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ワンダラー放浪記  作者: 島隼
第二話 男のロマンは永遠に。。。(後編)
14/42

第二話 【11】

「……と、いう訳だったんです。それで、その研究の証拠がこれです。他にもオクラの館の地下に魔方陣が刻まれていましたから、それらも証拠になるかと」

 魔法士協会に戻った四人は依頼内容を聞いた部屋と同じ部屋に通されると、カイトが理事のリガルにオクラが研究していた内容と、その証拠となる本を手渡した。

「やはり、それ系の魔法であったか……」

 リガルは予想通りと言った反応を示した。

「それ系? 知っていたんですか?」

「いや、研究内容自体を知っていたわけではないが、そういった事を研究しておるのではないかとは思っとったよ」

「??。……ちなみに、差し支えなければオクラが魔法士協会を破門になった理由というのを教えて頂けませんか。たしか依頼内容を聞いたときには『別件で』と言われていたということは、ここで秘密裏にこの研究をしていた訳ではないようですが?」

「う~む。魔法士協会の汚点でもあるのだが……。まあ、解決してもろうたし良かろう。実はな、オクラの奴めは優秀な男なのだが、エロジジィでな。協会の女の子にはむやみに触るわ、更衣室は覗こうとするわ、挙句の果てには理事の権力を振りかざし協会職員の女性用ローブをやたらと丈の短いもの変えてしまいおった。それで、あまりにも職員からの苦情が多くて、やむなく破門にしたのじゃ」

「……女の子の敵ね」

 ミーファの冷たい声が響く。しかし、その隣りでジェイルはその話に真剣に耳を傾けると、部屋の窓から青空に浮かぶ雲を眺め呟いた。

「オクラってなぁ、あの歳になっても男のロマンを追いかけていたのか。わかる、わかるぜ。……俺もそうやって歳を取りたいもん……ぐぉ!!」

 ジェイルはオクラに共感を示し、自らの思いを語ろうとしたがミーファに拳で叩かれ、頭を抱えた。

「これは、人族の特殊な例と考えていいのか?」

「当然だ……ジェイルも含めてな」

 さすがのエマも内容が内容だけに人族として一般化することは出来なかったようだ。

「ふむ。お主達ご苦労であった。約束通り報酬を払おう」

 そう言うとリガルはカイトに報酬の金貨六枚を渡した。

「どうも」

 カイトはそれを受け取ると握り締めた。リガルは証拠の本をめくり中身を確認すると、一瞬目を見開いた後に予想外な事を口にした。

「うむ。ではこの研究は協会の方で引き継ごう」

「引き継ぐなぁ!!!!!! 火よ!!」

 リガルの言葉にミーファはその本を取り上げ空中に投げると火の魔法で燃やしてしまった。

『あああああっ!! もったいない!!』

 リガルとジェイルの叫びが重なる。

「どあほう!!!」

 ミーファの蹴りがリガルとジェイルのみぞおちを正確に捉え、二人は同じ格好でうずくまった。

「……証拠、いいのか?」

「まあ、魔方陣もあるから捕まえるのには問題ないだろ? 報酬ももらったし、宿で山分けするか」

 カイトとエマは未だ言い合いをしている三人を残し、魔法士協会を後にした。


~おしまい~

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