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大コケした受験生のその後  作者: よむよむ
9/13

地理は7割目標で

 センター試験対策として、11月から地理も勉強した。

 目標は、他教科の足をひっぱらないこと。

 センター試験予想問題集をやりながら、覚えるべきことを高校の地図帳に書き込みをしながら覚えた。

 また、ノートに白地図を書き資源位置などを書いた痕跡が残っていた。

 他には何をしたか覚えていない。

 目標は7割程度。点数が低すぎてショックを受けないレベルが取れればよいと割り切った。


 余談ながら、高校時代の地図帳を見てみると、奥付に昭和64年1月10日印刷、昭和64年1月20日発行と書かれている。

 昭和64年は、1月7日までなのでレアな地図帳である。

 さらに地図上ではドイツ連邦共和国(西ドイツ)、ドイツ民主共和国(東ドイツ)、ソビエト社会主義共和国連邦、ビルマ、ユーゴスラビアが健在だ。

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にソビエトは崩壊している。

 私が、センター試験を受けたときには崩壊していた。


 つまり、高校に入学して地図帳が配布されたときには崩壊前だったが、受験時は崩壊していたということだ。

 自分が、ソビエトのところにドニエプル工業地域やウラル工業地域と書き込んでいるので、一応予想問題集にはソビエトの範囲の問題も掲載されていたらしい。しかし、実際のところソ連の崩壊後にそれらの工業地域はどうなってたんだろう。


 高校生のころ、今日も明日も変わらない日が続くので退屈だと思っていた。

 ところが、ソビエトやユーゴの高校生たちは違ったということだ。


 高校の卒業式のときの学校長は、「君たちは大きな時代の変わり目にいる。自覚をもってそれぞれの人生を…」のようなことを言っていたのを覚えている。

 ふーんぐらいに思って大して気にも留めなかった

 当時の自分はそのようなことを考えたこともなかった。


 最近、ウクライナや台湾など大きな望ましくない変化の兆候がでつつある。

 今の高校生たちも、数十年後に高校時代を振り返り同じようかことを思うのかもしれない。

 高校のころの古い地図帳の奥付をみて、感傷的にそんなことを考えてしまった。


 ひょっとすると、これを読んだ中高生は国名が変化するなら地理が役に立たないと思うかもしれない。

 しかし、振り返ってみると地理は、現代の政治経済を見るうえで役に立つ予備知識だった。

 それが、点数目当ての勉強だったにせよ。

 新聞やニュースで動乱の起きた国を聞くと、おおよその位置がわかったし、民族問題も多少は知っていた。そして、ニュースを見ているうちに、頭の中にある大学受験時の地図帳がアップデートされていく。


 まあ、そんなのどうでもいいじゃんという人にとっては役に立たない学問かもしれない。

 でも、それを言ってはおしまいである。


 センター試験の結果は70点台だった。

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