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薬学を学ぶ

あれから、俺はレティシアと一緒に、ほぼ毎日のように山へ入って薬草を採っている。

正直、最初はギスギスしてたけど――今ではちょっとだけ、距離が近づいた……気がする。


「今日もよろしく、家臣くん♪」


朝の山道、ひんやりとした空気の中で、レティシアの声が弾んでいる。


「なぁその“家臣”ってのやめろよ、俺にはルクスって名前があるんだって」


俺がぼやくと、レティは足を止めてこちらを見返した。

金の髪がふわりと揺れて、朝日を反射する。


「……え?」


「俺、ルクスって名前があるんだよ。せっかく一緒にやってんだし、そろそろちゃんと名前で呼べよ」


しばらく沈黙――レティは軽く目をそらして、口を小さく尖らせた。


「……わかった。じゃあこれからは、ルクスって呼ぶ」


言いながら、視線はこっちに向けず、耳までほんのり赤く染まっていた。


「だから……その、私のこともレティって呼びなさいよね。いい?」


「……お、おう」


なんだか落ち着かなくて、俺も頭をかいた。


「……じゃ、レティ。今日も頼むな」


「う、うん」


その瞬間、ふたりの間の空気が少しだけ柔らかくなった気がした。

そんなやり取りをしつつ、俺たちは山の奥へと足を踏み入れていく。



――カサッ、カサカサ。


「ルクス、ほら見て! これ、すごく大きな根っこ!」


レティは土をはね飛ばして、まるで宝物を見せるみたいにドヤ顔。


「おおっ!? うわ、なんだこれマジで太っ!」


レティが得意げに土を掘り起こす。

現れたのは拳より太い根っこ。表面に白い筋が走っていて、独特の香りがする。


「これ、ガイネ草。胃の薬になるやつ。おばあちゃんが言ってたでしょ?」


「うわぁ……めっちゃ金の匂いがする」


レティは呆れた顔で言った。


「ほんと、お金が好きね……ルクスって」


「いいだろ別に。欲しいもん手に入れたくて努力してんだよ、俺は」


そんなやりとりを挟みながら、俺たちは山のあちこちを歩き回った。


棘のある草に指を刺されたり、滑って尻もちをついたり――

レティが水たまりに足を突っ込んで叫ぶのを見て、腹を抱えて笑ったり。


なんだかんだで、籠は薬草でパンパンになっていった。


(はぁ、楽しかったなー……)


ふと横を見ると、レティが日差しの中で髪をかき上げていた。

その顔は、戦いのときとは違って、少しだけ無防備で――


ルクスは少しドキッとした。


(黙ってればかわいいのにな……)



「これはね、すり潰して湿布にするの。傷や打ち身によく効くよ」


「まずはこの薬草をすり鉢で潰すのよ。湿布にするにはね――」


おばあちゃんの家で、俺たちは調薬のお手伝い。


俺は汗をかきながらすり鉢をゴリゴリ回す。固い根っこがなかなか砕けない。


「ぐっ……これ、めちゃ硬ぇ……!」


「男の子なんだから、根性見せな!」と笑うおばあちゃん。


レティはその隣で火の調整をしながら、「砕くようにやるのよ」と小言を飛ばす。


「わかってるから黙ってくれ、真剣なんだ……」


「なによ、あんたのために言ってるんでしょ?」


でも、どこか楽しそうな表情。


湿布薬、止血の薬、打ち身に効く膏薬。

少しずつ、だけど確実に、俺の手の中に“知識”が積み重なっていく。


薬にするためには、乾燥させるもの。煮るもの。天日干しにするもの。

一つ一つに工程がある。おばあちゃんの説明は簡潔だけど、実に奥深い。


「ルクスくんは、まずこれ。打ち身とか、剣での軽い外傷に効く薬。

次に、食あたりとかにも使える“ニエラの葉”も覚えるといいね。冒険者に重宝されるよ」


俺は真剣に頷いて、メモを取った。


「……冒険者、か」


「ルクス、どうしたの?」


「いや……なんでもない」


(遠くの街で、でっかい獲物と戦ってる姿……想像したら、ちょっとだけワクワクした)



そして、ある日の午後。


《スキル獲得:薬草学、薬草調合》


いつものように草をすり潰していたその時、ふわりと浮かぶ文字。


(これって……スキル!?)


目の前の“表示”を見て、俺は思わず立ち上がった。


「……やった……!」


地味だけど、確かな力。

一ヶ月間、逃げずにやってきた成果が、ようやく形になった。


「なによ、ひとりでにやけて……」


レティが横目で見ながらも、ニヤニヤしてる俺を見て、少しだけ口元を緩めた。


「あんた、やればできるのね」


「へへっ。ありがとな、レティ」


山の風が、いつもより少しだけ優しく吹いていた気がした。

【ステータス】

名前:ルクス

年齢:8歳

種族:人間(村人)

職業:狩人

出身:ユレリ村

現在の欲望:

・レティシアと友達になる

・レティシアを泣かす

スキル:

・弓術 Lv2

・解体術

・矢製作

・身体強化

・精密射撃

・隠密

・薬草学

・薬草調合

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