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これは想定外です  作者: らんらんらん
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第二王子終了のお知らせ

 


「アンジェリーナ嬢、目の下の隈がすごいが…あれから寝てないのか?」


 ええ、ええ。寝てませんよ。四日目です。

 今日は絶対に寝ます。


「殿下、お気になさらず。子爵令嬢の件ですが、思わぬ大事件に発展しました。陛下には師団長が報告していますが、第一王子殿下、大手柄ですよ!」



 子爵令嬢を捕縛した日、子爵家の人間を調べた結果、我々は困惑することとなった。

 子爵家のタウンハウスの男性陣が軒並み被害者だったのだが、子爵から二人分の魔力痕が発見されたのだ。

 子爵の妾である令嬢の母は、2年前に亡くなっていたが、令嬢と同じ禁忌魔法の使用者と思われる。


 母から禁忌魔法を習ったのかと思われた令嬢は、魔法を習っていなかった。

 むしろ、教育から逃げていたようで、生活魔法も使えないし、読み書きすら怪しい。もちろん、避妊魔法も知らない。


 色々と確認した結果、令嬢が“願い”を口にする時に魔法が発動することに気づいた。

 魔法を解析すると、魅了や洗脳、思考誘導が混ざっており、傀儡を作る呪いに近い結果がでた。

 更に解析を続けると、令嬢の血になんらかの魔術の痕跡があり、血縁者にこの“呪い魔法”が遺伝することがわかった。


 そこからはもう、魔術師団はお祭りだ。

 遺伝するような魔法は一般に公開されていないが、過去には存在していたと言われており、今でも他国の王族では継承魔法があると噂がある。

 陛下に閲覧制限がある書物の閲覧を願い出て、限られた人員で調べまくった。


 結果、令嬢は“滅亡したアトラクト王国の王族の末裔”と結論付けられた。


 有名な物語には、真実が混ざっていることがある。

『悪女ダイアンが何かを願うと、男どもはこぞって先を争い死んでいった』


 アトラクト王国の最後の女王・悪女ダイアンは、“呪い魔法”の使い手だったようだ。しかも、魔法の威力は、令嬢より強力だったと思われる。

 悪女ダイアンは、王族が次々と病死した為に即位した、教育の足りていない女王だった。女王が贅沢と享楽に耽り、女王に狂った男は仕事を放棄し、貧困に陥った国は、難民に困った他国に攻め込まれた。


『城に攻め込んだ兵は、悪女ダイアンの命乞いに剣を捨てた。しかし、一人の将軍が悪女ダイアンの首を落とし、戦いを終わらせた』

 きっと、この将軍は魔法防御の魔道具を持っていたんだろう。命乞いではなく、同士討ちや寝返りを悪女ダイアンが願っていたらと思うとゾッとする。


 ただ、この“呪い魔法”は、元は平和の為の魔法だったようだ。元々のアトラクト王国の評価は、犯罪の少ない、勤勉な国だった。

 きっと、継承魔法を使った王族の演説の効果だったのだろう。


 弱い魅了が王族をカリスマとし、弱い洗脳と思考誘導が犯罪抑止と勤勉で勤労な国民を作り出す。この魔法を創った人は、戦争や犯罪が無くなることを願ったのだろう。


 継承魔法を弄ったか、勝手に綻びたのかわからないが、平和の為の魔法は、異性を惑わす“呪い魔法”となり、今回の事件で、未だに受け継がれていたことが発覚したのだ。



「アトラクト王国の王族の生き残りがいたことは、呪い魔法の危険性が高い為、他国にも発表することになります。

 令嬢の母親は旅人だったので、出身が判明しませんでした。どれだけの生き残りがいるのかわかりませんが、各国で調査がされるでしょう。

 令嬢の母親のように、一人の異性に使っている場合は発覚しない可能性が高いですが。今回は、令嬢があばずゴホンッ…奔放な性格だったことが幸いしました」


「あばず…?」


「ゴホンッ…令嬢の被害者は、かなりの人数がいました。母親が亡くなる前は、平民を相手にささやかな“願い”でしたが、子爵に引き取られた2年前から酷くなっています。子爵や異母兄に“願い”贅沢を覚え、異母兄の友人の貴族に“願い”、2ヶ月前に第二王子まで辿り着いたようです。

 残念ですが、この“呪い魔法”は前例がありません。全ての被害者は、解呪後に経過観察となりました。第二王子は臣籍降下になると思われます」


「おいおい」

「マジか」

「確かに大手柄ですね」

「素直に喜べないな」

「第二王子派閥終了のお知らせ…?」


 第一王子と仲間たち、忙しくなりますね。

 王太子が決まるのも時間の問題です。


「詳しくは陛下からお話があるかと。私も、引き続き事件の担当になった為に必要なことを伝えられただけなので」



 子爵令嬢は、数年は研究の為に生かされるが、最後は毒杯が決まっている。子供は、既に堕胎薬が使われた。血を残すリスクが高過ぎたからだ。


 後は、魔法防御の魔道具が義務付けられる日も近いだろう。

 今回、第二王子が令嬢を王宮に連れてきたが、令嬢が王宮内を自由に歩き回る(顔のいい男漁りの)為に、少なくない近衛騎士が被害にあっていた。

 効果が高い、魔力補充型の魔道具は作成できる人が少ない。

 私の稼ぎ時になるだろうか。

 魔術師団で作成させられるのは、イヤだなぁ。








魔術師団長「魔法防御の魔道具の作成を、魔術師団総出で行う。一月千個納品!」

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