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迷い仔猫の居候  作者: 小高まあな
第六幕 上手の猫は爪を隠す
22/26

9−7

 このまま眠りたい。目が覚めたら全部どうにかなってないかな。

 投げやりなことを考えていると、

「……もしかして、全部終わりましたか?」

 穏やかな声がかけられる。

 視線を向けると、入り口に和服姿の男性が立っていた。

「おー、おっちゃん。呼び出して悪い」

 マオを抱えているのと反対の手をあげると、男性はつかつかと寄って来た。

「いえ、遅れてすみません。非番で自宅にいたもので」

「ああ、家、遠いんだっけ」

 中年のその男性は温和そうな顔を、痛ましそうにひそめた。

「だいぶ、お怪我をされているようで」

「まあ、ぼちぼち?」

「すみません」

「気にしなくていいって」

 ゆっくりと上体を起こす。

「悪い。色々あるんだけど、とりあえず今は家に戻りたい」

「はい。お送りします。その格好じゃ、外歩けませんしね」

 言われて改めて自分の全身を見下ろす。真っ赤だった。

「職質物件だなこりゃ」

 苦笑いする。それから倒れている黒服三名と赤服一名を指差す。

「これらの後片付けも」

「はい、引き受けます」

「本当、申し訳ない」

「いえ、こちらの不手際ですので」

 右手を出されたので素直に掴まる。そうして立ち上がると、車のキーを渡された。

「すぐそこに止めてあります。とりあえず乗っていてください。こっちをどうにかしたらすぐにお送りします」

「頼む」

 素直にそれを受けると、マオを抱えて倉庫から外にでる。

 今は一体何時ぐらいなんだろう。もうよくわからない。

 出てすぐに止めてあった黒塗りの車に乗り込む。

 倒れ込むようにして後部座席に座ると、目を閉じた。

 あとのことは、あとで考えよう。

 今はとりあえず、マオと一緒に帰れることを喜ぼう。

 眠ったままのマオの顔を見て、少しだけ笑った。


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