僕に都合の良い話なんてある訳ない
深夜テンションで書いた物です。
文章構成や表現がおかしい点あると思いますが、生暖かい目で見てください。
のんびり続けて行けたらなと思ってます
8月27日。
今年の夏休みも例年の如く、セミが鳴き止みつつある。
友人と海に行く訳でもなく、女子と花火大会を見に行った訳でもない。
そう、僕はモテない上に友人も少ないのだ。
「世界はクソだ」
人生で17年目、またこの結論に至ってしまった。
静かだったセミがまた騒ぎ始める。
「にしても暑いなぁ...」
そうだ、アイスでも食べながら夏休みの余生についてでも考えよう。
エアコンが壊れた部屋で、僕は冬眠明けの熊の如くゆっくり起き上がる。
もちろん冬眠のようなあったかい空間ではなく砂漠のように蒸れたアパートの一室で。
今思えば、このアイスが僕の長く退屈な夏休みを終わらせたのだった。
そう、忘れたくても忘れられない冒険の序章はここにあったのである。
「そういえば最後に外出たのいつだっけ」
そんな事を思いながら冷蔵庫のあるキッチンまで向かう。
ふと、冷蔵庫を開ける手が止まる。
「この夏僕は、外にすら出ていないのでは...?」
いやそんな事を考えてる暇は無い、今はアイスの時間だ。
この蒸し暑い空間の気温が更に上がったかのように感じた。
アイスがない。
外で遊ぶ子供の声が僕を煽るかのように大きく聞こえてくる。
しかし、そんな煽りに屈しては残された数少ないプライドも失ってしまうだろう。
僕はコンビニまで買いに行く覚悟を決め、その場にあった服を雑に着こなし、玄関へと急ぐ。
サンダルを履き、外界へと繋がる扉へ手をかけた。
さあ、夏休み記念すべき1回目の外出、派手に行こうじゃないか。
うん?扉が開かない。
プレス機のように圧をかけてドアを押すが蟻が入れるような隙間すら開かない。
ドアが壊れたのだろうか、このアパートは僕に死ねと言うのか。
そうか、じゃあ僕が悪いんだ?バイトをサボりまくって家賃滞納してる僕が悪いんだ?僕なんて夏の暑さでやられてしまえばいいって思ってるんだ?
僕の脳内でアパート向けのヒス構文が始まったタイミングでドアを叩く音が聞こえた。
一体どこの誰だ、僕にとどめを刺しにきたのは。
「うぃーす笑暇してるぅ?笑」
ドアに張り付いているであろう主の声を聞いて僕は気温と比例しているかのような量の冷や汗を噴出する。
最悪だ、僕の数少ない友人(とはあまり言いたくないが友人という事にしておく)が家を訪ねてきてしまった。
身長が高く、もやしのような体型をしている彼は山田。
金使い物使い共に悪く有名な奴である。
しかたなくドアスコープを覗いた僕は違和感を覚えた。
ドアから少し離れてこちらを見つめて居るのは確かに山田だ。
しかし、先程僕の部屋の気温が上がったように感じたのは彼のせいじゃないだろうかと思える程に彼は太っていた。
彼の身に何があったのだろう?
気がつけば子供の声もセミの声も聞こえなくなる程僕は彼の事で頭がいっぱいになっていた。
しかし、僕には彼を部屋にあげる勇気はなかった。
野生の本能というか、とてつもなく嫌な予感がしたのだ。
「良い話があるんだよぉ、アイスでも食いながら話そうぜぃ」
思わず「マルチの勧誘か」とツッコみたくなったが、彼がドア越しにちらつかせたアイスに目も心も奪われた僕は何も考えずに家の鍵を開けてしまった。
何かに取り憑かれたかのようにドアを開け、彼が部屋にあがると同時にアイスを奪い雑に箱を開ける。
彼の話も周りの音も僕の耳には届いていなかった。
アイスを一本取り出し袋を開けようとするが、急ぎすぎていて中々開かない。
しかしそんな僕のことはお構いなしに彼は話を続ける。
「異世界転生?的なのしたんだよ俺」
想像もしてなかった言葉に、やっとの事で袋から取り出したばかりのアイスを落としかけてしまった。
一体彼は何を言っているのだろうか?
彼が急に訪ねてきた不快感や暑さよりも彼の言葉の方が気になってしまった僕は、咄嗟に頭の中に浮かんだ言葉をその場で接着して返事をした。
「貴方様は異世界転生をしたと言いたいのですか?」
「異世界転生的な何かをしてまいりました。」
「ほう?と、いいますと?」
「異世界転生的な何かを体験してきました。」
いよいよ訳がわからない。
一通り彼の話を聞いた。
自慢話や脱線もあった為、細かいことは省略させて頂くが、ざっと彼の話す事をまとめるとこんな感じだ。
ある条件を満たして寝ると自分が行きたいと願う異世界に行ける。
異世界では食べ物を食べることもお金を稼ぐこともできてこちらの世界とリンクしている。
稼いだお金は銀行に振り込まれるシステムらしい。
好きなタイミングでこちらの世界へ帰って来る事ができる。
...
なんと馬鹿馬鹿しい!
こんな話今どき小学生でも信じないだろう。
彼がこんな話をする為だけに自分の部屋を訪れた事実に、腹の奥底から込み上げる怒りを覚えた。
僕は怒りに身を任せ、僕はその巨体を玄関から追い出した。
つまり帰ってもらった。
彼を追い出した後、ドアから見える外の景色を見た僕はびっくりしてしまった。
彼と雑談に花を咲かせている間に、あんなにうるさかったセミの声も消え始め、外は昼間の明るさや暑さが嘘に思えるかのような世界が訪れていた。
そう、このクソみたいな世界は僕1人を置いて夜を迎えようとしていたのである。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!!
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