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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第4章 幻獣の棲む島
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第4章 幻獣の棲む島 その7

第4章 幻獣の棲む島 その7


銀たちが、霧の中から出てくる少し前。

銀・麗サイド。


「今更なんだけど、一つ提案があって」


「提案ですか。どんな感じですか?」


「うん、宇佐見くんしかできないんだけど、霧全体をなかったことにできないかなって」


そう、楽々浦先輩が聞いてくる。

俺にしかできなくて、霧全体をなかったことに、か。


「そうか! 霧が発生する前に戻せばいいんですね?」


「うん! できないかな? そうすれば、霧から脱出できるかなって」


「よしっ! やってみます!」


こうして、俺は島全体を意識し、能力を使い、霧が発生する前に戻したのだった。

そして、今に至る。




「やりましたね、楽々浦先輩!」


「宇佐見くん、ありがとう!」


能力を使い終えると、先程までの霧が嘘のように晴れていた。

辺りを見回すと、他のメンバーも近くに全員いた。


「ふふふ、宇佐見くん、能力を使ったわね?」


如月会長に尋ねられる。


「はい、うまくいって良かったです」


如月会長は予想通りといった感じだ。

如月会長の隣りにいる鈴原先輩は、俺と楽々浦先輩を交互に眺めている。


「なるほどな、やはり楽々浦は怖がっていたようだ。だがまぁ、仲がいいのは分かっていたが、霧の中で少し進展したようだな?」


鈴原先輩の話を聞き、楽々浦先輩は慌てて俺から手を離した。

楽々浦先輩を見ると、顔が真っ赤だった。


「こ、これはその、怖かったわたしを守ってくれただけで、その仲が進展とかそんな」


「俺は、もっと楽々浦先輩と仲良くなれたかなと思いましたよ?」


俺がそう伝えると、楽々浦先輩はあうっと言って、頭から湯気を出したかのように、更に真っ赤に染まった。


「はっはっは! 銀、よくやったのおー!」


声のした方を見ると、少し離れた前方に師範がいた。


「師範も無事でしたか。良かったです」


そう答えつつ、ここで初めて、師範の前の方に見たことがない女性がいるのが見えた。


(誰だ、あれは?)


すると、その女性が師範の方へ向き、口を開いた。


「なるほど、あの男の子が、さっきあなたが言っていた、霧を壊すことができる者ね?」


「あぁ、そうじゃ。まだ若いが、十分強いぞ?」


「ふぅん?」


そう言うと、女性はジッとこちらを見てきた。


(なんだ、あの女性。この感覚、どこかで感じたような?)


「あなた、名前は?」


「宇佐見銀、師範、相楽宗有の弟子です」


俺が答えると、女性は急に笑い始めた。


「あははは! そう、あなたが宇佐見銀くんね。“ゼロ”から聞いてるわよ」


“ゼロ”、その単語を聞いて、先程感じた感覚を思い出した。


「まさか、黒キ原点か!?」


俺は咄嗟に、刀に手を置く。

先日の話を聞いていた如月会長たちも、俺の声を聞き、戦闘態勢に移った。

しかし、女性は微動だにしない。


「正解よ。ただ、わたしは今日は戦いにきたわけじゃないの。実験に来ただけ。それも終わったから帰ろうと思ったのだけど……。あはは、血の気が多いみたいね、やっぱり少し遊んでいこうかしら?」


そう言うと、女性は着物の下から扇子を二つ取り出した。


「黒キ原点が一人、エンチャント、お相手します!」


宣言と同時に、女性、エンチャントは、俺の元へとすごいスピードで迫り、持っていた二本の扇子を振り下ろしてきた。


ガガンッと鈍く重い音が辺りに響く。


「鉄扇か!」


俺は刀でエンチャントの攻撃を受け止めていた。


「いい反応ね♪」


「宇佐見くん、下がって!」


そこに楽々浦先輩が声をかけてくる。

俺がバッと下がると、楽々浦先輩が銃弾を撃ち込んだ。

しかし、エンチャントは、これを後ろに下がり避けた。


「いいタイミングね♪ 息があったいい攻撃よ」


「あら、まだ終わりじゃないわよ、お姉さん?」


エンチャントの避ける先を予想し、能力で姿を消していた如月会長が、エンチャントの後ろに姿を現す。そして、そのままエンチャントに触れようとした。


これにはエンチャントも驚いた様子だったが、タイミング的にはバッチリだったこの攻撃を持っていた鉄扇で強風を起こし、如月会長を吹き飛ばし、回避した。


「う〜ん、惜しかったわね」


如月会長は、少し悔しそうな表情をした。


「流石に多勢に無勢だったみたいね。でも楽しいわ。色々な能力者がいるのね♪」


エンチャントは楽しんでいる感じだ。ゼロといい、なんていうか底が知れない。


「はっはっは、銀たちもやりおるわい! どれ、それじゃあ、わしも」


師範は自身の刀を抜き、構える。

その光景を見て、流石にエンチャントも焦りの表情を浮かべる。


「あら、流石にそれはまずいかしら。わたし一人では荷が重いわね〜、どこかに助けてくれる人はいないかしら?」


エンチャントがそう言いながら、後ろを振り向くと、


「遊んでいるからだ、エンチャント。実験が終わったら帰るように言われたはずだろう?」


仮面をつけ、刀を所持した男が一人、どこからか現れた。


(なんだ、この男? 異様だ。ハッキリと分かる。ゼロやエンチャントとは比べ物にならないくらい強い!)


「ふむ、誰かはわからんが、こちらはわしが相手した方が良さそうじゃな? 銀、そちらは任せるぞ?」


「はい、分かりました! 師範もお気をつけて!」


現れた男が気になるが、俺は目の前のエンチャントに集中することにした。


「さて、能力者のみなさん、第二ラウンドといきましょう♪」


こうして、エンチャント対俺たち、師範対謎の仮面剣士というそれぞれの戦いが始まった。




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