第二十話
「おい! バサシ、起きろよ」
「……ん、ご主人様? ……創さんは?」
「もう終わったから安心しろ、でもあのまま次の異世界に行くことになったから既に転移してるぞ」
俺は、バサシに経緯を説明しこれからの事を話し始めた。
「って事で前回できなかったことをしつつ異世界ライフを楽しむぞ」
「畏まりました。……前回は主人公にすら会うことなく終わってしまいましたからな」
「だな。あの世界では嫉妬君とサンバンさんにしか会ってないけど二人共クソのヒイラギって言ってたし、ある意味どんな奴か興味はあったな」
「ですな、大罪スキルがなくなってしまいどうなったのでしょう」
「あー、転移するちょっとの間であんまりわからなかったけど、俺も興味あって少しだけ調べたんだ。したら、ちょうど誰かと戦闘中だったみたいでボコボコにされてたよ。いきなりスキルがなくなったもんだから意味も分からないしテンパっちゃったんだろう。相手の人も怨恨で戦ってたみたいだったし、スゲーいい顔でボコボコにしてた」
「主人公がスキルを失ってしまってボコボコにされる小説で良いのでしょうか?」
「ダメだろうけど、あの世界はもう完結した小説だって言ってたし。そもそも小説を基にして世界ができているだけであって、あの世界でなにが起ころうと現実の小説には影響ないんじゃない? 創ちゃんの説明ではそこら辺詳しく教えてもらってないからわからないから推測だけどさ」
「さようですか。ではこの先もそこら辺はあまり深く考えずに行きます」
「考えたってわからないしそれが一番。ちなみに、バサシを起こす前に例の紙が落ちて来たんだけどいつもみたいに情報はなくて、”なんとなく楽しみながらやってみてー”だそうだ。んで、世界をサーチしてみたんだけどほとんど情報が得られなかった。創ちゃんが意図的に隠してるっぽい、まあそこらへんはボチボチやってみよう」
「はい」
「あ、でもいくつかわかってて、いつも通り冒険者ギルドがあってSSSランクまであるみたい。だけど、強さが今までと段違いだったわ」
「……ほう、それはどれくらいでしょうか?」
「お前のその表情、この前小便ちびった奴とは思えないほどイケてるな?」
「犬の拙者からしたら、小便等日常茶飯事ですからな」
「……まあいいや。んで強さだけど、トウマ君レベルでもSSランクには全然届かなくて、Sランク中盤って感じかな? Sランク以上は調べられなくされてたからわかんないけど、Sランクにはトウマ君レベルがゴロゴロしてたよ」
「一作の主人公ですら最上級に届かないのですか……しかしながら情けない! トウマはいずれ鍛え直さなければいけませんな。あやつにはご主人様の従者の資格があるのですから!」
「それは置いといて。Sランク以上は正に化け物ぞろいって奴だ、トウマ君レベルなら天候すら操れるだろうしその上はもっともっとやばいのばかりかもしれないな」
「ふん、いくら強かろうが創さんのチートを頂戴しほぼ最強となった拙者の敵などいますまい」
「……お前は良くそこまで、他人に貰った力で威張れるな」
「? どういう事ですかな?」
「だって元は俺達の力でもなく、創ちゃんにたまたま選ばれてチート貰っただけなんだから俺はそこまで威張れないわ」
「……理解できませんな、……一つ考えてみてください。創さんのチートを使いこなせる者などそうそういると思いますか? それほどまでに創さんのチートは凄い力を秘めています。凡人がこのような力を持っても使いこなすどころか精神が持ちますまい。かく言う拙者も元居た世界で四十年程ですがひたすらに創さんのチートを使いこなす事を考えて修行しておりました」
「……」
「日本には宝の持ち腐れという言葉があったはずです。いくら凄まじいチートを持っていようと使いこなせなくては意味がありません。拙者もご主人様もしっかりと力に振り回されずに使えているのですからいいのではないですか? それにご主人様は一億年も修行しておるのですよね? なら尚の事自信を持ってこれは俺の力だ! と言っても良いのではないですか?」
「それにですよ! あの全知全能の最強創造神様に選ばれたんですよ? それだけでも凄いことだと、自慢していいと思いますが」
「……そっか、……そうだよな。チートを才能だと考えるとそれを生かすも殺すもそいつ自身だもんな。どんな凄いチートも才能もダメな奴が持ったら意味ないもんな」
「……俺ももうちょっと柔軟に物事を考えるよ、俺だって伊達に一億年も修行してないからな!」
「……不甲斐ないご主人でいつもすまんなバサシ」
「その謝罪受け入れましょう。ご主人の不甲斐なさは今に始まったことではござらんし、そんなご主人様を支えるのも拙者の務めですからご心配には及びません」
「……あーやっぱりムカつく! 何なんだろうな! この気持ちは!」
「ご主人様、こういう時こそ素早く切り替えて次へ進みましょう!」
「お前が原因なんだよ……」
俺達はいつも通り話し内心ではお互いの無事を確かめ合っていた。なんだかんだ、先程の創ちゃんとのやりとりは本当に怖かったし、マジでビビっていたからな……でもそんな日常の会話を経て平静を取り戻した俺達は本格的に今後について話し合っていった。
この異世界ではしっかり創ちゃんに楽しんで貰いつつ俺達も楽しみ、小造を呼び出していこう! と二人で固く心に誓ったのだ。
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