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君は花のように  作者: 恋華


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02.私の価値

 か細い声で私の名を呼んだのは母のビビアンである。彼女も魔法持ちであり、跡継ぎを産むために貧しい家から売られてやってきた。今六人目を身篭っていて魔法持ちの男を産むまできっと出産を強いられるだろう。五人産んで魔法持ちが生まれたのは私だけだった。六歳頃、殴られるのはもう嫌だと泣きわめいた時に母は『貴女が女だから私はまた産まなきゃならないのよ!!それくらい我慢しなさい!』と怒鳴られた事がある。今まで溜め込んでいたのか母もわんわん泣いて、ああ母も同じなんだなと子供ながらに理解した。女は子を産む道具。それは逃れられない運命で私もきっと歩む人生なのだろう。


「また殴られたのね……。もう無理に笑うことないのよ。今だけ母の影に隠れて泣きなさい」


 これから歩む私の人生の成れの果てのような痩せ細った母の腕の中でこっそりと涙を流した。しばらくすると殴られた痛みも悔しさも涙が洗い流してくれて、何も無かったかのようにリアは立ち上がった。傷はもう治りかけていた。ありがとうございますと母に礼を言って、そろそろ家庭教師が来る時間なので自室に戻ろうとした時、


「リアお嬢様、当主様がお呼びです」


 と執事が声をかけてきた。何か問題でも起こしてしまったんだろうか?と不安になったが心当たりがない。早く行かないと怒られるかもしれないと急ぎ足で父がいる書斎へ向かった。ノックをして名前を言った。「入りなさい」という声音からして怒ってはなさそうだと安堵した。


「リアよ、此方に来なさい」


 怒ってないとはいえ今まで勉強が出来なかったら何度も殴られた記憶がある。近寄るだけでも萎縮してしまう。


「お前に縁談の話がきているのは知っているな?」


「はい。兄上様から聞きました」


「なら、話が早いな。相手はソティアラの貴族だ。お前の魔法の血を一族に入れたいと手紙を寄越してきた。明日、縁談相手のフレール家当主と次期当主がモラレス家の屋敷にやってくる。粗相のないようにな。」


「はい、お父様」


「リア、また傷を作ったな?明日までに治しておきなさい。お前の価値が下がる」


 私じゃなくて兄を責めてくださいと言いたかったが、そんなことを口が裂けても言えない。心に留めておいて書斎を後にした。


「魔法持ちでも所詮は女……か」


 と呟いた。エドワードから盗み聞きした話によるとモラレス家は資金繰りが上手くいってないらしい。元々私の使い道は政略結婚でモラレス家の地位を揺るがないようにすることで、あくまでも道具に過ぎないのだ。今回の結婚で資金の援助をしてもらうのが目的だろう。結婚相手の国、ソティアラは豊かな国だ。食べ物が美味しいといいなと期待を膨らませる。容姿や性格は最初から何も望んでいない。待遇が悪くても食べ物の味は変わらない。あとは魔法持ちの男を早く産めば私の大きな仕事は終わる。自室に戻れば家庭教師が待っていた。明日は結婚相手と会うのでマナーを徹底的に復習させられた。

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