第五十二話
「つつ……久々に全力で防御しちゃったよ……大ぼら吹きじゃなかったんだな。……いやぁーすごいよ! ツカサ君マジですごい!」
おいおい……噓だろ……あの魔法を受けてあれっぽっちの傷だけ? え? うそでしょ?
俺、ほぼ全力よ?
周りをしっかり囲ってるからありえないが、あの魔法を世界に向けて撃てば世界そのものを破壊し周辺にある異世界とやらですら消滅するほどの威力だったはずだぞ……
「ツカサ君、今ので終わりって事はないよね? ここからが戦闘だよ? 久々にまともな戦いができそうだから少しでいいから頑張ってね?」
「はん! 今の魔法なんか半分の力も込めてねー……」
「ご主人様! 嘘はいけませんぞ噓は! 今のはほぼ全力の魔法でした!」
「……」「……」
最早敵か味方か区別のつかなくなった従者は完全に無視。
気を取り直して足場に魔法を使い自分をはじき出すように発動、一瞬で初代さんに近づいた。超々高速の斬撃をいとも簡単に捌かれる。すぐさま切り返し連撃を放つが全てが空を切り、腹に一発カウンターを受ける……完全無詠唱……考えた瞬間に発動する極大の魔法を近距離で放つも即座に同質量の魔法を放たれ相殺される……
くっ、完全に追い付かれている……ありえねぇだろ……一回時間停止をして一呼吸置くか……
停止した瞬間俺は吹っ飛ばされ、強烈な魔法をくらい腕を一本吹き飛ばされる。
「ダメダメ! 時間停止なんて俺には通用しないよ! ちゃんと通用しない場合も考えて行動しないからこんな大ダメージ食らうことになるんだよ? 欠損位は自分で治せるでしょ? はいはい、続きするよ! 立って立って」
「くそが! なんで俺の時間停止の中を悠々とうごいてるんだよ!」
「いいからいいから、次いくよ!」
欠損した腕は即座に回復させる。初代さんは余裕こいて待ってくれているので亜空間から背後に回り全力で首を刈ろうとする
「ダメダメ! 殺気が漏れてるよ!」
「俺にダメだしするな!」
一発一発が極天級ですら瞬殺してしまう攻撃を放ちながら俺達は戦い続けた。一時間もする頃には俺はボロボロ……対して初代さんは肩で息をしている程度、ぶっちゃけ初代さんは全力を出してはいない……
コンセさんは「まさかツカサ君にここまでの力があるとは……そして初代様のお力とはどれほどまでに……」 と、めっちゃビビってる。まぁこれほど自身と差があるとは思ってなかっただろうしビビるのも無理はないか……
それは俺自身も一緒だしな……
正直俺の読みが甘かった……初代さんは想像以上に強い……
……勝てない
――
「ああ、最高! こんなに強い相手と戦ったのは本当に初めてじゃないかな? マジですごいよ! ツカサ君がいるなら俺がずっと異世界に行ってても大丈夫じゃん! ……あ、でも俺の実力はもう十分に示せただろうし、どうにかしてくれるよね? そしたらもう異世界へ行かなくていいのか! 戦いが楽しすぎてすっかり忘れてたわ」
「……」
「当初の目的を思い出したところでそろそろ終わりにしようか? まだなんかあるなら今のうちに出してよ? ツカサ君なら気付いているだろうけど、俺は全力じゃないからまだまだ付き合うことはできるからさ」
「はあー、どうやら俺の負けの様ですね……まさかこの力で負けるとは思ってませんでした……完全に俺の読み違いです……」
「いやいや、ツカサ君めっちゃ強かったから凄いと思うよ! 間違いなく俺の次に強いから自信もっていいよ!」
「ありがとうございます、約束通り魔物の件はどうにかしますので安心してください」
だけど……こっからはマジな俺の仕事の時間……
「ありがとう。なら……」
「じゃあ初代さん続きをしましょう……全力で来ていいですよ? 俺も少しだけ力を開放しますから……」
「ん? 今なんて?」
「初代さんの全力を出して俺に挑んできていいですよ? 少しだけ力を出して相手をし、本物の最強を教えてあげる、と言ったんです」
「あんまり意味が分からないな。ツカサ君には余力なんてないだろ? それにもし余力があったとしても俺の全力を受け止めるなんて不可能だよ。流石にそこまでの力はツカサ君にはない……」
「俺の力を初代さん程度が理解するのは不可能です。お子様にSSSランクの力は理解できないでしょ?」
「……はあー、せっかくのいい気分が台無し……なんでこうなるかな……こういう負け惜しみとかはいらないんだよ……」
本気で落胆している初代さん。今までには見せなかった怒りの感情が浮かぶ……
空気が張りつめ、ギルマスは腰をついてしまった……コンセさんはギリギリ踏ん張っているが、初代さんが怒っているのを見るのは始めてなようで完全に腰が引けている……
「……まあいいや、殺しちゃっても蘇生させればいいだけだし。……んじゃ俺の全力ちゃんと見といてね? ……いや……やっぱりいい……どうせ俺が動いたらツカサ君死んでるし……」
刹那大気が揺れ、初代さんは俺の背後に周り首めがけて横一閃……
全てを置き去りにし、完全に俺を仕留める為に放った斬撃……
よくここまで、磨き上げたな……これがこの世界最強の一撃か……悪くない……
……を、俺は二本の指で丁寧にキャッチし初代さんを投げ飛ばす……
阿呆な子供みたいに口を開けっ放しにし、数秒固まる初代さん。
「? え? え? ……ツカサ君、え? 今……なにを?」
「初代さんの全力の一撃を指で掴み投げ飛ばしただけです」
「いやいや……そんなあり得ない……俺は今間違いなく全力を出してツカサ君を殺そうと……それを指で? え?」
「そりゃ仕方ないですよ、力を解放しちゃいましたからね? そうなったらいくら初代さんが全力出したって無駄です」
「解放? ……だけど、ツカサ君は余力なんて残ってなかっただろ?」
「そうですね、俺がこの世界で設定していた力で言えば全力を出していましたし、確かに余力なんてこれっぽっちもなかったです」
「は? 意味が分からない……」
「簡単に言えば俺が強すぎるってことです! 俺が最強ってことです!」
俺は今迄の不遇を取り戻すべく、どや顔を決めた……
横からバサシがお手製の桜吹雪を投げようとしたのはひっぱたいて止めたが……
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