↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀狼討魔録 ~傭兵の母娘と謎の盗賊団~  作者: 松木 一
第二章 謎の町ヴェルゴー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/48

第48話 貴重な情報

「状況は、ウンディーネが行った時から変わっていません。皆さん怪我も無く、今は領主の館の地下に囚われています。皆さんを、お護りする事が出来ず申し訳ございません」


 シルフが頭を下げ、言葉を続けた。


「奴等は、使い魔の連絡が絶えた後、完全に炎の術を止めた皆さんの行方を掴めなくなり、逃げられた事を察したようです。それで人質を取ってアリシア様に私を喚ばせ、皆さんに伝言を言うよう脅迫したのです……皆さんには馬がないので、そう遠くには行っていない筈だと……」


「皆を人質にするって、予想通りになったわね」


 ロディを見るマーシアの表情には、少し元気が感じられた。

 ひとまずアリシアの無事を知り、安心したのだろう。


「ああ。まずは安心したけど……期限が明日の正午迄じゃ、どうにも……僕達だけじゃ手が無いし、時間がなさ過ぎて、警備局に戻って応援を呼んでも、奴等と戦うだけの人数なんて絶対に集まらないし……あの霧の対策を考える時間もかかるだろうからね……」


「……それも、そうねぇ……」


「申し訳ございません。期限を延ばす為に、山や森に隠れられたら探すのに時間が掛かると交渉したのですが……明日の正午まで延ばすのが限界で……」


 シルフが、すまなさそうに頭を下げるのを見たロディは、慌ててそれを止めた。


「あ、いえ……それはもう仕方無いです。他に分かった事は無いですか? 例えば銀灰(ぎんかい)の場所とか」




「分かった事は四点。但し、姿を消して聞いた事ですから確認は取れていません。まず、町の全住民が怪物です。領主のリッチモンドが言っていました。私はリッチモンドとテッドが、怪物かどうか確信を持てなかったのですが、アリシア様を捕縛した怪物が、テッドに変身する所を見ました。もうリッチモンドも怪物で間違いないでしょう」


「クソッ……町の全員、怪物で確定か!」


 イーゴリの口から、忌々しそうな呟きが漏れる。


「二つ目に、銀灰(ぎんかい)は、盗難を警戒して穀倉とやらに移送された様ですが、その場所は分かりませんでした。三つ目に、奴等は先程の襲撃で全ての使い魔と三割近い仲間を失った様です。最後は、皆さん既に気付いていらっしゃる様ですが、霧は黒魔法の産物で、私達精霊や術を弱めるそうです。ですが、どこで発生させているのか等の情報は得られませんでした……」


「さっき、倒した敵の倍以上は残ってるって事か……やっぱり、二人で助けに行くのは無謀に過ぎる……囲まれたらお終いだし、罠もあるだろうし……それに、どう考えても、霧への対策が無いと、闇や霧で目が利く敵を相手に視界が効かないし、術と精霊が弱体化して勝ち目が無い……」


「あの霧は、敵が皆さんに逃げられたと悟った後、すぐにリッチモンドの命令で止めた様です。理由は分かりませんが、お陰で町から出る時には、かなり薄れていました」


「……行動するなら……今しか無いって事か……」


「ロディさん。気持ちは分かるけど軽率な行動は禁物よ。霧を止めたのは、君達を油断させておびき出す罠かもしれないわよ?」


 ウンディーネが、戒めるように声を出す。



「それは安心して下さい。僕も、まだ死にたくないですから」


 ロディの言葉に、横に立つマーシアも頷いた。


「それに、敵は霧の正体がバレたって気付いてないと思います。あれは凄い力のウンディーネさんとサラマンダーさんの二人掛かりで、ようやく見抜けた代物なんですから……敵も、その辺りは自信を持ってるかと」



「あたしも、そう思うわ。それに、霧の無いこの機会を逃したら、もう皆も銀灰(ぎんかい)も奪還出来ないでしょ? 増援なんて呼べないんだし……」


「それは、そうだけど……さっきの戦いで分かったと思うけど、奴等はオーク等とは違って頭の切れる強敵よ。黒い奴も侮れない怪物だし、十分な勝算のある作戦が無いと、敵の大軍に簡単に殺されてお終いでしょう? アリシア様から君達を任されてるし、無謀な行動には賛成できないわ。何か、良い作戦でもあるの?」



「……それは……」


 ウンディーネの冷静な指摘に、マーシアの声が小さくなる。


「……イーゴリさん。銀灰(ぎんかい)か銀砂(ぎんさ)があれば少し売って頂けませんか? 今、霧は無いんだし、術や精霊を強化すれば、敵に見つかっても少しは有利に戦えると……」



「仲間を見捨てられんのは分かるが、本当に行くつもりか? たったの二人しかいないのに、術を強化する位で、あの町に向かうなんて、無謀にも程があるぞ?」


 イーゴリの心配そうな声に、ロディも反論できない。

 あの霧が無くとも、オーク等より遙かに手強く、数も多いあの連中を相手に、多少、術を強化した位では太刀打ちできないのは、あの町から本当にギリギリの所で逃げ延びた、自分達がよく分かっている。


 それでも、何とか仲間達を助け出し、銀灰(ぎんかい)も奪還せねばならないが、この八方塞がりの状況を打開する手が何も浮かばない。


 歯噛みするロディの横で、ケネスとロージーがヒソヒソと言葉を交わす。

 内緒話が終わった後、ケネスが何かを決意したかの様な表情を浮かべ、ゆっくりと口を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。