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勇者の息子は地球出身  作者: 潮柳
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第112話 いろいろ確認

また説明回です。ぐだるし飽きるので早めに主人公を遊びに行かせたいです。

 ウィルがお目付役ではなく監視役だったことには驚いたけれど、まあだからといって何もないですね。

「話は以上?」

「そうだな」

 神官さんへの説明と根回しを済ませていただけたらオッケーです。

「いや、待て」

 ヴァネッサさんに訊かれて頷いたら待ったが掛かった。オルカを見ると俺の腰を指差す。

「ボムのことはいいのか?」

 あ、そういえば街に入ってきてからすぐに瓶の中に入っていたな。

「ボムがどうかした?」

「どうかしたというか、ボムは精霊だったらしい」

「は?」

 異口同音ってこういうことか。驚く三人を他所にシオンさんだけは知っていたようだ。

「ボムは卵だろう。あれが孵化することは滅多に……」

 ボムが入った瓶を机の上に置くと、それを覗き込んだシオンさんが言葉を詰まらせる。

「孵化しているなぁ……どうして……?」

 耳がくんにゃりしてしまった。

「ユウが自身の血を飲ませて育てていた」

「……せめてやる前に俺かウィルに相談しろ」

 二人ともいなかったから。いけるかなぁと思ってやったらいけてしまったんですもの。

「滅多に孵化しないと言いかけていたが、平原にいるボムたちが一斉に孵化したりすることは無いのだな?」

「ああ。ケプリの亡骸から発生したりはするが、陽光が凝っただけの卵が孵化することは本来であればあり得ない」

 ヘリオットさんの問いにオルカが返す。ケプリってなんだろう? 魔物ではあるんだろうけど全く聞いたことがない。

「それならまあ、中央に報告だけしておくわ」

「そうだな。私のほうからも帝国に報告しておこう」

 おねがいしゃっす!!

「本当に終わりね? じゃあユウはご飯を食べてゆっくりいらっしゃい。連続で依頼を頼んで悪かったわね」

 はーい。

 仮面をちゃんと付けてからウィルとシオンさんと一緒にホールに降りる。

「はー……ひと月街から離れていただけなのになんでそうなるんだ」

「なんでだろうなあ」

 幸運値が低いことが関係しているのかな?

「二人は帝都から北方に?」

「ああ。リアムに引っ張り回されていた。ウィルも帝都にいたことには驚いたけれど」

「ユウの二つ名の件とか大平原でのこととか諸々、報告することが多くてヤナと二人で方々走り回ってたんだよ。で、たまたま帝都にいた時に勇者に見つかった」

 ギルドの職員って忙しいんだな。

 ダイナーに入ると中にいた人の目が一斉にこちらを向いた。今回はオルカだけに視線が注がれているようだ。

「……何故皆我を見る」

 オルカがアイパッチを歪めるとウィルがため息を吐いた。

「皇帝なんて連れて来られたら見たくもなるさ」

 毎度お騒がせして申し訳ない。

「ユウちゃん! おかえり。そっちが噂の皇帝ちゃん?」

 冒険者が静まりかえる中普通に話しかけてくれるナヒカさんすごい!! ありがとうございます!

「ナヒカさん。ただいま、彼はオルカというのだ」

「オルカちゃんね。私はナヒカよ。よろしくね」

「ああ」

 差し出されたナヒカさんの手をオルカが不思議そうに見つめた。

「握手よ。手を軽く握るの。これからよろしくっていう挨拶」

「そうか。では、これからよろしく」

 説明されて握手をしたオルカがナヒカさんの手を確認する。

「このくらいなら折れないか?」

「大丈夫よー。心配してくれてありがとうね」

 こわ。握手で骨折る可能性があるのか。

「ナヒカ物怖じしなさすぎる」

「それがナヒカの良いところだろう」

 ビスタさんとも挨拶が済んだところでロボに呼ばれる。八人掛けのテーブルの下に陣取っていたので驚いた。

「いっぱいで来るから大きい机がいいってロボちゃんが言ったのよ」

「うちの子は賢いな」

 うちだけで三人いるから、カウンターだと足りないもんね。

「あ、そうだ。ハーピーの肉がたくさん入ったから、明日倉庫に降ろしておくよ」

「あら! ありがとう。ハーピーの肉は使い勝手がいいから助かるわ」

 どういたしまして。どんな料理になるのか楽しみだな。

 テーブルに着くとすぐに食事を出してくれた。パエリアだ。美味しそう! ボムはキノコのポタージュのようなものを元気に飲み始めた。半固形でもいけるようになったのか。

「いっぱいで来ると言えば、部屋を変えないと駄目だな」

 部屋?

「ベッドが足りませんからね。パーティ用の部屋になるのでしょうか?」

「そうなるな。飯が終わったら鍵を用意するよ」

 そういやベッドの数が足りなかった。昨日はみんなで雑魚寝をしたから考えてなかったな。

「我は別に影の中で良いが」

「それは私たちが気になるからやめてくれ」

 一人だけ影の中とか虐めているみたいじゃないか。

「では浮いておく」

「やめてください。アースやボムが寝ぼけて飛んでいても可愛いで済みますが、貴方の質量で漂われると気になって眠れません」

 推定210センチの体重100キロ超が浮いているのは気になりそう。というかオルカ浮くの? フライングシャチ?

 アースたちが飛んでいるのも初耳。起きたときには大体腕の中かお腹の上にいるんだけどな。気づかない間に戻って来ていたのか?

 北部の雪がどのくらい積もっていたのか聞いていて唐突に思い出した。

「そうだ、二人に訊かなければならないことがあった」

「ん?」

「二つ名のことだ。名付けられる条件など何も聞いていなかったのだが、推薦者がシオンさんだとか、信用を肩代わりしたとか」

 ちゃんと聞いておかないと。

 そう思って訊いたらシオンさんが吹き出した。

「ははは。知らなさそうだなと思っていたが、本当に知らなかったのか」

「気づいたら『血塗れの鎧(ブローディ・アーマー)』なんて呼ばれていたからな」

 知らない間にとんでもなく物騒な人として有名になっていた悲しみ。

「『血塗れの鎧(ブローディ・アーマー)』?」

「ユウに与えられた称号ですね。貴方の『皇帝』と似たようなものです」

「……物騒な称号だな」

 首を傾げたオルカにナイトが説明してくれたのだけれど、オルカですら物騒だと思うような名前なの!?

「どうして血塗れなどという呼ばれかたをするようになったのだ?」

 オルカに訊かれてウィルが肩を竦める。

「二つ名はギルドで考える決まりだから職員たちで候補を考えていたんだよ。まともなのは結構あったんだぜ? 『黒騎士』とか『鎧の魔導士』とか」

 破壊神じゃない候補があったんだ!?

「いろいろ考えられていたんだが、どっかから「でもユウを思い出そうとして一番に思い浮かぶの、鎧姿じゃなくて血塗れになってる姿だよな」って話が出ていたんだよ」

「俺たちも討伐作戦の話し合いがあったりでどんな風に広がっているのかは知らなかったんだが、まあそんな話が出ているときにまた血塗れで街中を疾走しているのを見られたからな。どうなることかと思っていたが」

 俺が悪いね! だからあのときウィルが複雑な顔をしていたのか。楽しそうだったゴウルクさんのところにも話が回っていたのかも知れない。忠告してよ。

「まあ、厳つくて物騒ではあるがわかりやすくていいんじゃないか?」

 わかりやすいということだけでこの名前に納得できない。

 納得はできないけれど、どうしようもないので大人しくウィルの説明を聞く。

 俺の二つ名に関してはシオンさんがメインで推薦してくれていたが実績がなさすぎてヴァネッサさんと皇弟殿下、バーガン侯爵家の連名で推薦を受け帝国に承認されたらしい。

 ヘリオットさんは侯爵家の三男坊だったそうだ。やってしまった。

 どうして帝国に承認されるのだろうかと思ったら、二つ名持ちが出動するような依頼は経済や国土へのダメージが想定されるので、その補填をしてくれるらしい。冒険者でも二つ名持ちはほぼ国家の所属扱いなのだと。

 抱えている二つ名持ちの人数で国力を測れたりもするのだとか。

 めちゃくちゃ大事な説明を端折らないでほしい。何かあればナイトを寄越して指示を仰ぐだろうって言われるとそのとおりなんだけれど! 独断で街道封鎖なんてできません。

「他の国では活動できないのか?」

「いんや。普通にできるぜ」

 できるのか。

「他国で経済を止めるような依頼を受けた場合はどうなるんだ?」

「所属している国からのその国へ無償で経済援助がある」

 そこまで補填する前提ならそりゃあ国力を測る指標になるわな。

 というか、俺がやらかすとシオンさんだけでなくヴァネッサさんたちどころか国に迷惑を掛けてしまうじゃないか。気をつけて生きよう。



「お兄ちゃん、ネコが寝ちゃった」

「あ、ごめんよ」

 結構話し込んでしまっていた。テーブルの下を覗き込むとネコはロボのエプロンに顔を突っ込んで眠っていて、アースもロボの背中で丸まっている。

「ん、じゃあそろそろお開きにするか。鍵持ってくるから、とりあえず4階に上がっていてくれ」

「了解した」

 寝てしまったネコとアースを抱えてロボとボム一緒に4階に向かう。ナイトとオルカは下の部屋を片付けてから来てくれる。そんなに散らかしていないけれど、片付けは必要だろう。

 4階で待っているとウィルがやって来た。この階はパーティ用の部屋だから扉が少ない。

「じゃ、改めてここがお前の部屋な。中はベッドの数以外は殆ど変わらんから説明はいいだろう」

 そう言って扉の窪みに板をはめ込む。前の部屋の扉に嵌まっていた花が描いてあるプレートだ。

「これ、花紋と同じだと問題じゃないか?」

「柄が違うから問題ない」

 そうなのか? まあウィルが大丈夫だと言うなら大丈夫だろう。花紋と信用証を知っている人じゃなければ「椿の間」みたいなものだと思われるか。

 ウィルと別れてすぐにナイトとオルカも合流して部屋に入る。部屋はベッドが4つある大きな部屋だった。

 そういえば、ナイトの身長では地球のシングルサイズのベッドだと溢れちゃうけどこの世界だと普通に寝れていたな。獣人は背が高い人が多いから大きめに作ってあるのか?

「ベッドが多いですね」

「まだ増えると思われているのではないか?」

 さすがに、これ以上は増えないでしょう。たぶん。きっと。

 ネコとアースをベッドに寝かせて、俺とナイトは風呂を済ませてしまう。オルカはギュンと済ませていた。本人がいいならそれでいいんだけどさ……。

 それぞれベッドを選んで布団を被る。

「明日は何をなさいますか?」

「俺はとりあえずネコたちのお皿を買いに行ってくるよ。それから孤児院とゴウルクさんの所に顔を出すかな」

 前回顔も出せずに街を出ちゃったから。お皿はニケさんの所に行くからいいし、ラウさんはダイナーで会えたんだけど。

「では、ハーピーの肉やその他の買取りは私とオルカでやっておきます。オルカ、手伝ってくださいね」

「あいわかった」

 ロボたちが女帝の森で獲ってきた魔物がいるんだったか。

「ぼくはお兄ちゃんと一緒に行くー。子供たちと遊ぶ!」

「じゃあ、孤児院に一番に向かおうか」

「うん!」

 アースたちもロボと一緒に行くだろう。

「で、ジュウオウと皇帝って何?」

「獣王というのは創造神が世界を運営するために創った世界の抑止力の一柱で、獣王は魔物を統治しますね。他の王は一柱ずつですが、獣王は雌雄一対の二柱となります。雌の『女帝』、雄の『皇帝』。魔物の決まりはないですが、ここ千年は変わっていないですね」

 千年? やば。それだけナイトが生きているのもやばい。

「一位と二位っていうのは?」

「魔王が出てきた時にどちらが対応するかの順番だ。前回の魔王を勇者が倒したから、ここ数百年は女帝が一位だな」

 魔王の相手持ち回り制なの!?

「どうして順番が決まっているのに、お父さんが勇者を倒したの?」

「前回の魔王は北方の永久凍土に魔王として覚醒したのだ。女帝が「寒い」と引き籠もっている間に勇者が倒していた」

 もう!!


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