妃様の母国のマスタン王国を攻めて、大陸の中央を獲ろうとしていたが、今回はマスタン王国を避けているらしい。


 これまでにない動きは、西部地方の国に混乱を齎した。どうせ狙いはマスタン王国だと、いつも通り高みの見物を決めていた西部の国々は、慌てて戦力の確保に動き出した。


 どこの国もマスタン王国の庇護下に入れて欲しいと願い出たが、マスタン王国に利のある国は既に同盟を結んでおり、属国にするメリットもない為、キッパリ断られた。


 なにより彼らは、長い間散々北西部の国から攻撃を受けていたマスタン王国を支援したことがない。


 更には、体格の良いマスタン王国の国民を、野蛮な戦闘民族と馬鹿にしていた。


 助けを求めるなんて、厚顔無恥にも程がある。



 大陸の東側の国々は、ほとんどがマスタン王国の同盟国か友好国であり、今回の事情も筒抜けで、今更そんな国々に擦り寄られたことに同情している。


 大陸の西部地方と南部の一部の国は、独自文化過ぎて遠巻きにされてることに、そろそろ気づくべきだ。




 目の前の一行は、西部にあるカルカイス王国からの訪問者だ。

 マスタン王国の同盟国であり、大国のラビスタ王国に目をつけるのは仕方ないが、国交もないのにいきなり王女との婚約を打診して、返事を待たずに王女を連れて訪問するなんて、焦っているとしてもあり得ないだろう。


 婚約を申し込まれたアルフォンス殿下は、婚姻したばかりだ。

 しかも、カルカイス王国とは国交が無かった為に結婚の祝いもされていない。


 無作法過ぎる振る舞いに、こちらはブチ切れ寸前だ。





 カルカイス王国の外務大臣が、国や王女のことを意気揚々と語り終わると、アルフォンス殿下が冷たく突き放した。


「遠い所をよく来られた。歓迎はしないがな」


「え?それはどういう…」


「情報収集はちゃんとしているのか?私は、新婚だぞ。祝いの品も持ってきてないとは。友好国になる気があるとは思えんな」


「も、申し訳ございません。しかしですね、」


「婚約を打診してきたようだが、我が国の言語で挨拶もろくに出来ない小国の王女を、何故娶ると思えたんだ?不思議でしょうがない」


「言語はこれから留学して…」


「あのな、政略結婚を目的に育てられた王女なら、大国の言語は幼少期から話せて当然だぞ?

 ラビスタ王国の高位貴族は、五大大国の言語は幼少期から習ってる。王族なら、最低でも10ヶ国語は話せるぞ。

 今から勉強して、公務はどうするつもりだ。そこの王女は、すぐに習得できるほど優秀なのか?」


「いえ、それは…」


『ねえ、さっきから何を話してるの?』



 外務大臣は、さっきから狼狽した表情を隠せていない。この程度の人員を送ってくるとは、ラビスタ王国を侮辱してるとしか思えない。


 言葉の解らない王女も、流石に異変を感じたのか外務大臣を問い詰めている。


 アルフォンス殿下が、西部の言語で王女に話しかけた。



『貴女がどれだけ優秀なのか聞いたのだが、彼は答えられないようだ。貴女が五大大国の言語を習得するのに、どれくらいかかるか教えてくれ』


『えっ、そんなの通訳に任せれば…』


『通訳が必要な妃など笑わせる。そんな恥ずかしい存在、聞いたことがない。カルカイス王国は、無能を私に押し付けにきたのか?』


『なによそれ。わざわざ来たのに失礼ね!』


『ハッ!呼んでもいないのに勝手に来たのだろうが。本当は国境を通すつもりもなかったが、西部の国の水準を見るのに入れたのだ。ここまで酷いとはな。礼儀を知らない国と友好を結ぶことはない。明日、国境までは送ってやる。大人しく帰ることだ』



 アルフォンス殿下の冷笑に、カルカイス王国一行はやっと自分達の立場を理解した。

 西部の国々は、今まで西部と他の一部の国としか親交を持っていなかった。一番近い大国のマスタン王国には全く相手にされず、拗らせて馬鹿にした態度をとっていた。そんな傲慢さが、ラビスタ王国をも舐めてかかった。我が国は、マスタン王国のように優しくないぞ。

 ちゃんとした外交をしてこなかったツケが、いま来たのだ。もう二度と会うことはないだろう。



「部屋に連れて行け。外に出すなよ」



 彼らは騎士に連行されるように、応接室を後にした。



「今後、西部の国は訪問を国境で止めろ」

「承知しました。手配いたします」



 ずっとピリピリしていたアルフォンス殿下の空気が緩む。



「しかしまあ、あんなのが王女とはな」


「見目はまあまあでも、マナーは下位貴族の令嬢程度だったな」


「王族が五大大国の言語を習得をしていないなんて、有り得ませんよ。教育水準が低すぎる。西部は似たような小国ばかりですし、すぐにセークメト帝国に落ちそうですね」


「あの王女じゃ、東側の国との政略結婚は無理だろうね。外務大臣も酷かったし」


「西部の国の情報収集、依頼しとくね〜。あと今日は、アルフォンス殿下の宮の警備、強化するね〜」


「ああ、頼む」



 さて、明日国境まで送るなら魔術師団に依頼しないと。

 後は、カルカイス王国の愚行を噂で流そう。西部の国が、もうラビスタ王国に来ないように。






クロード「アンジー!癒して!」

アンジー「あらあら、こんなに疲れてるの珍しいですね。よしよし」

クロード「んーもっと!」

アンジー「ふふっ、続きは帰ってからにしましょうね」


いっぱい甘やかされて、翌朝スッキリ!



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