第三十二話
「お前ら何も言うなよ」
現在俺は王都に着き、白い目を向ける二人に対し釘を指している。せっかくの最高の気分を台無しにされたくないのだ。
「ったく、面倒事が多すぎる世界だな。二回も続けてこんな事が起きるなんて」
「ご主人様、一つ目の魔物発生はご主人様がカラミに対して『万が一何かあったら連絡して』としっかりフラグを立てたから回収されただけではないですか?」
「……」
「……さてと、王都に来たはいいけどどうすりゃいいのかな?」
「ご主人様、素晴らしきスルーです。現代社会においてスルースキルは必須ですからな。このスキルがあればあのくそ上司にも……」
「うるせぇ! うるせぇ! あんなくそ上司のことなんか今はどうでもいいんだよ! ラメリ! どうする?」
「王都のギルド本部に向かうべきだと思う」
「本部か……」
実はこの小国ハジー王国は世界でも最古の歴史を持つ国なのだ。その理由は一つ。冒険者ギルドの発祥の地にして世界中の冒険者ギルドの元締めである本部があるから。その為、常に強者がおり国を守ってきた。他国も冒険者ギルドには気を使っているし、ギルドなくして国は立ち行かない。それは世界最強の国家であるガティ帝国でも一緒だ。だから、小国であるにもかかわらずハジー王国は世界でもトップクラスに発言力がある。
又、権力を持ったハジー王国が調子に乗らないようにと、初代ギルドマスターが「腐った国に居てはならない、我々が守るのは世界なのだ」という信念を掲げた為、代々の王様もギルドマスターも常に高潔でいるように努めているらしい。
そうしてうまいことその志が受け継がれていき今に至ると、ラメリが教えてくれた。
だからこそ、王都には常にSランク冒険者が四人はいるのだろう。本部を失うわけにはいかないもんな。
そんな事を考えながら、俺達は本部に着きドアを開ける。
そこは鉄火場という言葉がしっくりくるような異様な空気を出していた。……これまで、王都周辺でここまでの規模での大量発生はなかった、しかも今回は天災級も混じっているのだからピリピリするのも頷ける。
……それにしてもレベルが高い。活動拠点としているあの街を優に超えている。流石本部だな。
「バラゴイズより応援としてきたAランク冒険者のツカサです。どうしたら良いでしょう?」
受付の人は、すぐさまギルドマスターを呼びに向かう。するといきなりマスターと対面することになってしまった。
現れたギルドマスターは凄まじい力を持っているのがすぐにわかった。年老いているがその眼光はそれだけで低ランクの魔物を射殺せる事ができるのではないかと思わせるものだった。
「お前がツカサか? バラゴイズのギルド長から連絡があってバラゴイズを救った英雄だと聞いている。それに天災級の魔物を単独で討伐したともな……」
「ええ間違いありません。Sランクにしてくれるんですか?」
「ギルド長が間違った報告をしてくるとは思えないが、審査している時間がないから今すぐ決めることはできない。もう少し待っていろ、まあ今回の戦闘でしっかり見定めさせてもらうさ」
「わかりました、でしたらこのバサシの事もしっかり見ててください。こいつも余裕でSランクを超える力がありますから。そしたら二人いっぺんにSランクにしといてください。また審査とかで時間が掛かっても面倒なんで」
「……どうして、Sランクを超えてくるような奴はこうもイカれた奴ばっかりなんだろうな」
「あなただって、元はSランクを超えた冒険者でしょ? 佇まいを見るとそれだけで実力者だとわかりますよ」
「まあな、ギルドマスターになるにはSランク以上が必須条件だし。でもSランク以上の奴はどいつもこいつもぶっ飛んでる奴ばっかりだ、ちょっとまともだってだけでギルドマスターをさせられるのは本当に大変なんだぞ! マジできついからな! こないだだって……」
愚痴が止まりそうにないギルドマスターに今後の事を尋ねる。この後対策会議が開かれるから、そこに仮Sランク冒険者として出席して欲しいとの事だった。
会議には現役のSランク冒険者がいるというから楽しみだ、どれほどのもんか確かめてやろう。
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