第二十一話
決意を新にいつものごとく用意されていた宿屋をでて、冒険者ギルドへ登録にやってきた。街行く人々はそれなりの数がおり、獣人もボチボチと見かけたが若干肩身が狭そうな印象を受けた。もしかしたらこの異世界では獣人は差別的な扱いを受けてるのかもしれない。そうなって来ると、そこら辺も少し突っ込むことになるだろうなと思いつつギルドへ到着。
中へ入ると、これまでの異世界と同じ様な内装だった。だが内容が全然違う、中にいる冒険者達のレベルが段違いだった。驚くことにトウマ君の世界では最強格であったはずのガーボ君は、この世界で考えるとなんとかBランクレベルって感じで俺はこの世界への警戒レベルを一段引き上げた。
かなりインフレしてない? 創ちゃん一気にレベル上げすぎじゃない? まあ異世界小説なんて作品が違ったら、強さも全然別物だもんな。宇宙を破壊しちゃう主人公もいれば無詠唱を使えるだけで最強な世界もあるし。色々だよな、だからこそ異世界小説は楽しいのかも知れないけど。
俺は色々な事を考えていたが、そんな事お構いなしのバサシ君はギルド内にいる冒険者達に向けて盛大にメンチを切っていた。バサシも俺もしっかり力を落としB級程度にしている。だが、現在ギルド内にいる冒険者の中で一番強いのはCランクレベルの為、誰も俺達に絡んで来れないでいる。俺も一回位は登録する時に絡まれて”おれつえー”してみたいが、流石に口に出すのは恥ずかしいので黙って受付に向かった。
「すまないが、かなりのド田舎からでてきて冒険者ギルドやここらの地理なんかがわからないので説明してくれると助かる」
俺がそう頼むと、受付嬢は顔を赤らめて説明してくれた。……そういえば創ちゃんのお陰で俺、めっちゃイケメンになってるんだよな。バサシもクソほどイケオジだし、そりゃ赤面するよな。これまでの世界って女の子とあんまり接点なかったから忘れてた。前々回のズーさんはどう見てもトウマ君と両思いだったから俺の事なんか友達としか見てなかったからな。……俺も良い人見つかったらいいな
「……以上になりますが、よろしいでしょうか?」
ナルシストになってしまいつつ、受付嬢の話を聞いているとあっという間に説明は終わっていた。簡単に言うとこの世界はオーソドックスな異世界。ただしレベルがかなり高い。そして今俺がいる国は、ハジー王国という小国。他にも帝国や宗教国家など面倒そうな国もあった。
もちろん魔王もいるが、それは名称で単に魔族の王様という意味らしい。そして異様に冒険者達のレベルが高いのは出現する魔物が馬鹿みたいに強いから。今でも数年に一度は魔物の大量発生により滅びる都市があるらしく冒険者達の活動はなくてはならないものになっていると受付嬢は力説していた。
その為、S以上ともなると下手な貴族など相手にもならない程の権力を得ることができ、庶民達の立身出世の夢だとも語っていた。まああらかた理解できたから、後は勧善懲悪しながらボチボチ行ってみようか。未だにこの世界の主人公と小造を呼び出す条件はわからないけど、多分旅でもしていけばなんとなくわかるだろうし、張り切って行ってみるか! 俺も遂にまともな冒険者デビューだ!
「ではさっそく、冒険者になるべくテストを受けていただきます。ちょうど本日この後からテストがございますので受けていきますか?」
「……気合入れたのにテストあんのかよ」
「え? 今なんと? 申し訳ありませんが聞き取れませんでした」
「なんでもないなんでもない、テストお願いします」
「? 畏まりました。ではあちらのドアをでると小さな闘技場がございまして、そちらで一時間後にテストが始まります。合格目指して頑張ってください!」
「ありがとう、頑張ってくるよ」
キレイな受付嬢に、鼻の下を伸ばさないよう気を付けつつ試験会場へと向かう。俺は女の子の前では割かしカッコつけていたいタイプなのだ。本心ではにやけてしまうのを必死で堪えているんだけどね。……でも仕方ない! だって、あんなにキレイな女の人に頑張ってください! なんて言われたら気を引き締めてないと顔が気持ち悪いことになるの間違いなしだから!
少し歩くとそこはすぐに闘技場になっていた。広さは体育館二個分って感じの広さがあり実力をみるには充分な規模。俺達と同時刻に試験を受けるであろう受験者は全部で六人。皆が皆それなりの実力を持っているのがわかったが、十代後半位の若者は少し生意気そうな見た目をしていてこちらを見下すように見てきたのは印象的だった。
俺の現在の見た目は先程も言ったとおりかなりのイケメン仕様になっている。しかし年齢は二十代前半、下手したら十代と間違えられても可笑しくない風貌である。その為多少舐められる事も十分にあり得た。ただ、威圧感バリバリの渋いイケオジバサシが常に横に控えているので絡まれることは皆無だった。あんなに挑発的な目を向けてくるということは、余程の実力者か相手の力量を正確に推し測れない愚か者のどちらかだろう。……もちろん彼は後者だが。
それと、もう一人気になる人物がいる。フードを目深にかぶり顔を隠している女性がいるが彼女はきっと獣人なのだろう。周囲をかなり警戒しているようだ。受付嬢も言いにくそうにしていたがやはり獣人差別はあると言っていた。
ハジー王国自体は獣人差別をする人間は少ないのだが、様々な所から人間が集まる為に差別をする人間も来てしまうのだと寂しそうに説明をしていた。
もしかしたら、獣人が過去や現在進行形でなにか差別されてしまう程の悪行を重ねているのかも、とも思ったがそんなこと全くなく、”獣人とは獣と交わった人間の子孫だ!” という根も葉もない噂を真に受けて差別しているだけだった。
詳しくは聞いてないが、人間は猿から進化し獣人は様々な動物から進化しただけ。つまり人族も獣人族も元は動物。祖先が違うだけなのに何を言っているんだか。
差別とは本当にくだらない……
思考に耽り少しずつ腹がたってきたころ、やっと試験官がやってきた。
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