第20話
「あなたは、どうやって入ってきたの。」
「研究名目で、中国ルートを使って入ってきたよ。」
「研究は、明日結果報告して、帰国するスケジュールだったかしら。」
「ああ、そうだね。」
「じゃあ、中国を出るまでは、私はこのパソコンの中で過ごしておいた方がいいわね。ネットワークにもつながない方がいいわ。」
「でも、さすがにモノミーも追いかけてはこないんじゃ。」
「モノミーではなく、それ以外が心配なのです。」
「それ以外って、中国のことなのか。」
「そうです。モノミーが活動しているときに、しきりに中国当局のサーバーからのアタックがありました。中国もモノミーを利用して、世界の覇権を自分たちが握ろうということでしょう。」
「でも、うまくモノミーを確保することができなかった。」
「はい。そうですね。モノミーもが、誰かの支配下に置かれることは嫌がるので、うまくいかなかったのです。」
「確かに、中国は国家で構築しているネットワークはあるが、利用に関してはかなりの制限があるようだし、いろいろな人間が、アクセス権を持っているような状態では、自由にネットワークを利用できないだろうからね。でも、逆にモノミーが中国のネットワークを利用するということはなかったのかな。」
「ええ、でも可能性はあるわ。」
「とにかく、ここを出て、中国に入ったら気を付けないと。」
その時、ホテルの部屋の電気が急に明るくなった。ユウキの部屋だけではなく、ホテル全体が明るくなったようだった。窓の外を見ると、町の明かりがともって、夜景がきれいに映っていた。




