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第五十三話






「益々意味がわからない……」



 本気の困惑を見せる初代さん。まあそりゃそうだけどね、流石にさっきの言葉で全てを理解しろよ? なんて言うつもりはない。





「俺はとある事情があってこの世界へ来たのですが……この世界を調べた時SSランク以上の力を持つ人達を知ることはできませんでした。ですが、様々な冒険者たちを見てこの位の力があれば超余裕で世界最強だろうと思い自分の力をセーブしていたのです。特に意味はなかったんですけど、マイルールみたいな、ただのお遊びです」




「……」




「実際その読みは当たっていて、初代さんに会うまでは無双状態でしたよ。だからここでもなんとかその読みを外したくなくて頑張ったんです……なんとなく自分の考えを外したくなくてムキになって戦ってみた……だけどどう頑張っても無理で見事に読みを外してしまったというわけです」




「……」




「つまり俺は本来の力を出さず、手を抜いていた状態だったんです」



「……」



「でも正直ビビりました。初代さんがここまで強いとは思ってもみませんでしたから。ぶっちゃけ保険掛け過ぎだろ?って自分でも思うくらい多めに見積もって力を使ってたのに、それを余裕で超えてきましたからね……」





「……だけど、お前の()()の前では俺の力なんて無意味だったんだな」




「え? 全力?」

「?」



「……すみませんが、俺の全力はあんなもんじゃないですよ? 一万分の一も出してません」



「流石にそれは……」





「たぶん初代さんも日本からの転生か転移でしょ?」



「ああ、そうだ」





「例えるなら、初代さん以外の冒険者や魔物の達は保育園児。強い奴らは年中さん年長さんって感じです。そこに俺は小学校最強の力を持ってやってきました。俺はそれくら保険を掛けまくってこの世界で過ごしていたんです」





「ご主人様……なんと情けない……お山の大将を気取りたかったのですな……言って頂ければいつでもお遊びに付き合いましたのに……」




「……例えだよ」




「当たり前の様に無双です。どう考えたって保育園児に負けるわけありませんからね。でも、最後に現れたあなたは完全に異質なものでした。保育園児ばかりだと思っていた世界に中学空手の日本チャンピオンみたいな途方もない力を持つ人間がいた。小学生の喧嘩番長では勝てるわけもなく、ボコボコに負けてしまったわけです。まあ、少しは遊びになっていましたが本気を出されたら戦いになどなりません」





「……」



「本当にあなたは強かったですよ?」





「ありがとう……んで、ツカサ君の本当の強さはどれくらいなんだ? 俺が中学生の空手チャンピオンだとして」




「すごく難しいんですけど……」




「参考までに聞かせて欲しいな」




「太陽? 最強戦闘民族?」



「ん?」




「太陽は人如きでは近づくことも触れることも直視する事すらできません。ましてや戦いなど成立するわけもありえません」




「俺がもし中学生ならそうだね」






「Karateマンがスーパー戦闘民族フォー同士が合体したスーパー戦士と戦いになんてなりませんよね?」






「どう考えても無理だね」



「そうでしょ? 本当はもっともーっと差がありますけど、わかりやすく言えばそんな感じですかね」





「噓じゃないんだな……心に届くよ……あーあ、最強だと思ったのになあー中学空手のチャンピオンレベルなのかー」





「いや、あれはただの例えなんで……そこまで気にしなくても。初代さんは本当に強かったですよ?」




「ありがとう……わかったよ! ……気持ち切り替えて、魔物の事よろしくね!」




「素晴らしい切り替えですぞ!」

「?」




「ちゃんと約束は守ります」





 パチン……俺は必要ないが少しカッコつけて指を鳴らし、世界の循環システムを弄り、世界に調整を加えた。




「終わりましたよ」



「え! 本当に!?」




「ええ、ただ……すぐに魔物はいなくなりません。百年程掛けて徐々にいなくなるようにしています。そうしないといきなりすぎて逆に混乱を招くでしょう? それに冒険者が全員無職になってしまったら大変ですからね。初代さんがこの世界に居続け、その力を使えば死ぬ人なんてでないでしょうから、がんばってください」




「何から何まですまんな……」



「構いませんよ、約束ですし。……でもこれはラメリの功績にしてくださいよ?」




「ああわかってる」




 事態を飲み込めたギルマス、コンセさんは声を上げ初代さんに駆け寄り喜びを爆発させた。

 


 またラメリも俺の方へ笑顔を向ける……







 ……ああ、寂しい。その笑顔ももう見納めか……






 ……





 ここで俺のやるべきことは、もう終わった……





 初代さんによってこの世界の創造神は倒されている……





 多分、今回は初代さんを倒すことが俺の仕事のはず……




 呼ばないといけないかぁ……






「創ちゃん……これでいいでしょうか?」






 この世界との別れを考えると俺の心は寂しさでいっぱいだった……





 めぐり逢いの人生だ……別れはいつもやってくる……が、寂しいものは寂しい……





 俺がシリアスな気持ちになっていると、それをぶち壊すように()()()の創ちゃんが現れた……





 今回は威厳など皆無だ……





「ぎゃはは、ヒーヒー……つーさん! マジで今回は最高だったよ! 特にカラミとの真実の愛を見つける戦いは……ぎゃははは! ……いやぁ本当に最高だった! 無限の時を生きている僕の中でもトップテンに入るくらい爆笑……感動したよ! ぶふぉ! と、ところで……いつ結婚するんだ? 結婚式には是非とも出席させて欲しい!」




「……」




「ぶっ! ……そ、創さん! ご主人様は……ご主人様は……振られたのです! ぶふっ! ……真実の愛はありませんでした!」




「! な……なん……ナンダッテー! まさか全知全能のこの僕がそんなミスをするなんて!」




「拙者もまさか、振られるとは思いもしませんでした……無念です……」




 なんなんだよこいつら……マジで台無しだよ。てか、なんでこんなに仲いいんだよ……



「……この茶番いつ終わるんですか?」





「つーさん今回もご苦労様!」

「……なにその切り替え」




「今回は色々頑張ってくれてマジで楽しめたよ!」




「……ドォーモ」



「そんなに怒らない怒らない」



「はあー、……今回は創造神に会わなくていいんですか?」




「ここに来る前に会ってきた。つーさんと同業者(パシリ)だし今までの創造神達より優しくしてあげたよ?」





「……んじゃここともお別れですね?」




「ああ、そうなるね……寂しいかい?」





「ええ……そうですね」





「僕は先に行ってるから、みんなに別れの挨拶を済ませてから戻っておいで」




「ありがとうございます……」





 創さんは、すっと消えた。俺は大きく深呼吸し、気持ちを整え、世話になった全員の元へと転移し別れの挨拶へ向かった……




 みんな別れを惜しんでくれた。色んな餞別を渡したし、これからは初代さんがこの世界にずっといるわけだから魔物の心配はしなくていいし。みんな元気に過ごせるだろう……





 また、元の場所へ戻り初代さんへ、通信魔道具の作り方なんかを教えてあげた。まだまだ必要なものだろうし、この人なら適切に使ってくれるだろうしね。


 あとは創ちゃんのことについても軽く説明。



 今回の創ちゃんは軽い雰囲気で来たけど、初代さんは創ちゃんが俺なんかとは比べ物にならない化け物だとなんとなくわかったみたいだった……



 まじで目玉ひんむいてたもん……

 


 

 わざわざこの世界の真実を話す必要はないのでそこは伏せて話したけどね……




 そしてこの世界で一番大切な人との別れ……




「……師匠、行ってしまうのですね?」

「ラメリ……」





「ああ、お別れだ……」




「……よしよし、涙を堪えて偉いですね? 抱きしめてあげますから近くにきてください」




「……だから、子ども扱いするなって、お前何歳だよ……俺はお前の師匠なんだぞ?」




「はいはい、そう言ってしっかり私にくっついているじゃないですか」



 


「お前が呼ぶからきてあげたんだよ……ラメリ、これから大丈夫か? 近くにいれないけど、一人でできるか? ……念の為以前より強力な力を渡しておこうか? 万が一にもお前がケガをしたら嫌だ……初代さんより強くしておけばいいか……」




「師匠……力はもう充分です。これだけの力があればもう必要ありません……それにケガもしませんし、しても自分でも治せます」



「そ、そうか……?」




「なんの心配もいりません、ここからは師匠の弟子としてバッチリ決めますから安心して、次の仕事に行ってください」




「だけど……」



「大丈夫ですって!」




「だけど……」



「心配無用です」




「だけど……お前ボロ泣きじゃねぇーかよ! 心配でしょうがねぇよ……」




 俺もラメリも大粒の涙が止めどなく溢れだし、お互いの洋服はもうびしゃびしゃ……




「……子守が終わってしまう、嬉しいような、悲しいような、そんな涙ですから気にしないでください……」




「気にするわ! なんだよ……子守って……」



「はいはい、よしよし。ラメリは師匠の頑張りをしっかり見てましたよ? 次の仕事も頑張って来るのですよ?」




「お前は俺の母ちゃんか……」



「師匠はとても強い力を持っていますが、女をみる目がありません。これからは私がチェックすることはできませんから、へんな女に引っ掛からないように気を付けるのですよ?」



「うるせぇよ……」

 



 俺達はそうやって軽口を言い合いながらしばらく抱き合い、別れを惜しんだ……






「ラメリよ……息災でな」



 バサシにとってもラメリはとても大切な人だ……プロポーズもしてるもんな……



「バサシ殿……ありがとうございます。……あの時の返事ですが……」




「良い……今は良いのだ……貴様にはこれから為すべきことが沢山あろう? 他所を見ている余裕などないぞ?……だが……無理はするな……体を大事にな……」




「はい!」



「さらばだ……」





 ……






 ん?





 あれれ?   







 ……バサシさん? なんかお前の掛け声でこの世界とお別れみたいなんですけど? ゆーっくり創ちゃんの所へ転移始まってるよね? 創ちゃんもわざとゆっくり転移させてるよね? いつもなら問答無用であっちに転移させられるのに。なんか切ねぇ……これ創ちゃんの嫌がらせだろ?






 ……バサシさん、最後の〆は俺にやらせてぇ?






 ……てか、飼い主よりカッコよく決めるのやめてくれない?













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していただけると自分でもビックリするくらいモチベーションが上がります! 



ぜひよろしくお願いします!



次の投稿は、金曜日にしたいと思います。

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