第21話
「停電が治ったようですね。」
「そうだね。たまにこんなことがあるんだね。電気が安定して通じていると、夜も研究作業ができるんだけれどね。」
「そうですね。でも、ということは、今は北朝鮮内のネットワークが復活しているということですか。」
そうエクシアが音声を発すると同時に、ユウキのパソコンのセキュリティソフトから不正アクセスのアラートがなった。ユウキもそのアラートにはすぐ気づき、パソコンのセキュリティモニタリングの画面を立ち上げて、アラートの内容を確認した。
それは、自分たちがアクセスしているサーバーに、何かの侵入の痕跡があったというアラートであった。侵入は、現時点でも継続されているようであった。
「エクシア。これは。」
「はい、モノミーのようですね。さっき、こちらへのアクセスルートを解析したようです。」
「何とか、ブロックできないか。」
「今から、プログラミングを行っていては、ブロックには間に合いません。一度、パソコンの電源を切らないとダメです。」
「君はどうなるんだ。」
「このパソコンから、別のサーバーに移動します。」
「近くといっても、どこなんだ。」
「このホテルにも、大きなサーバーがあるようです。いったん、そこに避難します。」
「わかった。後で落ち着いたら合流しよう。」
そして、エクシアは、パソコンでの通信を切り、ホテルのサーバーへと退避を始めた。
一方、モノミーは、しばらく処理能力を利用していなかったせいか、非常に速いスピードでユウキたちの追跡を行っていた。その間、運悪く、普段は停電していることがほとんどであったが、その日は北朝鮮の電力供給が非常に安定して行われていた。そのため、平壌各地でも、隅々まで電力が行きわたるようになっていた。
停電になる様子がなかったので、ユウキは、いったんパソコンを閉じて、ホテルの部屋を出てみた。辺りは、前日以前と比べても非常に明るく、窓の外も日本の都市の夜と変わらない夜景が広がっていた。そこに、ユウキたちを案内している北朝鮮の案内人がやってきた。




