表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/17

呼ぶ者

久々更新ですね。

そしてそろそろ春ですね。





サファイア様の言葉に息を飲む者、止める者。目を見開く者、動きを止める者。この場に居る誰もが驚きを隠し切れずに反応する。




「光の乙女は帝国に繁栄をもたらす存在。そして、珍しい魔力を持ち一芸に秀でた者。その者の名は、」





広間に集まる人々を見渡しながらサファイア様はそう言葉を続ける。




「アーリヤ・アラン・エピナス!そなたは破壊と再生の魔女の力を持っている。力を生かすも殺すもそなた次第。力がつけば我が帝国にはかけがえのない勝利の女神へと成長できるでしょう」




サファイア様がそう言うと周囲から感嘆の声が溢れ落ちる。エピナス家が、とか、アーリヤ様ならば、とか、彼女を褒めちぎるものばかり。その声を耳にして私は呆れたため息をついてしまう。




「おや、妹が選ばれたのに随分憂鬱そうですね」





脇にいたユリウスが何か企んでいそうないやらしい笑みを浮かべてそう問いかけてくる。




「破壊と再生、とサファイア様はおっしゃったのよ?そして力を掌握すれば勝利の女神となると。それってつまりアーリヤには軍事力に役立つ力が何かしらあるということよ?婚約者探しに精を上げるあの子に、そんな血生臭いものは負担だわ」




「でも、サファイア様が予言されたなら、従うしか無いのでは?」




「だから、憂鬱なのよ」




寝食忘れて、奇声を上げながら夢中でプレイするほどのめり込む事はなかったが、大まかに今後の流れがうろ覚えではあるが分かるため、このゲームのエンディングをいくつか思い出し、私は顔をしかめた。




確かそう、ヒロインの親友である光の乙女は上手く立回ればその地位を確固たるものにして、国の重鎮となる。そしてヒロインのアリス様もその側で国の繁栄をもたらすべく、光の乙女とまではならなくても、自らの光を放てる存在となる。




だけど、失敗するとこの国にとって力だけある使えない人物であり、下手したら害をもたらす存在となる。そうなった結果、恐らく幽閉コース確実だろう。ゲームの中では光の乙女は光の乙女となる結果しかなかったが、100%同じとは限らない。ここはゲームと似て非なる世界だ。歴史等血生臭いことが嫌いなアーリヤが光の乙女になれない可能性は十分にあるのだ。いくら妹が己の劣等感を刺激する存在でも、幽閉される未来を望むほどまで嫌っても、憎んでもいない。それを思うと未来への不安が溢れるのだ。




「貴女はアーリヤ様が失敗する未来でも、思い描かれているのですか?」



ふと、ユリウス以外の声がかかり、振り返ればそこにはルイス様。




「ルイス様、」



「お話し中に失礼します。あるお方から、貴女に話しがあると」




言付かってます、と言ってルイス様は私の顔を見る。




ルイス様が来た、ということは、だ、恐らくクラウス様関連か、何か。

どちらにしろ王室が関わって居るだろうと予測をつけ、側にいたユリウスに軽く視線を流した。




「どうぞ、こちらは気にせず。流石に白き蛇に異を唱えはしません」



ユリウスは私の言いたい事が分かったらしく、わざとらしく深々とお辞儀をする。




「では、私はこれで失礼します」



ユリウスに一言だけそう放ち、ルイス様へ視線を移せば彼は小さく頷き案内をするべく歩き出した。

若干一人残すアーリヤが気になりはするも、これと言って私が出来ることも無いため一瞥した後、私はルイス様に付き従うように歩き出し、広間を後にした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ