襲撃
賊?賊ですって?
単なる野盗か、身代金目当ての誘拐か…そもそもロベール伯爵令嬢である私を狙ったのか無差別なのか…だめだ、情報が少なすぎて何もわからない。身振りだけで静かにするようライラに指示を出し、外の声に集中する。
「なんだお前たちは!何が目的だ!?」
「へっへっへ、俺たちは馬車の中のお嬢サマに用があるんだよ。」
「ナイフを持った大の男が8人も揃って、一体何の用だと言うんだ。積もる話なら屋敷にお越し願いたいのだが?」
「ロベール伯爵家の屋敷は遠いだろう?だからこっちからお嬢サマを迎えに来たのさ。」
さすがはベン、こちらの身分は一切明かさないようにしつつ、馬車の中に情報を伝えてくれている。相手は視認できる範囲で男性8人、ナイフを所持、そして“ロベール伯爵令嬢”に用がある…か。
というか、相手のリーダー格?の男は口が軽すぎやしないだろうか。
「お嬢サマが出てこないんならしょうがねえな。野郎共、やっちまえ!」
このままではベンが危ない。ライラに合図して同時に馬車を飛び出す。
馬車の外に出た途端、あと数歩の所まで迫りくる男と、そのやや後方から突進してくる男。やはり御者であるベンと同時に、馬車も襲うつもりだったようだ。突然私が出てきたことに驚いたのか、足を止めて戸惑った様子を見せる二人。その隙にまず、手前の男の手首を捻り、ナイフを叩き落とす。
「っ!!!」
手首の痛みに呻き、うずくまる男。その声にハッとしたように、もう一人が雄叫びを上げながら突進してきた。ナイフを持つ右手を左手で押しのけながら男の懐に潜り込み、鳩尾に肘打ちを食らわせて気絶させる。
力の抜けた男の手からナイフを抜き取り、うずくまっている男の元へと警戒しつつ向かう。
右手はまだ痛むのだろう、左手でナイフを拾った男がヨロヨロと立ち上がるところだった。
「調子に乗るんじゃねえよこのアマがぁ!」
逆上した男が左手でナイフを振り上げて向かって来るが、今度はこちらにも武器がある。男の持つナイフを弾き、その勢いのまま右に一回転してナイフの柄で男の首筋に打撃を与え、こちらも気絶させる。
二人とも間違いなく気を失っているので、放っておいても大丈夫だろう。彼らを拘束するよりも、ベンとライラの安全を確認する方が優先だ。
周囲を警戒しつつ急いで馬車の反対側へ回ると、丁度ライラが相対していた男二人を倒したところだったようだ。
「お嬢様!お怪我はございませんか?」
「ええ、私は大丈夫よ。ライラは?」
「私のことなど「ライラ?」…だ、大丈夫です。傷ひとつ負っておりません。」
こんな状況でも自分のことを蔑ろにしようとしたライラ。その言葉を遮って責めるような視線を送ると、彼女も観念したようだ。
「そう、よかった。ライラは周囲を警戒しつつ、男たちを拘束して。向こう側にも二人気絶しているけれど、まだ残党がいるかも知れないわ。」
「畏まりました。」
「私はベンのところへ向かいます。」
読んで下さってありがとうございます。
誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m
評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!




