11.人攫い
長旅になるからとレオナールの父アレンはこまめに休憩をした。アレンは護衛や馬にも気を配っている。とても優しい人だ。レオナールはその父の手伝いとして水を配ったりお菓子を配ったりしていた。リアはそれをぼーっと眺めていた。すると先程お辞儀をしてきた護衛が傍に来た。
「リアお嬢様、この度はご婚約おめでとうございます。その指にあるのは私の父の宝石店の物ですね」
「ありがとうございます。宝石店の店主の……」
「ジョシュアです。敬語はおやめください!」
「ジョシュアさん。護衛をしてくれてありがとう」
「もったいないお言葉です。昔から剣士に興味があり剣の鍛錬をしてきました!お役に立てて光栄です!幸せになってくださいね。では失礼します!」
去っていく宝石店店主の息子を見ていると他の護衛たちと地図を何度も確認してどこかを指さしている。仕事熱心だなぁと思いながら水を飲んでいるとレオナールがリアの元へやってきた。
「さっき話してた人誰なの?」
とリアの横に座る。飴玉を持っていて、はい、と分けてくれた。ありがとうとその飴の包み紙をあけ、口に放り込む。
「レオナールがプレゼントしてくれた指輪の店主の息子さんだよ。ジョシュアさんだって」
「本当なの!?俺も挨拶してくる!」
とレオナールはジョシュアの元へ走っていく。リアはもう一度二人で挨拶しようとレオナールを追う。何か言い合いをしているようだったが気にせず走っていく。すると護衛たちはレオナールに剣を向ける。異様な雰囲気に少し戸惑い足取りが遅くなる。
「レオナール!どうしたの?」
レオナールは護衛たちに押さえ込まれるが魔法石を使ったのだろうか、振り払う。そして逃げるようにこちらへ走り出す。リアは何が起こったのか分からず、とりあえずレオナールの元へ急ぐとレオナールは首を横に振って
「リア!ダメだ!逃げろー!!」
と叫んだ。レオナールの必死な表情に冗談ではないようだ。レオナールがリアの元まで数秒で辿り着いた。きっと魔法石で足の筋力を強化して走ったのだろう。無事逃げ切れた事にホッとしているとレオナールはリアの腕を掴み走り出した。
「どうしたの!?」
「護衛がリアを攫おうとしてる。早く父上の元へ……」
レオナールの父アレンがこちらに気付いた。後ろから護衛たちが追いついてくる。アレンはその異様な場面を察知したのかソティアラから連れてきた護衛を呼び寄せた。
「レオナール!どうした?」
「モラレス側の、護衛が、リアを攫おうと計画していたみたいです……!」
全速力で走って息切れしながら話すレオナールにアレンは
「リアを守って偉かった。もう安心だ!私の後ろに隠れていなさい」
レオナールは頷きリアの手をしっかり握った。
「絶対に離さないから!」
リアは恐怖でいっぱいだったがレオナールの言葉にきっと大丈夫だと言い聞かせた。




