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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
終章 それぞれのレゾンデートル

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終章 それぞれのレゾンデートル その11

終章 それぞれのレゾンデートル その11


「はっ! せいっ! くっ、まだまだ! 虎月!」


明凛朱は能力を使い、同じ場所から二本の刀の切っ先を左右上下と不規則に繰り出してくる。


「わぁ、お兄ちゃん、よく対応できるね! やっぱりすごいなぁ♪ それじゃあ、これはどう?」


すると、明凛朱は勢いよく二本の刀を前と後ろに突出す。


(まさか!)


俺は、前から現れた切っ先を避けながら、後ろから現れた切っ先を刀で弾く。


キーンッと高い金属音を辺りに響かせた。


(エスパース、上下左右に前後か。それに明凛朱自身が空間移動してくるのも考慮しないといけない。思った以上に厄介な能力だな)


「う〜ん、これもだめか〜。どうやればお兄ちゃんに攻撃が当たるかな?」


「なんだ、今ので最後か?」


「にひひ♪ そんなことないよ。まだまだ能力を使った攻撃はあるんだから♪」


「そうか。なら、何かされる前に、こっちもそろそろ反撃させて貰うよ」


俺はそう言うと、刀を鞘に納める。


「四の型、絶影剣!」


居合いの構えから飛ぶ斬撃を放つ。

俺はそのまま、再度刀を鞘に納め、再び居合いの構えを取る。


(明凛朱の後方、あそこは以前の俺がいた場所だ。あそこなら……)


俺は能力を使い、居合いの構えのまま、明凛朱の後方へと戻った。


「もう一度! 絶影剣!」


俺は明凛朱の後方からも飛ぶ斬撃を放った。


(これならどうだ?)


二つの斬撃が明凛朱へと迫る。

明凛朱は、その斬撃が迫ってくる方向の空を、二本の刀で斬り、ニコッとこちらに笑みを浮かべた。


(何をしたんだ?)


俺が考えていると、明凛朱が斬った空間が、大きく歪み、そして、空間が斬り開かれた。

絶影剣による斬撃が、その空間の穴に飲み込まれ、明凛朱に届くことはなかった。


(飲み込まれた!?)


しかし、それだけでは終わらない。

明凛朱は一本の刀で空中に円を描く。

その直後、俺の目の前に空間が開かれ、そこから二つの斬撃が勢いよく現れた。


「ハァーッ!」


間一髪、俺は自身で放った二つの斬撃を刀で相殺した。


「まさか、絶影剣の斬撃ですら空間移動させるなんてな」


「ダメだよ、無闇に斬撃を飛ばしちゃ。明凛朱ならどんなものも空間移動できるんだからね♪ でも、うまく捌かれて、ちょっとショックかも?」


明凛朱は残念そうな表情をわざとらしく見せてきた。


「ショックだから、明凛朱、必殺技使うね♪」


「必殺技?」


「うん! お兄ちゃんでも、これなら対処できないと思うな♪」


「なら、それも受け切って、明凛朱の目を覚まさせてやるよ!」


俺がそう言うと、明凛朱は急に怒り始めた。


「目を覚ます? お兄ちゃん、なにか勘違いしてるよ? 明凛朱は単純に、お兄ちゃんと戦いたいだけなの!」


「戦いたいだけなら、俺たちと一緒にいてもできたはずだ! やつらの仲間になる必要なんてなかった! それにな、そんなの剣術でもなんでもない。明凛朱に刀を持つ資格なんかないんだよ!」


「うるさいうるさいうるさい! お兄ちゃんもおじいちゃんと同じことを言うんだね? 明凛朱、そんなの分かんない! 明凛朱はただ楽しみたいだけなの! それなのに……。お兄ちゃんなんか死んじゃえ!」


「昔から変わらないな。信念を持って戦うことの強さを教えてやるから、来い!」


俺は刀をギュッと持ち直した。


「明凛朱の必殺技、くらえ! 霧斬乱舞(きりきりらんぶ)!」


明凛朱は、今までとは比べ物にならないくらいのスピードで二本の刀を縦横無尽に振るう。

空間移動の能力を使い、無数の斬撃を雨のように俺へと降らせた。


「死んじゃえ! 死んじゃえ! 死んじゃえ!」


「うおおおお!!」


俺はその無数の斬撃を全て刀で受けていく。

乾いた金属音を斬撃と同じ数だけ響かせた。


「なんで! なんで当たらないの! 当たってよ!」


「確かに、すごい斬撃だ! 独学でよくここまでの技を生み出したと思う。だけど!」


「明凛朱の刀は、()()!」


俺は、斬撃を刀で受け止めながら、明凛朱の二本の刀を弾き飛ばした。


「あっ!」


明凛朱の二本の刀は宙へ飛んでいき、離れた地面へと突き刺さった。


「明凛朱の必殺技が……。あはは、明凛朱の負けか。負けちゃった。悔しいな。悔しいよ、お兄ちゃん」


明凛朱は戦意喪失し、その場でしゃがみ込んでしまった。


「明凛朱の必殺技は明凛朱らしくてすごかったよ。だけど、明凛朱の刀は軽かった。想いが込められてないからだ。俺の刀にはみんなの想いが込められている。そんな刀に負けるわけにはいかないんだ」


「想いを刀に……」


「俺は先に行く。明凛朱はしばらくここで考えるんだ。明凛朱自身、どんな想いを刀に乗せるかを。“ただ戦いたいから”、それだけじゃ弱いままだから。想いを見つけて、それを刀に乗せる。それができて、初めて立派な剣士だ。その時に、また相手してやるさ」


「お兄ちゃん。うん、わかったよ。明凛朱、ちゃんと考えるね」


明凛朱はしゃがみ込むのをやめ、すくっと立ち上がった。

そっと明凛朱の表情を見る。真剣な表情をしていた。


(ハハ、これなら立ち直るまで時間はかからなさそうだな。さて、少し時間がかかったな。みんなが心配だ、急ごう。)


俺は明凛朱をその場に残し、足早に、先へと進んで行った。




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