第七話 エンドラン、探索
*この話は、作者が中学時代の頃に小説というモノを知らぬまま書き上げた小説を大幅に加筆修正した小説です。
*この話を元にした(リメイク小説)『結末は分岐しだい』と読み比べてほしいためだけに、公開しています。
*話の本筋はラスト以外変えていませんので、不思議なことも多々発生します。
*このお話の彼らがいてのリメイク版があるので、広い心で読んでいただけると嬉しいです。
*誤字脱字等ありましたら、お知らせください。
第七話 エンドラン、探索
「う゛、重い」
気持ちよく寝ていたはずなのに、体を襲ったなぞの重みで訑灸は目を覚ました。
昨日、無事にエンドランへたどり着いた三人は、しゅうの実家に母蘭子の誘いで泊まっていた。
「おっはよ。訑灸兄ぃ」
ゆっくり目を開けると、上にはベッドで寝ていたはずの少年が笑顔で乗っている。彼にそこから降りるように伝え、時計に目を向ける。針は午前七時を指しており、時刻を確認した訑灸は軽く背伸びをして身体を解した。
「すばる、しゅうは起きてた?」
「ううん。知らない」
「で、なんで俺に乗ったのさ?」
「一人じゃつまんなぁい」
「だろうね」
予想通りの回答を聞くと、ソファーから立ち上がりカーテンを開く。陽は昇り、カーテンがなくなった窓から光が入ってきた。
「まぶしっ。まだ七時なのに昼みたいだな」
寝巻きから服を着替え、軽く髪をセットし身支度を整える。すばるの着替えも済ませ、二人は隣にいるしゅうの部屋へ向かい、こっそりと侵入する。そして、訑灸は静かにすばるへ言った。
「すばる、しゅうの上に乗れ」
「いいの? しゅう兄ぃ起きるかなー!」
指示された少年は楽しそうに答えると、迷うことなく寝ている青年の上へダイブした。
「う゛ぇ」
想定外の衝撃に呻き声を上げると寝ていた青年は目を開けた。そこには先日仲間になった少年が笑っている。しゅうはすぐに状況を把握し、すばるへ声をかけた。
「すばる~、降りろ」
ここでも彼は素直に従う。しゅうは起き上がると、今回の首謀者であり、傍観していた友人へ悪態をつく。
「なぁ、木更ぁ、なにやってんの? まだ七時半だよ。眠いっつうの!」
「そんな俺は、三十分前に、まったく同じことされて、起きたんだけど?」
理不尽な怒りに、ゆっくり間を開けて返事をする。
「お互い様か」
「早く準備しろよ」
「へーい」
しゅうが完全に起きたことを確認すると、二人は部屋を出て行った。残された青年は、いわれた通り身支度を整えるため動き出す。服を着替えカーテンを開き、荷物をまとめる。
二十分ほどで完了し、二人のいる部屋へ声をかけに行く。ドアをノックをして中へ入ると、そこには各自寛いでいる姿があった。
「終わったの準備?」
訑灸が声をかける。
「早くって言ったじゃん。まだ八時くらいなのにさっ」
「俺に言うな」
ーーコンコン
「どーぞ」
訪問者へ二人は同時に答えるが、そこですかさず、
「一応俺の部屋なんだけど?」
訑灸がしゅうへ指摘する。
「そんなこと言ってないで朝ごはん食べよ」
訪ねてきたのは蘭子で、三人を朝食へ誘いにきたようだ。
食事の用意された部屋へ案内され、各自席につく。ご飯に味噌汁、焼き魚。朝食の大定番である。
一度食べ始めると、特に会話もなく朝食の時間はあっという間に終了した。食べ終えた食器を片付け、一度部屋へ戻り荷物を取りに行く。
準備と装備まで済ませ、出発のタイミングで蘭子から声がかかった。
「あら、もう行くの?」
「まぁね。早く出ても損することはないから」
と答える息子。三人は彼女へ出掛ける挨拶をすると、街へ向かうため玄関を出る。
まず、彼らは不動産屋へ向かった。まだ時刻は九時だが、エンドランの朝は早くほとんどの店は開いている。だから、すぐに部屋探しができた。
「あの、広くて、安い家とかあります?」
そうしゅうが聞くと店主のおじさんは笑顔で答えた。
「アパートならいい物件がありますよ」
「広さと値段は?」
訑灸は少し難しそうな顔で訊ねる。
「広さは3DKで値段は月六万くらいですね」
「リビングはなしか」
「そうですね、こちらの部屋にはありません」
「ありがとうございます」
訑灸はしゅうへこの物件をどうするか相談するため、顔を向ける。
「俺はいい物件だと思う」
「ただ、月六万ってのはきついけどね」
「……なんとかなるだろ」
提案された六万円のアパートを借りることに決めた二人だったが、大きな問題が一つ。
「金、どうする?」
「えっ、木更考えてたんじゃないの?」
「まったく……」
「お金がないならこの物件は譲れないね。お客さん」
「えっ、じゃあキープってことで。なんとかしてもらえません?」
「じゃあ、一週間以内」
「ありがとうございます」
しゅうの頼みを聞き入れてもらい、一週間の猶予をもらうことができた。
そこで、さらに借りるまでに必要な金額を計算してもらい見積書を預かる。
「……これ、借りれるのか」
金額を見た訑灸は、小さく呟いたのだった。
仮契約の話を済ませ不動産屋を後にした三人は、繁華街となる街へ向かい歩き始めた。不動産屋からはさほど距離もなく、十分くらいで目的地に到着する。今回は目当てのものがないので、どこにどんな店があるのか覚えるため、いろんな店に入りながらゆっくりと探索していた。
とある店に入り出て行こうとしたとき三人は店員に声をかけられた。
「君たち、ちょっと待って」
「万引きしてねぇよ」
あらぬ疑いをかけられたと、訑灸が言われてもないことを否定する。その隣で、すばるがしゅうに万引きの意味を聞いている。その姿に店員は慌てて首を左右に振り、
「とんでもない。君たち新入りだろ?」
「なんで?」
「それはな……」
店員が彼らへ勢いよく話し出した。
「ここに来た人は、必ず能力の確認をしないといけないんだ。どんな能力で、どのくらい使えるのか? シンクロ率は? まぁ、いろいろだな。だから君たちは学校へ行って、調べてもらうこと! 特に、君!」
そういって指名されたのは訑灸だった。
「なんで、俺?」
「君には、他と違う初めて見るオーラが見えるんだ」
「というと?」
「俺は、その人のオーラが見える能力なんだ。今までに、いろんな色を見たけど、君は初めて見る色。だから、行くべきなんだ」
「はぁ」
店員の一言により、彼らはまだ見ぬエンドランの学校へ行くことになった。
第七話は、探索擬きでした。
アパートの話も能力テストへいくまでの流れも何一つ覚えてませんでした。
アパート借りる流れは少しだけ修正しました。
大人になると知らなかった事実、たくさん発覚しますよね。その修正。
それでは、また次回よろしくお願いします。