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庭師のカルマ  作者: 赤葛羽
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8/8

07:違和

「…は?」

「だから、街に行かないか?」


 驚いたのか間をおいて聞き直してきた。

 後ろでロベリオさんとアンナがくすくす笑っている気がする。


「…あのさぁ…はぁ…」

「…なんだよ?」

「デートならもう少し誘い方あるでしょ」

「でっ…」

「?なに、違うの」

「ちが、そうじゃなくて!こないだの、感謝をだなっ」

「…ふーん。仕方ないから行ってあげる」

「…仕方ないって」

「ほら、行こうよ」

「…はいはい」


                        ☆


「…にぎやか」

「そうだな、祭りか?」


 繁盛する街に少し固まるキャンサー。


「…僕、あんまり街って歩いたことない」

「え」

「…なに」

「いや、なんでも知ってそうだったから」

「僕だって知らないことあるよ」


 眉間にしわを寄せて苦い顔をする。


「…じゃあお前の好きなのえらべよ」

「え」

「お礼に、なんかさせてくれよ」

「…じゃあ」


 近くの服屋に入っていく。

 うろついていろいろ見ているが、特に興味なさそうにする。


「…?興味ないならほかのでも」

「…僕あんまり買い物とか得意じゃないから君が決めてよ」

「え」

「新しいやつ。君に一着あげちゃったしどれかえらんでよ」

「なんで俺…」

「お礼の一環だと思って」

「…じゃあ」


 革らしいケープを渡す。

 それを受け取ってしばらく見る。


「じゃあ、これ」

「おう…?」


 買って渡すとすぐに身につけた。

 男物で少しアンバランスなような気もしたが、似合っている。

 まとうように前でボタンを留める。


「それでよかったのか?」

「うん、僕買い物とかよくわからないし」

「わからないって」

「ほとんど家にこもらされてたから、あんまり知らない」

「…」

「へん?」

「いや」


 そのときちょうど音楽が聞こえてきた。


「…なにこれ」

「あぁ、カーニバルだな。見てみるか?」

「え」

「ほら、外の世界知ろうぜ」

「…うん」


 少し輝く微笑みに心臓がまた早く打った。


「…ドラゴン」

「すごいな、彫刻」

「うん」

「…あのさ」

「…?」

「家にこもらされてたって」

「その話するなら、部屋に帰ろう」


 さえぎった口調はどこかキツかった。


「…今は、祭りを楽しもうぜ」

「…」


 黙ってうなずく。

 話したくなかったわけではなさそうだが、少し顔をゆがめた。


「…きれい」


 つぶやく声を祭りの音楽でかき消されてか、俺は聞こえないふりをした。

 速まる鼓動と、ゆがめていたあの顔の記憶が混ざって、少し曇った気持ちでいた。

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