帰城とヘンリエッタ
ベティ懐妊から一月、王都へ向かう船に揺られている。
今日は妊娠の報告をする為に帰城する。
「久しぶりの王都です」
「そうだね。宰相はいるだろうけど、後で義母様にも知らせに行こう」
「はい。ありがとうございます」
船が港に到着すると馬車が待っていた。
先触れにと前日に兵士を向かわせておいたのだ。
「ライオネル公爵殿下、お待ち申しておしました」
「久しぶりだね、ベッテル」
「はい。お久しぶりにございます。それでは馬車にお乗り下さいませ」
「ありがとう」
「勿体なきお言葉、ありがとうございます」
しばらく馬車に揺られ王城へと入った。
それからすぐに、父のいる玉座の間へと案内された。
「お久しぶりにございます」
「久しぶりだなライオネルよ。早速だが今日はどうした?」
「はい、ベティールの懐妊の報告にございます」
「ライオネルも父になるのだな。早いものだ。ベティールもおめでとう。ここには儂とカインズしかおらんから畏まらなくともよいぞ」
「「ありがとうございます」」
「そうだ直ぐにマイクを呼ぼう。今日は急な仕事が入って自領へと戻っているのだ」
「ありがとうございます。ですがお義父様、しばらく滞在する予定ですので父の事は気になさらないでください」
「そうか。それではマイクが戻る頃に身内だけだが祝いの席を設けよう。こちらで用意しよう、それまでは寛いでくれ」
「父上ありがとうございます」
「さて、アリアナやミラ、それに義母であるレイエアラにも伝えて来なさい」
「はい。それでは失礼致します」
「失礼致します、お義父様」
「ベティ、身体に気をつけてな」
「ありがとうございます」
「ライオネル、それにベティおめでとうございます。マリアは元気にしていますか?ご迷惑をお掛けしていませんか?」
「ありがとうございます。マリアは元気にしています。」
「カインズ伯父様ありがとうございます」
玉座の間を出るとリビングにいる母達の所へと向かった。
「母上、お義母様お久しぶりです。今日はご報告があり戻って参りました」
「ライオちゃんにベティちゃん。お帰りなさい」
「おかえり」
「それで報告とはどうかしたのかしら?」
「ええ、そのベティの懐妊の報告をしに参ったのです」
「まぁベティおめでとう」
「ライオネル、ベティールおめでとう」
「ありがとうございます」
「ありがとう存じますお義母さま」
「こちらにはいつまでいられるのかしら?」
「はい。しばらく滞在する予定です」
「よかったわ。お部屋はライオネルが使ってた部屋がそのままにしてあるからそこを使いなさい」
「ありがとうございます。では夕食の時まで部屋で休みを頂きます」
「わかったわ、ゆっくりと旅の疲れを癒してちょうだい」
「ありがとうございます」
「お義母様、失礼致します」
その日の夕食は父や母達がとても楽しそうに話をしてくれた。
今はこの大きな城に3人で暮らしている。
勿論文官、武官、兵士、近衛といるが楽しく話が出来るのは宰相、元帥くらいの者で母達は特に寂しかったのだろう。
それを埋めるように話は尽きなかった。
次の日、僕とベティは城下を歩いていた。
この国の王族は国民に愛されている。
子供を優遇し無償で教育する、税は安く国王でさえ民にフレンドリーに接する。
英雄呼ばれる王族も多く、国民の為に剣を振るう。
そして徴兵も無理強いはせず希望者を募る。
それでも国や国王の為にと立ち上がる希望者が殺到する。
マスタング国民の愛国心は強い。
だから王子の僕が歩いていても危険は少ないのだ。
「ライオネル公爵殿下」
僕を呼ぶ声。
振り返るとヘンリエッタ商会のヘンリエッタさんが手を振りながら走ってきた。
「お久しぶりですねヘンリエッタさん」
「お久しぶりです」
「ライオ様、こちらのとても美しい女性とはどの様なご関係なのですか?」
ベティはとても低い声で僕の耳元に囁いた。
「ヘンリエッタさん、こちら僕の妻のベティールです。ベティ、こちらはヘンリエッタ商会会頭のヘンリエッタさん」
「ベティール様、お初にお目に掛かります。ご紹介に預かりましたヘンリエッタと申します」
「ヘンリエッタさん、主人がお世話になっております。ベティールです。よろしくお願いします」
「ヘンリエッタ商会へこれから伺おうと思っていた所です」
「何か御用ですか?」
「はい、作った作品を見てもらって売れるか売れないか判断して下さい」
「それでは今から向かいましょう」
「はい」
ヘンリエッタ商会へ着くと早速取り出す。
王都へ行くと決まって、創作系スキルを取った。
その名も「クリエイション」
錬金術と併用して使うと今まで出来なかった字や文字、とても細かい作業まで行える様になった。
錬金術はハートとかの簡単な形は出来るが複雑な模様や形には向かなかった。
そして作り出したのは・・・
異世界小説でお馴染みのオセロ、将棋にチェスやマスタング城のプラモデルを作成した。
将棋や説明書は全てこちらの言葉にしてある。
一つ一つルールや作り方を説明する。
ヘンリエッタさんの顔が真剣そのものになっていた。
「公爵殿下。これは素晴らしいです。売れます。売ってみせます!」
鼻息の荒いヘンリエッタさん。
こう言うのが無ければ本当に美人なお姉さんなのだけど・・・残念だ。
商品化の為にウエストマスタングのヘンリエッタ商会支店へ卸す事、売上の20%、材料費、工賃として30%合わせて50%が僕に入る事などでまとまった。
貰いすぎの様な気がするがヘンリエッタさんはアイディア料これからもよろしく料込み込みだと言われてしまった。
ありがたく受け取ることにした。
ヘンリエッタさんからは一般用と高級な貴族用を作る様言われたのでヘンリエッタ商会の裏でチャチャっと見本を作成。
将棋 一般用 5センチ厚で降りたみ式。駒は布地の巾着。
高級用 棋士が指す様な立派な将棋盤に豪華な紋様を入れた。駒は金箔で字を入れシルクの巾着に紋様の入った専用の箱を用意。
オセロ 一般用 将棋と同じく折り畳み式で駒は白黒に塗った木を使う。
高級用 本体は軽くて丈夫なミスリルに上部は薄い鉄板に高級な生地を巻き付け取り付けた。駒はミスリルで作り色を塗り中に磁石を入れた。
チェス 一般用 同じく木の折り畳み式、駒も木製。
高級用 透明のガラス製、駒もガラスで細部までこだわった作り方。
「これでどうですか?」
「これは・・・素晴らしいわ。特にこのガラス製のチェス?こんなに透明なガラスは見たことないわ」
「そうなんですか?ならこんな風なグラスやお皿等はいかがですか?」
錬金術を使い不純物や気泡のないガラスの食器をつくった。
次にクリエイションで細工をすれば貴族の欲しがりそうな貴重な食器の出来上がりだ。
「こんなに綺麗な食器は見たことないわね」
「差し上げます」
「こんな貴重な物いいのですか?」
「構いませんよ。簡単に作れてしまいますから」
「ありがとうございます」
「それではさらさらお暇させて頂きます」
こうしてヘンリエッタ商会を後にした。
夜勤続きでなかなか書く時間が取れず申し訳ないです。




