意外な再会
今日は、王宮で夜会だ。
王妃様の母国の第一王子が外交で来ているらしい。側妃様の血筋が入ってるからうんぬんかんぬんの王子である。
お近づきになるのは、果たして、第一王子か第二王子か。
クロード様のエスコートで入場し、暫くして、入場した王族への挨拶に並ぶ。
新興貴族の私は、まだ家族もいないし、この時間は憂鬱。
やっと順番になり、陛下に挨拶して、クロード様と合流する為に歩いていると、声がかかった。
「アンジェ…?」
声の主に顔を向けると、この国のデザインではないけど、正装と思われる服をきた、でっかい男性がいた。噂の王子かな?
「やっぱりアンジェじゃないか!」
でっかい男性は、笑顔でこちらに寄ってきた。
なんで名前知ってるんだろう?親しげに呼ぶのやめて欲しい。
「大きく…はなってないな!ハハハ」
失礼だな、王子(仮)
「ジルフォード殿下、ハルトン伯爵とは知己だったのですか?」
うちの第一王子が助けに来てくれた。そして、この人やっぱり王子だった。
「ああ!彼女とは、数年前に我が国で発生したキメラの討伐時に一緒になったんだよ!」
「ああ、彼女は冒険者としても有能でしたね」
「そうそう、この小さな体で本当に強い!」
ああ?確か、緊急依頼でキメラの討伐受けたことあったな。国の軍と共同作戦だったはず。
「当時、軍部に所属してた私も討伐に参加したんだが、彼女に助けられたんだよ!
噛みつかれそうになったところを、彼女が私を蹴り飛ばしてくれたおかげで生き残れた!」
ファ?そうだったかな…?そんな事あった気もするけど覚えてないなぁ…
第一王子ごめんなさーい!そんな目で見ないで下さい!
ソッと視線を泳がせた。うん、誤魔化そう。
「殿下、命の危機とはいえ、その節は失礼いたしました」
「いやいや、あの時アンジェが助けてくれなきゃ私は生きてないよ!キメラの腹の中さ!
軍に勧誘しようと思ったらもう出国してて残念に思ってたけど、再会できて良かった!
アンジェ、あの時はありがとう」
「殿下がご無事で良かったです。申し遅れましたが、私、アンジェリーナ・ハルトンと申します。若輩ながら伯爵位を賜りました。今は冒険者活動はしておりませんが、王宮魔術師団に所属しております」
「アンジェはこの国の者だったのか?」
「はい。この国のロウウェル伯爵家が生家でございます」
「そうかー。残念だが、勧誘は諦めよう」
「ジルフォード殿下、ハルトン伯爵には私も助けられております。お気持ちは分かりますので、協力が必要な時は、私にお声掛けください」
「おお、アンジェはアルフォンス殿下と親しいのか?」
「私の側近のクロード・ハイエンドルとハルトン伯爵は婚約していますので、その縁で親しくしております。ああ、そういえば、彼女は2ヶ月後に結婚式を控えていますね」
「何!こんな小さいのに、もう結婚するのか!」
そうだ!彼の国は、国民みんな高身長で筋肉マッチョが多いんだ!
男は身長2メートル以上ばかりだし、女でも180センチ以上がいっぱいいた!
思わず、王妃様見ちゃった。ああ、180センチくらいあるわ。
陛下が190くらい、第一王子も190くらい。
第一王子、筋肉マッチョじゃなくて良かった。
思い出してきたぞ。
緊急依頼で駆けつけたのに、当時150センチくらいの私が戦うのを渋られたんだ。
参加させて貰えなくてイライラしてたら劣勢になって、我慢できずに、噛みつかれそうになってた軍人蹴り飛ばして、魔法でキメラも吹っ飛ばしたわ。
討伐後に、皆にやたら頭を撫でられて、褒められて、居心地悪くてすぐ出国したっけ。
「ジルフォード殿下、我が国の女性はそちらの国ほど身長が高くないのですよ」
「ああ、そうだったな。
アンジェは討伐に参加した者たちに可愛がられてたから、結婚することを伝えたら皆びっくりするだろうな。
未だに、あの戦い振りは話題に上るんだ。国に帰ったらアンジェに会ったと自慢しよう。
結婚祝いも贈らせてもらうぞ!我が国の小さな救世主よ!」
「それは、ハルトン伯爵も喜ぶでしょう」
「え、ええ。とても嬉しく思います」
なんか、第二王子はもう割り込めないんじゃないかな?私のせいですか。うん、そうですね。
蹴り飛ばしたんだけど、なあ〜…。この展開は吃驚だわ。脳筋国家、恐るべし。
「ハルトン伯爵、今度、他の武勇伝も聞かせてくれ」
(意訳:全て吐け)
第一王子の捨て台詞がオソロシイ。
他国の出来事、そんなにあったかな〜
「アンジーの武勇伝、私も聞きたい!」
うん、クロード様はずっとそのままでいてください。
「思い出したら、お話しますね」
国に帰ったジルフォード
「小さな救世主アンジェに会ったぞ!小さいままだった!ガハハ!」




