4つ目の質問
拗ねたオリを無視して話を続けようとする俺に驚くシャルム。
「拗ねた奴は何言ったって暫くは無駄なんだよ。そのうち勝手に寂しくなって戻ってくる。いいから早く4つ目の質問しろよ。」
俺の言葉にため息をついたシャルムはやっと切り出した。
「お前、魔法いくつ使えるんだ?最初会ったとき、光使ってたよな。それでオリを治してもらったんだし。でもさっき水と風使ってオリを助けてくれただろ?んで、ツーリルノを倒したのはどう見たって炎だったよな?しかもあの威力と規模。炎を得意とする奴にしか使えないような上級魔法だろ。ここまですごいってことは魔術師なんだろうけど、それにしたってすごすぎやしないか?」
こんな質問が来るのは予想はしていた。シャルムたちの前では色々な種類を使いすぎた。
確かに俺は魔術師だ。それぐらいなら言っても構わない。魔法を全属性使えることは言うかどうか悩んだ。でも、言わずにいて使わないといけない場面に遭遇した時にきっと俺は後悔する。そう思ったからこそ言うことにした。
「俺は、魔法は全属性使える。」
「えっ?」
暫くの空白の後にシャルムが間が抜けた返事をする。やっぱ信じられないか。
「やっぱ信じられない?」
「い、いや、お前が言うなら、そ、そうなんじゃないのか?」
いかにも本気でそうは思っていなさそうに言う。ドモリ過ぎじゃんか。
「信じてもらえないだろうことはわかっていた。ちょっと見てろよ。」
そう言って、まず少し離れたところに土魔法を使って小さな山を6個それぞれを違う方向に作る。
「な!?土魔法?何をする気だ?しかも詠唱なし?」
あ、詠唱のフリ忘れてた。まあ今更だしいっか。
「詠唱はもう気にしなくていいよ。何をする気かって俺が全属性使えることの証明。」
騒ぎに気づいたのかオリがやってくる。
「何やってんだよ。オイラを差し置いて。」
お前が勝手に拗ねてただけだろという言葉を寸前で飲み込む。
「お前が拗ねてただけだろ」
あ、シャルムそこ言っちゃうの。俺が飲み込んだ意味は?
「で、どうなってんだよ。」
すっかり元に戻った調子のオリが言う。
「俺が全属性魔法使えるってのを完全には信じられないみたいだから実際に目の前で見せようと思って。あ、今できてる山みたいなのが土魔法で作ったやつね。」
「はあ?まあいいや。面白そうだし。」
軽く頷いてから魔法を使う。
「一応もう知ってる奴から行こうか。最初は炎ね。」
そう言って適当な大きさの火球を1つの山に向かって放つ。土はあまり燃えないはずなのに炎で消し飛ばされる。
後に残ったのは上部8割が消し飛んだ煙を上げている山だったはずのものだった。もちろん境目のところはここから視認できるほど焼けただれている。
「マジかよ。」
シャルムの言葉を無視して次に向かう。
「んじゃ、次水。」
「水で土山が破壊できるわけないだろ。」
バカにしたように笑うオリにイラッとする。洪水でもおこしてやろうか?やったことはないが、多分俺の周辺を水没させることくらいならできる。
そんな邪念を振り払って水球を作る。ただし今回は少し多めに魔力を注ぎこんだ。目にもの見せてやる。
「う、嘘だろ?」
顎が外れそうなほど口を開けて元山を見ているオリ。ざまあみろ。俺の手を離れた水球はまっすぐ山に飛んでいき山に当たった瞬間はじけた。後に残ったのは大量の水に押し流されたような状態になっている元山。完全に崩れ去っていて原型を留めていない。
「な、何だよあれ!?ただのウォーターボールがあんな威力あるわけないだろ?しかも崩れた土消えてるし。」
「そんなの当たり前だろ。魔力で生成した土なんだからそれより強い魔力で無理やり破壊したら消滅するに決まってんだろ?魔法と魔法をぶつけたら弱い方は消えるのと一緒さ。」
こんなやり取りをいちいちしてたらキリがない。面倒だし。一気に行くか。
「残りはもうやっちまうからよく見とけよ?」
「「え?」」
一気に両手の人差し指と中指にそれぞれ違う魔力を込める。指先に極小のそれぞれの魔力の球を生成し、同時に放つ。
魔法はそれぞれ別の山へ向かい、綺麗に壊す。風は、山が風化して綺麗に更地になっているし、氷は、山が一度完全に凍ってから砕けたようでボロボロ。雷は山があったところに巨大な焼け焦げたような穴が空いてる。闇はクレーター化してる。
「これでわかった?俺が全属性使えるって。」
二人はまだ信じられない様子で破壊されたそれぞれの山があったところを見ている。何が起こったのか理解できてないようだ。
「で、これで俺の言ったことが本当だって証明できたよな?さっさと5つ目の質問にいってくれ。俺はいい加減眠いんだ。」




