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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
終章 それぞれのレゾンデートル

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終章 それぞれのレゾンデートル その18

終章 それぞれのレゾンデートル その18


(あの、三栖先生が取り出した杖、あれはなんだ? なんだか嫌な感じがする)


俺は三栖先生が取り出した、先端に赤黒い大きな宝石のようなものがついた杖を見ながら、異様な雰囲気を感じていた。


「みんな! あの杖、なんだか妙だ。気をつけよう!」


「ふむ、確かに意味深だな。だが、三栖先生は無能力者だぞ?」


鈴原先輩がそう言うと、三栖先生は少しイラッとした表情になる。


「無能力者、それが何か問題かしら? やはり能力者になった人には無能力者の気持ちなど、理解できないでしょう!」


三栖先生はそう言うと、持っていた杖を床にダンッと打ちつける。

杖から、一瞬ではあるが、3つの赤黒い光がどこかへと飛び出したように見えた。


「うおっ、びっくりした!」


「晃、大丈夫か?」


「あぁ。急に光が飛んできたから、遠距離攻撃かと思ったけど、違ったみたいだな。あっちの方へ飛んでったぜ」


晃は俺たちが入ってきた入り口の方へ指をさしながら答えた。


(外したのか? いや、それとも)


三栖先生の方を見るが、表情は変わらず分からない。

先程、“無能力者”と呼ばれた時とは違い、寧ろ落ち着いて見える。


「とりあえず、あの杖を壊せばいいんだろ?」


晃が大剣を振り上げ、真っ先に三栖先生の方へと向かっていく。


「中森、注意しろよ!」


「任せて下さい、鈴原先輩! おりゃあー!!」


晃はいつも真っ直ぐ向かう所を、能力を使い、右に左に高速移動しながら向かっていく。

そして、三栖先生の手前で、その周りを高速移動して、グルグルと周り始めた。


「これなら、どこから攻撃するか分からないだろ!」


「おぉ! あれなら確かに分かりづらいな。いつもと違って、中森も考えたな!」


鈴原先輩も珍しく感心していた。


「ここだぁー!!」


晃は、スピードを乗せて、三栖先生の後方から一気に突っ込んでいく。

しかし、三栖先生はこれに動じることなく、先程と同じように杖の下で床を叩く。

すると、杖の先端の宝石から赤黒い光が飛び出し、その光が晃へと直撃した。


「おっとと! あ、あれ?」


光に当たった晃は、なぜか急に失速し、バランスを崩し、三栖先生の手前で倒れた。


「あら、どうしたのかしら、中森くん? そんな所に寝てると邪魔よ!」


三栖先生は、持っていた杖で晃を殴ろうとする。


「させないわ! ハァー!!」


そこに一人、朋が飛び出し、杖の先端へと拳を突き出した。

いつもと同じように爆発が起きる。が、それも一瞬で消えてしまった。


(なんだ、朋の爆発が打ち消された?)


「な、何? くっ、もう一回!」


朋が再び拳を突き出す。しかし、今度は爆発自体が起きなかった。


「えっ!?」


これには朋も驚き、一瞬動きを止める。

三栖先生はこの隙をつき、杖の先端で朋の腹を殴った。


「がはっ!」


その場にうずくまる朋。


「この野郎がぁー!」


晃が怒り、大剣を振り降ろす。


「ふっ!」


三栖先生が杖を振るうと、先端が怪しく光り、晃の大剣は一瞬にして消え去ってしまった。


「な、なんだ? 俺の武器が!?」


(あれは、まさか“ゼロ”の!?)


「晃! 朋を抱えて戻ってこい!」


(あの杖は、やばい!)


俺は危機を感じ、晃に指示を送る。


「あ、あぁ、分かった!」


晃は、自分の武器が無くなったことにショックを受けているようだったが、俺の指示が聞こえ、朋の方へと行き、朋を抱える。


「今だ! 晃、一旦こっちに戻れ! あの杖に近づくな!」


しかし、晃は一向に戻る様子を見せない。


「わ、悪い、銀。俺の能力が発動しねぇ!」


晃は焦りながら、衝撃の事実を口にしてきた。


(能力が発動しない? そうか、あの光か!)


「麗先輩! 鈴原先輩!」


俺は二人の先輩の名前を呼ぶ。


「うん!」


「あぁ、任せろ!」


パンパンパン!

乾いた銃撃音が響く。

麗先輩が三栖先生を銃撃。


「はっ!」


しかし、三栖先生は杖の先端を光らすと、その銃弾も消し去った。


(やはりそうなるか。やっぱりあれは“ゼロ”の能力だ)


麗先輩が銃撃している間に、鈴原先輩が能力を使い、朋を抱えたままの晃を座標移動させて、こちらに戻した。


「中森くん、早瀬さんをこっちに!」


「は、はいっ!」


晃は抱えていた朋を、麗先輩へと預ける。

麗先輩は能力を使い、朋の傷を癒した。


「ありがとうございます、楽々浦先輩」


「朋、回復したばかりで悪い。確認なんだが、能力は発動するか?」


俺が朋に尋ねる。しかし、朋は首を横に振った。


「ううん、無理みたい。一回目の時に何かされたみたいで、もう使えないの」


「やはりそうか」


「宇佐見くん、あなたも気づいたのね?」


如月会長が確認するように聞いてくる。


「えぇ、恐らくあの杖、それからそこから出る赤黒い光は、能力を奪う力があるんだと思います」


俺がそう説明すると、急に目の前の空間が歪んだ。

そして、そこから三栖先生が一瞬にして姿を現す。


「いい洞察力ですね。正解です。この杖は、能力者の能力を奪い、そして、それを自由に使うことができます。こんな風にね♪」


(空間を捻じ曲げて、空間移動してきた。これは、明凛朱の能力か!)


「さて、続きをしましょうか。どう足掻いても、あなた達に勝ち目の無い戦いを、ね♪」


三栖先生は、俺たちを一瞥し、怪しく微笑んだのだった。




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