ブランド服の殺人鬼(4)
由佳の家は大きな二階建てで、広い庭が付いていた。庭には秋桜が咲いている。光琉はインターホンを鳴らす。ドアが開き、金のロングヘアに艶っぽい真っ赤なルージュの女性が現れた。一番インパクトがあるのは巨大な胸だった。
「貴方が由佳の友達かしら。」
光琉は凛とした声にうっとりと聞き惚れる。
「はい。光琉と申します。此方は小麦様です。良かったらこれをどうぞ。クッキーです。」
光琉は左手で紙袋を渡す。
「あら、気を遣わなくても良いのに。」
「中に入ってもいいか。外は冷えるものでね。」
小麦は相手が大人でも通常運転だ。
家の中は清潔感があり、高価そうな家具が並んでいた。光琉はキョロキョロと辺りを見回しながら進む。
「嗚呼、光琉さん。お久しぶりです。」
由佳は少しやつれていたが、光琉を見て安堵の表情を浮かべる。
「お久しぶりです。その後どうでしたか。」
光琉と小麦は勧められるままに腰掛ける。ゆったりとしたソファだ。
「相変わらずです。」
由佳は溜息を吐いた。眼鏡をクイッと直す。
「きっと解決してみせますから、ご安心を。まずは犯行のあった日に由佳さんとご家族が何処にいらしたのか伺っても構いませんか。」
由佳は言い淀んだ。
「…もし、私や家族が犯人だったとしたら、警察に突き出しますか。」
「下らん。私はそんな面倒なことはせん。私に襲い掛かってきたら話は別だがな。」
由佳は安心したように話し始める。
「犯行があったのは、いずれも夜更けから深夜でしょう。全員眠っているんです。我が家は朝が早いので。証明は出来ませんよ。」
「成る程。では、家にある物でこの写真のように変装することは可能ですか。」
光琉はさっさと次の質問に移る。
「さあ、試したことがないもので…。」
「今試して下さい。その間に妹さんとお話をさせて下さいませんか。」
由佳は光琉を妹の部屋に案内する。おもちゃが散らかっている、如何にも子供部屋と言う雰囲気の部屋だった。
「初めまして。ええと…。」
「美玖よ。」
美玖はツインテールをして、フリルの付いたスカートを履いている。細い手足で、ハイソックスを履いている。お人形みたいだ。
「こんにちは、美玖さん。僕は光琉と言います。」
「美玖に何の用?」
美玖は悪戯っぽい目で光琉を見詰める。
「由佳さんのことで訊きたいことがあって。このところ元気がないでしょう。何かあったのですか。」
「美玖も分からないの。多分、最近デートした男の子と何かあったと思うの。」
光琉は気になった。由佳はその男の子について何も言っていない。
「その子はどんな子?」
「嫌よ。お兄ちゃんはお姉ちゃんの新しい彼氏でしょ。余計なことを言ったらお姉ちゃんに怒られちゃう。」
光琉は勘違いしている部分は敢えて訂正せずに言った。
「大丈夫だよ。由佳さんには内緒にするから。ね?」
「キスしてくれたら教えてあげる。」
光琉は呆れた。ませているなんてものじゃない。光琉は小麦に見られたら何と言われるか気にしながら、美玖の頬に口づけした。
美玖は不満そうだ。
「ほっぺじゃ嫌よ。」
「話してくれたら唇にしてあげるから。教えてよ。」
美玖は渋々言った。




