第三十三話
少しの間待合室で待たされ、三人で話していると駆け足で職員の方が俺達を呼びにきた。案内された部屋に入ると、ギルドマスターに国のお偉いさんっぽい人に騎士。そして、今まであった冒険者とは全く別物の空気を纏った四人がいた。
ギルドマスターも元Sランク冒険者とあって、現役を退いた今でもAランクで通用するであろう力を有していたが。……現役は別格だ。これでもまだSランクって言うんだから驚きだよ。SSランク以上は創ちゃんの妨害で探ることができないし、この世界最強ってどんだけの力を持ってるんだ? 最強って言えばガブさんが最強の座に……とか気になるワード言ってたよな? あれってどういう……
「おい! ツカサ! 聞いてるか? そこに座ってくれ」
「ああ、すまん。ちょっと考え事してた……」
「こいつが、新しいSランク候補なのか? 単独で天災級を討伐したって言う」
「そうだ、だが現在は審査をしている暇がないので仮のSランクとしてこの会議に出席してもらっている」
その後、簡単な自己紹介を済ませた。ぶっちゃけ覚える気もないし、興味もなかったので誰一人名前を覚えていない。
だって、こういうのって今までのパターンだと覚えても意味ないんだもん……
なんかあればラメリに聞けばいいし。
会議は混迷を極めた。いつもの大量発生とはわけが違うからだ。なにせ普段なら強くてもBランクの魔物がいるかいないかなのに天災級(確定したらしい)が三体も確認されているし。王都周辺でこの様な事が起こったことはなかった。なにか世界に異変が起こっているのでは……と偉い人はビビっている、王家もかなり気にしているらしい。
天災級は群れのはるか後方にいるので先に雑魚を蹴散らせることができれば天災級のみに集中できる。雑魚の数は約十万、大量発生と呼ばれるギリギリの数というのが不幸中の幸い。ぶっちゃけ十万だけならSランク冒険者四人だけで余裕だと言っていた。
問題は天災級の三体だ。一体につきSランクが二人掛かりで挑むべき、と推奨されている。近隣の都市へ緊急通信を送りSランク以上の冒険者に招集を掛けているが皆忙しく所在がつかめない状況だ。
こういう時の為に、通信魔道具を増産しようと試みているようだが技術者の数が圧倒的に足りずまともに生産ができないらしい。王都と都市の相互通信分や大金持ちの貴族しか持っていないと嘆いている。
また、数少ない個人用通信魔道具はSSSランクに渡しているようなのだが、現在この大陸には一人しかおらずその一人も隣国に現れた天災級モンスターの討伐に向かっておりすぐには引き返せないと連絡がきたらしい。
だから、使い捨てとは言え通信魔道具を用意した俺にカラミさんは驚いていたのだろう。
この世界は魔物の脅威が凄すぎて、戦うことに特化した人間ばかりになっちゃうのかな?
俺は時折頷いて会議に参画している振りをして流れが決まるのを待っていた。ようやっとある程度の方針が決まったようだ……
まずは、Sランク以下の冒険者達が魔法をぶっぱなし雑魚をある程度殲滅する。残った雑魚を俺達が素早くぬっころし帰還。
天災級が来るのを待つ。天災級が来たら、再度Sランク以下の冒険者が一斉に魔法を放つ。その後Sランクが二人一組で各個撃破する、一体余ってしまうが俺を始め残りの冒険者による魔法で持って足止めをし討伐が成功した組が来るのを待つ。
……綱渡り感は否めないが、Sランクが足りない以上仕方がない。俺がもう一回単独で行きますよ? って言ったけど、防衛も必要だから残ってくれと言われた。
あんまり見せ場がないとバサシのSランク貰えないなーなんて思っていたが、会議で決まったことに声を上げて異を唱えるのは日本人の性質上難しかったのでとりあえず頷いておいた。
……悲しいサガだ。
一応、足止めがうまくいかなかったら、お前が討伐へ向かってくれとギルドマスターに頼まれた。
……つまりは、フラグである。これはバサシに行ってもらおう。
なんて、考えているとギルド職員が息を切らせてドアをあけ放った。
「大変です! 魔物の群れが突如進行速度を早め、王都へ向かい始めました! このままでは、あと一時間もしない内に会敵します!」
「なんだと! 今までそんな事なかったはずだ! ……一体なにが起こっているんだ」
「マスター、んなこたぁ考えても無駄だ。とりあえず準備始めようや。俺はさっさと天災級を切り刻みてぇんだ。うずうずして待ちきれねーよ……」
「……普段ならイカれたお前たちの相手など面倒で仕方ないが、こういう時には本当に頼りになる」
「……あーやっぱりまだ戦えるつもりだったけど……俺は鈍ったんだな」
「ギルマスがしみったれた事言ってんじゃねーよ! 私が引退したら、ギルマス継いでやるから、それまでドンと構えとけ!」
「……すまんが、全Sランク以上の冒険者の中でもお前は最もギルドマスターに向いていない。まずは文字を読めるようになってからだ……」
「……っしゃ! お前ら行くぞ! 全員私についてこい! 誰が天災級とタイマンになるかわからねーが気合い入れろよ! 」
変な奴ばっかりだな。だけど二人目の奴は面白かった。二人一組で討伐だ!って言ってるのになんでタイマンすることになってんだよ、全然話聞いてねぇ……ギルドマスターは諦めるべきだろう……
これでも、前々回の主人公トウマ君と同程度ってんだから凄いよな。……てかぶっちゃけ全員トウマ君より強い。戦闘準備を始めたこいつら見て確信したわ。
戦いが目前に迫ったことによって、全員の顔付きやオーラが段違いになった。ラメリの息を吞む音が聞こえる。もちろんバサシは全く興味を示していないが。
約一時間後、バラゴイズで感じたものよりも圧倒的に凄まじい地鳴りを響かせつつ遂に魔物達がやってきた。王都城壁の前方は魔物魔物の群れである。
……もし俺がチートなしでこの大量発生と対峙したら、百メートルを超える城壁があっても全然安心できない。むしろ、逃げることしか考えられない。本当に凄い数の魔物がいるだもん。この世界の一般人は良く普通に生活してるよな……
まぁ結局何処に行っても逃げ場はないのか……
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