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恋する話  作者: チーズ
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鬼村の鬼と儚い娘

  むかしむかし、鬼村(きむら)と呼ばれる、鬼が潜む村があった


  鬼村はとても恐ろしく、近づいてはいけない村だった。


  ある日、娘が鬼村に迷い込んでしまった。


  鬼村の村人は鬼に操られ、とても恐ろしかったという。


  娘は1年後、自らの家族が待つ街へと帰ってきた。


  娘は鬼村は怖いところではないと告げた。


  だが、街の人が持っている鬼村のイメージが彼女の言葉で変わるわけもなく、逆に悪くなってしまった。


  そして、鬼村は街の人によって100年の眠りにつかされた--



  「って、そんな話あるか! 作り話感が半端ないよ!」

  「おとぎ話にキレてどうする・・・」

  演劇部の次の舞台でやる台本を確認してから私は勢いよく立ち上がり、悶絶する。

  「だって、娘は鬼村に行って無事に帰ってきたんでしょ? それで鬼村の様子を見てきて、害はないよって言ったのに封印されちゃうとかさいってー! こんな結末、悲しいよ」

  「茜・・・」

  私の言葉に、友達も目をうるうるさせながら見てくる。

  「さっちん・・・」

  「あんた馬鹿じゃない?」

  「へ?」

  「あのさー、事実かどうかはどうでもいいの。とにかく役に集中しなさい。あんた、娘役でしょ?」

  立ち上がったまま静止する私を睨みつけてながらさっちんは冷静に言う。

  確かに、ごもっともです・・・だけど、だけど、

  「自分で感じたこと以外、演技にできないもん!」

  「あっそ。じゃあ、鬼村にいけばいいんじゃない?」

  「その手があったか! さっちん天才!」

  「あー、はいはい。鬱陶しいから離してくれない? あ、なんかでっかいヤツ取れたわ」

  私がさっちんの手を握ると、彼女はめんどくさそうに小指で耳を掻いている。さっちん・・・黙ってれば美人さんなのになぁ

  そんな事よりも、私は鬼村に行かなくてはならないようだ。

  頑張れ、茜!


  「あっつー」

  腕まくりをしながら山道を進む。

  地図ではここら辺のはずだ。

  封印されたと童話には書いてあったから、鬼村跡地とかそんな感じかな? と思っていたのだが・・・

  そこには小さな村があった。

  流石に、ちょっと怖くなって後ずさりをするが童話を思い出す。

  迷い込んだ娘は、1年間この村で過ごしていても害は無かったのだ。

  (なら、大丈夫!)

  震える足に且つを入れて、村へと進んだ。


  建物等はあるのだが、人影が全くない。

  なんか、舞台のセットの様な感じだ。誰かいる気配も無い。

  こんな時はとスマホを取り出し、耳にセットしてノリノリで歌を口ずさむ。

  大好きな音ゲーの歌。

  切ない初恋を桜に例えた歌。

  すると、何処からともなく声が聞こえた。

  びっくりして、勢いよく後ろを振り返るとそこには青い髪で右目を隠していて、額には小さな角がある少年が立っていた。

  これは、青鬼、なのだろうか?

  クールな瞳に私を映している。

  「かっこいい」

  私の口からは自然とそんな言葉が出ていた。

  私の言葉に、彼は左目を見開いてからフニャっと笑う。

  「お前は変わっていないな茜よ・・・」

  そう言って、左目から静かに涙を流した。

  初めて会ったのに、名前を知られている・・・私を誰かと勘違いしているようだ。

  「私は、あなたの言う茜じゃない」

  きっぱりと彼の目を見て言葉を放つ。

  すると彼はまたフニャっと笑うのだ。

  「茜・・・」

  「だから、私は」

  「知ってる。分かってる。お前は茜じゃないけど、名前は茜だろう?」

  「そう、あなたが知ってる茜さんなんて知らない」

  ムフンッと仁王立ちしながらドヤ顔をすると彼はぶっと吹き出して、笑った。

  クールな外見とは違ってよく笑う人(?)の様だ。

  「お前との出会いはいつもこうだから慣れたよ・・・」

  あはははと笑いながらも、愛おしそうに私を見る彼がとても綺麗だった。

  それからは、山を探検して一緒にお茶をしたして遊んだ。とても、楽しかった。

  夜、彼の住まいの縁側で月を見上げながら隣に座る彼を見る。

  「知ってる? 夏目漱石はね、I love youを、月が綺麗ですねって訳したんだよ。かっこいいでしょ」

  「夏目漱石? 誰だ? それは」

  (100年前にはいなかったのかな? 漱石さん)

  首を傾げる彼を見て、そんな事を考える。

  「漱石って奴は知らないが、I love youっていい響きだな」

  「貴方を私は愛してるって意味だよ。漱石さんは、貴方を私は愛してるを月で例えたんだね・・・綺麗な月に」

  宇宙(そら)で輝く月を眺めながら夏目漱石はどんな想いでこの言葉を口にしたのだろうなと思う。

  手が届きそうだけど届かないって事が言いたいのかな?

  「なんで、月だったんだろ・・・」

  私の呟きに隣に座る彼は笑う。

  「きっと、月みたいに綺麗だったんだよ。月は暗い道を照らしてくれるだろ? だから、漱石って奴は好きな奴を月に例えたんじゃないか? 辛い時も、楽しい時も、悲しい時も道を照らし続けてくださいってな」

  月を見上げながら彼は言う。

  ああ、綺麗。

  私は、I love youをどう訳す?

  それは、きっと

  「あなたの笑顔は桜のようだ」

  「・・・・・・っ!」

  「私の訳し方はあなたの笑顔は桜のようだ、だよ」

  「・・・・・・なんで?」

  「桜は何回散ったって春には咲き誇る。その花弁(えがお)を私はずっと隣で見ていたいから」

  驚いたような顔で私を見ている彼に笑いかける。

  すると、彼は愛しいものを見るような目で私を見つめる。

  その目は、月光に照らされてキラキラと輝いた。

  「俺は、きっと--」


  「泣きたくなる」


  「え?」

  私の頬に、彼が優しく触れる。

  泣きたくなる?

  「I love youは、愛してるって意味なんだろう? なら、俺は泣きたくなるって訳すな」

  「・・・・・・そのこころは?」

  「愛せば愛すほど、別れが見えてくる。離れたくない。泣きたくなるほど、愛してるそう言う意味だ」

  全身で、愛してると言うように私の頬をなでながら彼は笑う。

  その手を私は握って、包み込む。

  すると、彼はそっと私の頬から手を離してしまう。

  私を見つめる彼の顔は--

  「なんで・・・・・・なんで、泣いてるの?」


  頬を流れる一筋の光で輝いていた


  「今すぐ、帰りなさい」

  「は・・・・・・」

  「最後の別れだ」

  「なんで、? 意味わかんない! 最後の別れ? 何それ、知らない!」

  突然告げられた別れに、パニックになる私。

  彼を見つめても、彼は首を振るばかり。

  「最後の別れとか、、日本語になって無いよ! 今日初めて会ったのに、最後とか、今まであった事あるみたいじゃない!」

  「・・・・・・」

  「なんとか、言ってよ・・・・・・」

  涙を流しながら私を見つめる彼の顔に迷いは一切無かった。

  これが、最後ってことなんだ

  意外にも脳みそは冷静だった。

  両手で、顔を覆い隠しながら荷物を手に持つ。

  「街までは、俺の力で送る。目を瞑って」

  「・・・・・・っ」

  彼の言う通り、目を瞑る。

  すると、一瞬体が浮く様な感じがした。

  そして、力が抜けた手に暖かなぬくもりが宿る。

  そして、耳元で


  「泣きたくなる」


  そんな声がして目を開ければそこは、真昼間の駅内だった。

  「え・・・」

  私が辺をキョロキョロ見渡していると、駅員さんが近づいてきた。

  「あの、茜さん、ですよね?」

  「え、はい」

  私の答えに、駅員さんは笑顔になる。

  え、どんな状況?

  困惑していると、彼は携帯で何処かへ電話してから駅の待合室へと私を誘導する。

  いやいや、何なの?

  謎の対応を受けて首をかしげていると、警察と共にお母さんが待合室へと入って来た。

  そして、お母さんは私を見ると、その場で泣き崩れる。

  「お母さん?」

  私が問いかけるがお母さんは泣くばかり。

  見かねた警察の人が、事情を説明してくれた。


  「誘拐されていた君は知らないだろうがこの1年間、君の家族や友人は死ぬ気で君を探していたんだよ」


  と。

  「ちょっと待って? 1年間って何? 私は、1日だけ・・・」

  そこで、童話を思い出した。


  娘は1年後、自らの家族が待つ街へと帰ってきた


  つまり、私とこの娘さんは『1日だけ』鬼村にいたつもりだったが、普通の人からしたらこの1日は1年だったという事だ。

  私は、その場にへたりこんでしまった。

  だって、このあとの結末が見えたから・・・・・・


  案の定、鬼村は潰され、山自体立入禁止になり高いフェンスで囲まれた。

  彼が言っていた、「最後の別れ」の最後の意味はよく分からなかったが、きっと永遠という意味なんだろう。

  最後に聞いた彼の声が、


  「泣きたくなる」


  でよかった。

  私も、


  「あなたの笑顔は桜のようだ」


  そう思うから

オチがない割には長い!

すいません!ほんと!

「泣きなくなるくらい愛してる」は結構気に入っています

使えるかもよ!なんてね

明日はねー明日は、怪盗の話にしようかなと思います!

ではまた明日!

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