第2章 反能力者主義 その6
第2章 反能力者主義 その6
「楽々浦先輩、まずはどこに行きましょうか?」
一緒に施設外を担当することになった楽々浦先輩に俺は尋ねる。
「とりあえずこのまま道沿いに行って、学生寮の方に向かった方がいいかな。近くの生徒会棟周辺はたぶん会長が鎮圧したと思うし」
そう言いながら、楽々浦先輩は何やら準備を始めていた。
「楽々浦先輩、それは?」
「あ、これ? うん、さっきは足がすくんじゃったけど、わたしも戦おうと思って。持ち歩いてて良かったよ」
楽々浦先輩の手には、小型の拳銃が握られていた。しかし、どうがんばっても、小さい子がおもちゃの拳銃を握っているようにしか見えない。
「あ! 今、宇佐見くん失礼なこと考えてるでしょ?」
「いえ、そんなことないですよ。誰も、子供がおもちゃの拳銃で遊んでるようになんて見えてないです」
「もー! また、そうやって先輩をからかって! だいたいいつも宇佐見くんは……って、まだ話の途中なんだよ! 待て―!」
怒る楽々浦先輩が追いかけてくるのを背中に感じながら、俺は学生寮へと向かったのだった。
「楽々浦先輩、少し止まってください」
学生寮手前、そこで後ろの楽々浦先輩を止める。
「どうしたの? 宇佐見くん」
尋ねてくる楽々浦先輩に、指で上空を差し、それを教える。
「空? あ、あれは!」
学生寮前の上空に、小型のドローンが3体飛んでいる。よく見ると自動小銃のようなものを搭載している兵器ドローンだ。
「すみません、楽々浦先輩。ちょっとこのまま……」
「ううん、宇佐見くん、ここは任せて」
そう言うと、楽々浦先輩は持っていた拳銃を空に向け、3発撃ち込む。
ガン、ガン、ガンと3連続で鈍い金属音が聞こえたと思うと、3体の小型ドローンは墜落していった。
「すごい腕前ですね、楽々浦先輩。正直驚きました」
「えへへ~。どんなもんだ! いつも朝に練習してる結果が出て良かったよ。これで、わたしも戦えるって証明できたね」
「それじゃあ、これから少し頼らせてもらいますね」
俺がそう言うと、楽々浦先輩は任せてという顔をしていた。
そのまま学生寮前まで進むと、大型の人型ロボット1体に、再び小型のドローンが姿を現す。
「楽々浦先輩は小型ドローンを!」
「大きいのは任せるね!」
俺が全速力で前に飛び出すと、小型ドローンの照準がこちらに向く。
と、同時に楽々浦先輩が3発続けて打ち込む。最後に俺がそのまま大型のロボットを斬り、一気に4体を片付けた。
まさに、見事な連携プレーだ。勢いそのまま、俺と楽々浦先輩は、学生寮周辺の敵勢力を鎮圧した。
「おーい! おーい!」
なんだ?遠くから声が聞こえる。
段々と声が近くなってきたと思うと、正体がすぐにわかった。
「おーい! 銀!」
「宇佐見くーん!」
商店街の地下で別れた、晃と朋だ。
「晃! 朋! 良かった、無事だったんだな!」
「そっちこそ! 無事だったんだな、銀」
「いやいや晃、宇佐見くんなら無事でしょ」
少し疲れは見えるが、二人も無傷のようだ。
「二人が来たってことは、繁華街はもう大丈夫なのか?」
「うん、鈴原先輩と、あと犬山さん! あの人すごく強くて! バッタバッタと素手で、ロボットを投げ飛ばしてたよ! もうほぼ鎮圧した感じ」
報告する朋は少し興奮気味に語る。まぁ、あのがたいの良さだから強いとは思ったが、素手でロボットを投げ飛ばすのか、やはり犬というよりは熊みたいな人のようだ。
「良かった~。繁華街はもう大丈夫なんだね。少し安心したかも」
「あ、こんばんは! 楽々浦先輩!」
「あはは、うん、こんばんは早瀬さん」
楽々浦先輩が小さくて、朋の妹のように見えると思ったが、さすがに口には出さないことにした。
「こんばんは先輩。って、うおっ! 先輩も戦ってるんですか!?」
晃は楽々浦先輩の手に握られた拳銃を見て驚く。
「うん! わたしも戦ってるよ。ね、宇佐見くん?」
「あぁ、楽々浦先輩の拳銃の腕前はすごいぞ!一発で確実に小型をドローンをぶっ壊すんだからな! 小さいけど」
「あぁ! またバカにする! 宇佐見くん、もうちょっと先輩として敬ってくれないと撃つんだからね?」
と、楽々浦先輩は銃口をこちらに向ける。いや、うん、冗談でも銃口は向けちゃダメだと思いますよ?
まぁ、俺が悪いのは認めるけど。
「さてと、それじゃあ楽々浦先輩をいじるのはこのへんにして。二人が戻ってきたから、ここから一気に鎮圧できそうだな。」
全員の顔を確認していく。
みんな大きく縦に頷いてくれた。
「よし! これより残りの敵勢力を制圧、俺たちの学校を取り戻すぞ! 行こう、みんな!」
「おう!」
「うん!」
「任せて!」
晃、朋を加え、俺たち4人は、残りの施設周辺へと向かっていった。




