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【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
婚約者の伯爵令嬢は仕事に夢中です
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朝議にて

ある日の朝議でのこと――


〈ヴィレット公爵視点〉

各部門からの報告や確認が終わり、そろそろ終わるだろうかと皆が気を抜いたその時だった。


「小耳に挟んだのですが、バロワン侯爵一家は、司書の仕事を随分と軽く見ていらっしゃるようですね。」


普段は温厚なダントン侯爵。そんな彼の発した棘のある言葉とその内容に、朝議の席に着いていた一同は、それは驚いた様子だった。


「はて、何のことでしょうか。」


「確か…“本を出して戻して、図書館で愛想笑いをしていればいいだけ”“世間知らずの貴族令嬢にだってできる、簡単な仕事”でしたか。ご息女のナターシャ様のご高説なのですがね、バロワン侯爵家では皆様このような考え方なのだとか?」


「まさか、我が娘がそのようなことを?もちろん証拠があって仰っているのでしょうな、ダントン侯爵?」


心外だという風を装いつつも、焦りを隠しきれない様子でバロワン侯爵が問い返す。


「証拠…ですか。証人でしたら大勢いますよ。」


「名前も出せぬ者が証人ですか?それでは信用に足らぬでしょう。」


()()()()()()割愛したのですがね。まあいいでしょう。私と妻、ジュリア・ロベール伯爵令嬢、オリヴィエ・クラルティ子爵令嬢、ジェラルド・ゲイラー男爵令息、それから…」


「おやおや、君の身内と部下ばかりではないかね。それでは口裏を合わせることもたやすかろう。」


正確には、リアはもうダントン侯爵の部下ではない。第一、悪巧みによる口裏合わせであれば、怪しまれないように無関係の者を挙げるものだが…そんなことにも頭が回らないとは。


「口を挟んで申し訳ないが、私もその場に居合わせましたぞ。ダントン侯爵の仰っていることは事実です。いやはや、一字一句違わぬとは、相変わらずの記憶力に感服いたします。」


口を挟み…もといダントン侯爵を援護するように声を上げる壮年の貴族。


「お褒めに預かり光栄です、フェザンディ伯爵。」


「わ、私も証言します。バロワン侯爵令嬢は確かに、司書の仕事を貶める発言をしていらっしゃいました。」


「コールベル子爵、お言葉に感謝いたします。」


次に声を上げた、私より少し年上くらいの青年貴族――コールベル子爵は、ダントン侯爵の言葉に照れたように頬を掻く。


フェザンディ伯爵には事前に証言をお願いしてあったのだが、コールベル子爵の発言は予定になかった。つまりは彼個人の意思だ。さすがは人望のあるダントン侯爵、といったところか。




パーティー後の話し合いで“ダントン侯爵からバロワン侯爵に、正式に抗議してもらおう”ということになったのだ。


彼が己と娘の非を認めて謝罪し、態度を改めるならば許す。そうでなければ身をもって思い知らせる、ということで落ち着いた。この場合、追及されるのは司書の仕事に対する侮辱だけになる。


それに対してはお母様とロザリーから猛烈な非難があったが、リアが二人を落ち着かせてくれた。


曰く「あの程度の言葉は社交界では珍しくはありませんでしょう?公爵家の婚約者を侮辱されて憤るお気持ちはごもっともですが、彼女も感情的になるあまりの行動だったのだと思います。若い令嬢の一度の過ちくらい、許す度量を見せてこそ公爵家だと思いますわ。」ということだった。


二人が怒ったのは、侮辱されたのが“公爵家の婚約者のジュリア”ではなく“お気に入りの令嬢であるジュリア”だったからなのだが…相変わらず自分に向けられる好意には鈍感なようだ。


今回はリアの意見を尊重して、リア個人への無礼に関しては目を瞑ったが…もちろん、次はない。

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

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