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目覚め


神様とこうして向かい合って、お茶を飲んでいるなんて実に不思議だ。

不思議なのに、不自然じゃない。


初めての経験のはずなのに、懐かしく感じる。

もしかすると、過去の私たちも、こうして向かい合ってお茶を飲んだことがあったのかもしれない。


私は時間を忘れて、ゆっくりとこの時間を楽しんだ。


「神様は、ここで1人なんですか?」


「そうだよ。こうして時々君がきてくれるくらいで、あとはずっと1人。」


「寂しくないんですか?」


「それはないかな。私はいつも人間界を見守っているから。いろいろ見ているとね、ドキドキハラハラするんだよ。寂しがっている暇はないね。」


……神様がドキドキハラハラって、いったい人間界のどこを見てたの?

すっごく気になるんだけど。

神様が驚く事態って、あんまりよろしくないような……

知りたいような、知りたくないような……

怖いもの見たさ、的な?


「それに、騒がしいレーヴンがしょっちゅうやってくるからね。」


「レーヴンが?」


『なんか呼んだカァ?』


最後、鳴き声に……ん゙ん゙っ


「やあ、レーヴン。いらっしゃい。」


『よう!』


レーヴン……

神様相手に、それでいいの?

まぁ、レーヴンだし……いいのかな……


『どうしたぁ?』


私の考えを読み取ったのか、首を直角に傾けながらじーっと私を見てくる。


「ううん、何でもない。レーヴンは変わらないなぁって思っただけ。」


「レーヴンは、生まれた時からこれだったよ。全然変わんないよね。」


『まぁな。』


生まれた時のレーヴン。

小さくて可愛かったのかな?

それとも、今の大きさのまま?

見たかったかも。


『あ、それより。』


「「??」」


『お前の旦那がすんげぇことになってるぞ。』


「旦那?」


『王弟だよ。ヘドロみたいな雰囲気醸し出してて、なんか腐りそうだぞ。』


「……え……はあ!?ど、どう言うこと!?」


『知らねぇよ。俺は見たまんまを言ってるだけだし。』


「ん?あ、本当だ。どす黒くて、きのこ生やしそうだね。」


神様が目を閉じて、そう呟く。

人間界の様子を見ているのだろうか?

そんなに簡単に見れるものなんだね……


「そろそろ戻ってあげたほうがいいね。彼、あのままだと死んじゃいそう。死相が出てる。」


「え?あの……戻っていいんですか?」


「え?戻りたくない感じ?」


「い、いえ!戻りたいですけど!てっきり死んだのかと……」


「あはははっ!死んでないよ!力使いすぎて死にかけではあったけど。大丈夫、まだ生きてる。まだ、生きられるよ。」


「そう……なんだ……」


「でも一つ約束して。」


神様が、今までの柔らかい表情を引き締めて、真剣な顔で人差し指を立てた。


「もう、あんな無茶はしないこと。普通に祈ったり、願ったりする分は構わない。けど、あんなに力を放出するのはこれっきり。次は、命の保障はできないからね。」


「はい。命の使い方は、しっかり見極めます。」


「はぁ……全く、いつの時代の君も、言うことは同じだねぇ。本当に、頑固さも変わらない。」


「えっと……すいません?」


私の謝罪になっていない謝罪に、神様は呆れたように笑った。

きっと、過去の私たちもそうだったのだろう。


「いってらっしゃい、私の愛しい子。いつも見守っているよ。」


「はい!行ってきます!」


耳の奥で、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。

よく知った、大切な人の声。

その声に導かれるように、私は目を閉じた。


「セレイユ……どうか……目を覚ましてくれ。セレイユ……頼む……」


いつもの力強さがなく、弱りきった小さな声が耳に届く。

手には、温かい温もり。

力を込めて握られているのがわかった。

私はその手に、今できる精一杯の力を込めて、握り返した。


「……!?セ……セレイユ……?」


ゆっくりと重い瞼を持ち上げると、一番最初に見えたのは、レクシオン様の泣き顔。

頬には涙の跡、目の周りは赤くなっていて、長時間泣いていたことがわかった。


彼を泣かせたのは、私だ。


泣かせたかったわけじゃないのに。

ただ、喜ばせたかっただけなのに。

私は、また間違えてしまった。


あぁ……どうすればいいんだろう?

わからない。

神様に聞いておけばよかったのかな?


「セレイユ……セレイユ……」


ぼんやり天井を見ながら考えていると、レクシオン様が勢いよく抱きついてきた。

ベッドで横になっていなければ、きっと勢いに負けて倒れていたであろう強さだ。


私は混乱しながらも、そっと背中に腕を回した。






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