これから
静寂が続く。
誰しもが、ポカンと口を開け、言葉を発せずにいる。
そんな中で彼の手が自然に動き、魔力が集まっていく。
「以上だ。分かったな?これからは俺の邪魔をするなよ?」
言葉が響くと、彼の手から強力な風が吹き荒れ、頭上からは土砂降りの雨が降ってくる。
「うお!雨だ!」
「やばいやばい傘持ってない!」
「いやいやいや!そんな事より聞いたか!?あれって世界に喧嘩うってるよな!?」
「俺も魔法使いたいなぁ。」
「馬鹿お前!そんな事したら、お前も狙われるぞ!」
「皆さん、落ち着いて!」
周囲の人々が驚き、叫び声を上げる。
この場に居るものが、彼が居なくなった事に気づくのはもう少し後だった。
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「大丈夫か?」
彼は少年に声をかけ、魔法で怪我を回復させる。
少年はただ頷くと、目を見開いて彼を見上げた。
「ありがとう・・・。」
その小さな声に、彼は何も言わずただうなずいた。
サイレンの音が響き渡る街の中。
少年を抱きかかえて、魔法を使ってすぐにその場を離れた。
「やはり、治るのは怪我だけか。体力はまだ回復してないから、大人しくしてこれでも食って寝ておけ。」
そう言って彼は、少年にパンを渡す。
「俺は自分の、向こうの部屋に居る。用があれば読んでくれ。」
コクンっと少年が頷くのを確認した彼は、自室に戻る。
「・・・・・・ふぅ。やってしまったな。」
そう言って彼は頭を抱える。
自分が先程口に出した言葉を思い出すと、頭が痛くなる。
「国を創る、か。まぁこの世界にもう俺の居場所なんて無いしな。咄嗟に思いついたにしては、良いアイデアか?」
とはいえ、国を創るにしても問題はある。
「何処に国を作る?余っている土地なんて、もうどこにも無いぞ?それに、国を創れば、確実に他国からの攻撃を喰らうだろうしな・・・そうなれば、俺だけで耐え凌ぐのは厳しいな。」
彼は、各国に赴いた際に、各国が秘密にしている施設などに連れていかれる事が多々あった。
そういった施設は大抵、軍事施設で、その国の技術の結晶のような施設ばかりだった。
もちろん、兵器なども含め。
それらを何度か目にする機会があったが、どれも俺1人で対応出来るくらいだ。
だから、俺1人なら殺られることは無い。
しかし、国を創ったとして、あの宣言を聞き、誰か来たなら、それは魔法に興味を持ってきてくれた大切な客で、もしかしたら国民になってくれる可能性もある。
そう言った人達を守るとなれば、俺1人では厳しい。
その問題をどうするか。
魔法を教えると言っても、すぐに実践で使えるくらいに強くなる訳では無い。
最低でも数年は居るだろう。
「魔法を教えながら、民を守る方法か・・・」




