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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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愛は屋上の狼に及ぶ(7)

「気に入りました。是非買って下さい。…って、あれ?これ、ゼロが一つ多いじゃないですか。他の物にしましょう。」

小麦は慧の袖口を掴んで引き止める。

「待って。…これがいい。お金の問題ではない。気持ちの問題だ。駄目か?」

小麦は上目遣いで頼む。慧は必死ににやけるのを堪える。


「分かりました。僕と折半しますか。」

「そうしよう。」

小麦は顔を輝かせる。早速買って慧に着けてやる。銀に触れることも厭わずに。

「似合っているぞ。」


「ありがとうございます。そうだ。写真を撮りましょうよ。」

慧はスマホを取り出すと、タイマーを設定する。写真はとても綺麗に映っていた。

「ほら、これで想い出が残るでしょう。毎年菊を見たら僕を思い出してくれるのではありませんか。」

「寂しいことを言うな。お前はまだ若いだろう。当分死ぬはずがない。」


小麦は随分としおらしい態度になった。

「それは、これから死ぬまでご一緒してくれるという意味ですか?」

慧は悪戯っぽく笑う。

「今のはナシだ。私は何も言っていない。」

小麦はそっぽを向いた。


「羨ましい。贅沢な悩みですよ、相思相愛なのに躊躇うなんて。僕なんてどれだけ長いこと片想いをし続けているかご存知でしょう。小麦様は軽いなどと仰いますが、一途ですよ、僕は。」

光琉は帰ってきた小麦に言った。

「お前の場合は粘着質だ。諦めが悪いともいう。」


「最早アイドルの追っかけのような心境ですよ。実際偶像(アイドル)と思って崇拝していますからね。僕ごときが本当に愛されようとは思っていませんが、もう辛くて。せめて小麦様は幸せになって下さいよ。」

光琉は笑いながら軽く言っているが、光琉の場合は想いが報われずに、かなり酷い目に遭っている。小麦は光琉の前でこれ以上何も言えなかった。


「…分かった。だが、幹部の連中に余計なことは吹き込むなよ。」

小麦は写真を見返しながら言った。

「御意。」

光琉は頭を下げた。


「それと、ほら。」

小麦は光琉に何か投げて寄越した。シンプルな銀の指輪だ。

「これは?」

「土産だ。」


銀の指輪が?光琉には嫌がらせにしか思えなかった。しかし、光琉は指輪を咥え、左手の中指を通した。嫌な感覚が伝わるが、気丈にも微笑んで礼を言った。

「ありがたく頂戴します。」

「実際に嵌めるとは思わなかった。その辺で止めておけ。」

小麦は笑いながら言った。光琉はその後ろ姿に向かって舌を出した。


慧は弾む足取りで帰宅した。翌日、大学に行くときもその嬉しさは抜けなかった。

「よっ。」

陽気に声を掛ける人物がいた。振り向くと、見覚えのない、茶髪でチャラそうな男性が立っていた。


「ええと…どちら様ですか?」

「俺?俺は笹木ハリ。ちょっとお話があるんだ。」

慧は直感的にハリと関わってはならないのではないかと思った。

「すみません。少し急ぐので…。」

慧はそのまますれ違った。


「山神小麦に関する話だ。」

ハリは少し大きな声で言った。慧は歩みを止め、振り返った。

「ほら、気になるだろう?」

「…聞かせて下さい。」

ハリはニヤリと笑った。

恋人いない歴=年齢の人間が書いた恋愛話が此方になります。限界を感じます。ハリの名前が第一話に出てきたことを(以下略)。情報不足で、不親切設計の話ですが、そろそろストーリーが進むかもしれません。

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