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第五話

 


 このまま帰ったら、どうされました? まだ何か質問がございますか? とか言われそうだがもういいか。



「いらっしゃいませツカサ様どのようなご用件で?」



「ワイバーンの討伐が終わったから確認をしてくれ」



 またまたびっくりした顔をしたがすぐに平静を取り戻し。



「かしこまりました、ではギルドカードを拝見致します」



「……はい、確認できました。なにか素材ございますか?」



「ああ、丸ごとあるぞ」



 今回のは流石にビビったようで丸々一頭のワイバーンを見て口が空きっぱなしになっていた。



「あ、ありがとうございます」



「それでは、討伐報酬の金貨十枚とワイバーンの買い取りで更に金貨十枚。合計金貨二十枚でございます」



「ありがとう、また明日にでも依頼を受けに来るよ」



「ありがとうございます。是非ともお待ちしております」



「そうだ、二つ質問していいか?」



「はい、なんでしょうか?」



「冒険者ギルドと言ったら荒くれ者のイメージがあったがそんなことないのか? 少し絡まれると思っていたんだが。あと、いきなり高ランクの依頼を受ける奴は少ないと言った割には俺が依頼成功したにも関わらずそこまで驚いた様子がなかったのはなぜだ?」



「どちらも、レイ様が原因です」



「勇者レイ様?」



「はい、レイ様が初めて冒険者ギルドに来た時その優しい見た目で先輩冒険者が絡んで行きました」



「すると、テンプレ乙と言って伝説の無詠唱魔法を唱え吹き飛ばしたのです。未だにテンプレ乙の意味はわかりませんが、それ以来新人に絡む者はいなくなりました」



「又驚かなかったのも、レイ様が初依頼をいきなりA級のドラゴン討伐をしたからです」



「ただ、レイ様は討伐する際にドラゴンを消し炭にしてしまったようでツカサ様がワイバーンを無傷で持ち帰った事に関しては少し驚いてしまいました」



「そっか、流石勇者レイ様だ」



 レイ君は最初からあまり自重せずガンガン行っていたのかな?



 テンプレ乙っていうあたり異世界物もそれなりに知っているようだし、会うのが楽しみになってきた。俺は受付嬢にお礼を言ってギルドを後にした。



 その後異世界を満喫しようと武器屋に行っては大興奮し、防具屋に行ってはうっとりしながら漆黒の防具と剣を購入してしまった。



 俺の防御力があればなんの防具もいらないし、武器なんてものも全く必要がないが初異世界ということもあり一式揃えてしまった。



 そうして、異世界を満喫していると物凄い人と歓声が上がった皆口々に。





「レイ様万歳!!」



「勇者レイ様! 万歳!」



「世界の英雄!」



 なんてまさに絶叫だ。



 俺もその列に混じってレイ君を見ようと待っていたら遂に現れた。



 それは、びっくりするぐらいのイケメンだったのだが若干気怠そうにしているのが印象的だった。ちなみに、俺もかなりのイケメンに改造されていた。創さんのサービスと思っておく……



 閑話休題。



 黄色い声援を一斉に浴びながらもだるそうになんとか手を振っているようだ。



 じゃあ俺も軽く挨拶しとこうか……ちょっとだけ殺気をこめて、レイ君がこっちを見たタイミングで。



「テンプレートお疲れさま」



 これで、伝わったようだな。かなりびっくりした顔してるし。



 作者の人が今の日本から転生したイメージで書いているんだろうな。だからこうした言葉も伝わるんだろう。



 レイ君はかなり気にしていたが、パレードの途中で抜けるわけにもいかない様で不満げではあるが王城らしき所へ入っていった。



 興奮冷めやらぬ民衆を尻目に宿屋へ向い女将さんへ今日の分の支払いを済ませ少し寝ることにした。



「さて、あとはあっちからアクションが来るだろうからそれまで少し休むか」





 そうしてしばらくして目を覚ますとレイ君がそこにいた、もちろんわかってはいたが初異世界という事もありそれなりに疲れていたから寝かせてもらっていた。



 俺が全く取り乱さない所を見て少しだけ驚いたレイ君だったが、すぐに平静を取り戻し話しかけてきた。



「あなたは何者ですか? 日本人ですよね?」


「ああ、そうだよ厳密に言えばレイ君がいた日本とは違うと思うけど」


「平行世界?」


「んーそれともちょっと違うけど、まあそんなところかな」



「そうですか、それで何か目的があるんでしょ?」


「だるそうにしている割に鋭いね」


「ダルそうにしてるのは生まれつきです」


「そっか。んじゃ本題に入る、いきなりで悪いがレイ君を倒しに来た」



 レイ君は再度驚いた顔をしたがすぐに軽く笑った。



「どうやって倒すんですか? はっきり言って俺はチート持ちだし、強いですよ? あなたも創造神からチート貰ったんですか? それでも俺に勝てるとは思えませんけど?」



「ステータスを見る限り、A級は超えてそうですがS級には足りないって感じです。まあそれでも十分天狗になってしまうのは理解できますけど。素のステータスがそれだとチート持ってても無理ですよ?」



 あ、こいつ俺のステータス見たな? 念のため弱めに偽装しといたんだけど正解だった。



「本物の創造神のチートマシマシだから心配ご無用」


「本物の創造神ってどういう意味ですか?」


「気にすんな、ちょっとだけ俺に付き合ってくれよ」


「空間転移」



 レイ君は俺が唱えた魔法によって強制的に転移させられたことに今度こそはマジで驚いていた。



「すごいですね? チートを魔法に全振りした感じ? それにしても、俺を強制的に転移させるなんて……もしかしてステータスも偽装で魔王より強い? 魔王もそれなりに強かったけどちょっと強めの魔法使ったら楽勝でしたけど」



「俺はもっと強いから全力で来ていいぞ?」



「本当面白い人だな、んじゃちょっと強めに行こうかな」



 そう言って少し顔を引き締めたと思ったらレイ君は詠唱を始めた。



「古より終末を創造せし終わりの炎よ全てを焼き尽くせ」



 おお、厨二全開! レイ君無詠唱使えるはずなのに。やっぱり雰囲気だいじ。



 なら俺も対抗しちゃおう。



「滅びの使者よ我に歯向かう全ての敵を薙ぎ払え」



 お互い上級の更に上、最上級の魔法を唱えぶつかりあった。もちろん手加減済み。



 物凄い爆風があたりを吹き飛ばし、更地になってしまったがお互い完全なる無傷。ちゃんと周りにも影響がでないように空間を少しだけずらしてあるから全然問題なし。



「ツカサさん、マジで強いですね? さっきの魔法で魔王も楽勝だったのに」



 ステータスで名前もみてたか……てか最初っから魔王に使った魔法とか使うなよ!



「極級の魔法でもいいぞ? 使えるか? 今まで使えたのは賢者と言われた一人だけらしいが」



 ここら辺の知識は属性を測るときに受付嬢に聞いた知識だ。あとはどんな呪文と魔法があるか、この世界そのものにアクセスして調べた。全部その魔法で事足りるが、それをやっちゃつまらないからあまり使わない魔法。



「もちろん使えますよ、でも流石にそれ使っちゃったらツカサさん死んじゃうだろうし。手加減できないから難しいですね」



「だから心配無用だって、レイ君より一兆倍は強いし今手加減してるのは俺の方だから」



 おっと、少し大人げないかと思いつつ楽しくなってきたから煽ってしまったけどけっこう効果があったようだ。



 それもそうか、今まで世界最強で俺つえーしてたのに自分が手加減されているって煽られたらイラッとくるよな。



「少しイラっとしました、その口もチートですね?」


「んなチート貰うか! そんなチートいらんわ! まあいいから、レイ君かかってきなさい」


「色々聞きたいから死なないでくださいね?」


「……極級魔法、最後の炎」


「同じく極級召喚魔法、最後の使者」




 俺が空間をずらしていなかったらここ一帯……下手したら大陸ごと吹き飛びそうなエネルギーがあつまり形をつくっている。



 レイ君の魔法は超々高熱の炎の塊が不死鳥のような形を作り俺を睨みつける。

 


 対して俺の方は無骨な鎧を着た大剣を持つ不死者って感じのやつだ。


 

 なかなか心を刺激する両者の魔法だが、見惚れていられたのも数舜で両者が激突した。



「同じ極級の魔法がぶつかるとこんなにも凄いことになるなんてびっくりです! ツカサさん本当に死なないでくださいね?」



「これくらいの魔法がぶつかったってかすり傷もつかねーよ」



「本当に面白い人ですね! じゃあ無事生き残ってくださいね!」



 レイ君は更に一段ギアをあげ攻勢にでたが、俺には全く通用しない。楽しかったがそろそろ終わりだ。



 少し気合を入れてるとレイ君の魔法は消し飛ばされ俺の召喚魔法のみが残る。



 流石に言葉もでないようで、啞然とするレイ君。


「だから言っただろ、レイ君の十兆倍は強いって」



「さっきは一兆倍でしたよ? でも本当に手加減してたんですね? 絶対に勝てないってあの一瞬で本能的に理解させられましたよ。まあ仕方ないか、上には上があるっていうもんな」



「ツカサさん悪い人じゃなさそうだし僕の事殺したりしませんよね?」



「あっさりしすぎだろ! まあもちろんそんな事するは気はないけどさ。本当に用事があるのはこれから」



「創ちゃんの言ったことが本当なら小説内創造神、小造(しょうぞう)がくるはずだけど……」



「小説内?」



 やば! レイ君にあまり聞かせたくないワードを聞かせてしまった。


 

 どう言い繕うか迷っていると、体の芯からビリビリとくるような凄まじい気配を感じた。あのレイ君でさえ体が震えている。



 この気配はただのチート持ちじゃ耐えられないな、それにだいぶご立腹のようだし。




 そうして、天が割れ後光を纏った小造が満を持して現れた。


 誤字脱字ありましたらお願いします。

 

 感想ブックマーク頂ける嬉しいです。


 明日又次話投稿します。

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