終章 それぞれのレゾンデートル その19
終章 それぞれのレゾンデートル その19
「とりあえず、離れてもらおう!」
空間移動してきた三栖先生を、座標移動で遠くへと移動させる鈴原先輩。
「あらあら? 先生も嫌われたものね~」
三栖先生は、急に自分が移動したことに驚いた様子をみせていたが、余裕そうにしていた。
「宇佐見くん、今の能力は?」
「おそらく、明凛朱の能力『エスパース』、空間を操る能力の一部だと思います」
「なるほど、あれがそうなのね。厄介ね」
先程の三栖先生の使った能力について如月会長に聞かれ、俺は答える。
「あの杖、如月会長の能力で消せないんですか?」
朋が尋ねてくる。
しかし、如月会長は首を横に振った。
「あの杖がどういう原理か分からない以上、無理ね。私が消せるのは触ったものだけ。触った瞬間に能力が奪われるというのなら、その瞬間に私は能力を失う」
「う~ん、やはり如月会長は優秀ね」
如月会長が朋に答えていると、先程と同じように急に姿を現す三栖先生。
「また!? このっ!」
「よせ、朋! 俺たちは能力を奪われてるんだぞ!」
「でも!」
飛び出そうとする朋を抑える晃。
三栖先生はそんな二人を無視し、杖の先端を如月会長の方へと向ける。
そして、勢いよく如月会長の方へと突き出した。
「させるか!」
鈴原先輩が能力を使い、如月会長を移動させようとする。
「鈴原くん、違う! 逃げなさい!!」
と、同時になぜか如月会長が声を上げ、鈴原先輩に注意した。
「えっ?」
如月会長は移動せず、そのまま。代わりに鈴原先輩が驚きの声を上げた。
「これで、3人目。あと半分♪ 移動系の能力は面倒なの、ごめんなさいね?」
如月会長へと突き出された杖の先端。しかし、それは如月会長の前で姿を消し、鈴原先輩の背後から現れていた。
如月会長ではなく、鈴原先輩の能力が奪われた。
(能力を奪った直後ならいけるか?)
俺は一度、刀を納める。
「真天一刀流、四の型! 絶影剣!」
三栖先生の横側から飛ぶ斬撃を放つ。
ババーンッ!
しかし、斬撃は届くことなく、途中で爆発し相殺された。
辺りに煙が舞う。
「飛ぶ斬撃、話には聞いていたけど、危なかったわ」
(今のは、空間が爆発したのか!? 明凛朱と朋、両方の能力か。なら、やはり直接やるしかないか)
俺は、走って三栖先生の元へと向かう。
「はぁー! 一の型、虎月!」
キーンッ!
俺の剣技を杖の先端で受け止める三栖先生。
(思ったより宝石みたいな部分が固いな。すぐに壊せそうにないか)
「今度は直接来たわね? でもいいのかしら、刀を失うわよ?」
三栖先生は、ゼロの能力を使い、俺の刀を消す。
もちろん、俺がこの能力を警戒していないはずがない。俺はわざと、ゼロの能力を受けた。
(三栖先生が油断するこの一瞬が勝負!)
俺はすぐに能力を使い、刀を元に戻す。
刀が戻ったことに一瞬驚く三栖先生。
「真天一刀流、五の型! 瞬迅暁!」
(杖だけでも壊させてもらう!)
「うおおおお!!」
前方へと高速で斬撃を繰り出し、杖の先端部分へと集中して当てていく。
ピキッ!
(ヒビが入った! これなら!)
わずかに宝石のような部分にヒビが入る。
これには、三栖先生も焦った表情を浮かべた。
「くっ! やらせないわよ!」
そう言うと、三栖先生は、俺を遠くへと移動させた。座標移動、鈴原先輩の能力だ。
「くそ、もう少しだと思うんだが」
「残念だったわね、宇佐見くん。でももうやらせないわ!」
三栖先生は、俺をギリッと睨んできた。
「あら、余所見はいけないですよ、三栖先生?」
と、このタイミングで、三栖先生の目の前から急に如月会長と麗先輩が現れる。
二人は、今まで如月会長の能力で姿を消していたらしい。
「いきます!」
パンパンパンパン!!
早撃ちで三栖先生を銃撃する麗先輩。
ピキキッ!
杖の先端の宝石に更にヒビが入る。
「もう一度!」
麗先輩が再び銃を構え、銃撃しようとする。
しかし、それは叶わなかった。
二人の横に、もう一人の三栖先生が現れる。そして、そのまま持っている同じ杖でゼロの能力を発動。
麗先輩の銃は消されてしまった。
と、同時に、三栖先生は杖から赤黒い光を発射、二人に浴びせた。
「きゃ!」
「やられたわね」
「これで、5人。そして……」
三栖先生は俺の方へと顔を向ける。
「麗先輩! 如月会長!」
俺は二人を助けようと、先程まで俺がいた場所に戻ろうと、能力を発動させようとした。
だが、
「なっ、後ろから!?」
俺の後ろの空間が裂け、3人目の三栖先生が現れる。俺は、その手に持つ杖に後ろから突かれ、能力を奪われてしまった。同時に、ゼロの能力により刀を消される。
「そして、6人! これで終わりね」
三栖先生は、あははは! と高笑いをあげた。
(能力に、刀まで。何か、他に何かないか? もう本当に終わりなのか?)
俺たちに絶望感が漂ったその時だった。
「銀、諦めるな!」
「え? この声は父さん!?」
声が聴こえた方へ振り向くと、そこには父さんの姿があった。




