A STORY ON THE CROSSROAD
晴れ渡る空の うららかな午後に
人通りの多い交差点で
若い男が 一人の神父に訊いた
「この世の終わりには何があるのか」と
神父は青い空を見上げて こう答えた
「この世の地獄の先に 誰もが安らぐ楽園がある」
男はうなだれて思うしかない
「ならば神はよほどのサディストだ」と
澄みきった空の 眩い朝焼けに
人通りが絶えない並木道で
若い男が 一人の牧師に訊いた
「命が尽きたあとに何があるのか」と
牧師は白い雲を仰いで こう答えた
「この世の煉獄の先に 誰もが憩う楽園がある」
男は塞ぎ込んで思う
「ならば神はよほどの意地悪だ」と
男は沈黙し 瞑想する
「楽園がこの一瞬になくして
どうして汗を流すことが出来るだろうか
眠り続ける人は楽園を いつ夢見るのだろうか」
やがて男は 七つの海を超えて旅をする
幾年もかけて 牧師と神父の答えに代わる答えを探した
そして彼の髪の毛に 白いものが目立ち始めた頃
闇が覆う空の 静寂の月夜に
人通りの途絶えた大広場で
老いた男が 一人の聖者に訊いた
「世界の終わりには何があるのか」と
聖者は丸い月を見上げて こう答えた
「世界の終わりには その『答え』を求め続けたお前がいるのだ」と
男は孤独の縁に咲いた 白い花を抱いて
ただその真実に涙したという
晴れ渡る空の うららかな午後に
人通りの絶えた交差点で
老いた男は 一人泣いていた




