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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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17話 シャークス






「お兄ちゃん、いた、いた。あそこ、あそこよ」


 エミリーが大混雑する待ち合わせ場所の中から、今回戦いを共にする仲間を見つける。

 エミリーはエンジンをふかしてそのメンバーの元へと向かう。


 向かう先にはサメの絵が描かれた戦車が1両と、荷台に4人を乗せた小型トラックが1台止まっている。

 サメの絵はチーム「シャークス」のマークらしい。

 トラックの車体横には銀牙と文字が書かれている。

 その側までエミリーは戦車を走らせ停止する。


 そして操縦席から立ち上がると、戦車や小型トラックに向かって挨拶する。


「お待たせしました、ドランキーラビッツです!」


 すると小型トラックのドアを開き、女性が出てくる。俺よりも年上だろう。ポニーテールにハンター姿の、ちょっとキツそうな性格をただよわせる女だ。

 

「私は3等級ハンター、サキ・サカエ。銀牙のチームリーダーよ。今日はよろしく頼むわね」


 慌てて俺達3人も戦車から降りて自己紹介を始める。


 すると後ろからエミリーが俺の脇をツンツンと突っついてくる。

 何だよこんな時にと思って首だけ軽く振り向くと、エミリーがある方向に向かって小さく指を差す。

 待ち合わせの戦車の方向だ。

 俺は戦車のハッチから乗り出している搭乗員の顔を見回して驚く。


「あああ! 昨日のチンピラじゃ――痛だだだだ!」


 思わず声に出してしまった途端、エミリーに脇腹を力一杯ねじ上げられた上に睨まれる。折角そおっと教えたのに騒ぐなということだろうがもう遅い。


 あの金髪リーゼント野郎は間違えようがない。昨日エミリーに壁ドンした奴、そしてさっきまたしても壁ドンした奴だ。


 金髪リーセントは戦車の砲塔に偉そうに足を組んで座り、坊主頭のチンピラと赤い髪のチンピラの2人は車体に座って煙草を吸っている。 


 俺が騒いだもんだから金髪リーゼントと目があった。すると金髪リーゼントがニヤリとして口を開く。


「俺はシャークスのリーダーで3等級、セイヤ・シマだ。こいつがタツでそっちがタモツだ。まさかお前みたいな素人と一緒に仕事するとは思わなかったな。ところでその汚物運搬車は何に使うんだ?」


 金髪リーゼント野郎はセイヤっていうのか、ぜってえ忘れねえからな。


「汚物運搬車なわけないだろ。どうみても戦車だろ。自走砲ともいうけど戦車に変わりはない!」


 俺が精一杯虚勢を張って説明すると、突然セイヤが俺達のホーンラビット戦車を指差して笑い出す。


「ぎゃはははは、まじかよ。その恰好で戦車って言えんのかよ!」


 操縦手ハッチから乗り出しているタモツとかいう坊主頭の男も笑い始める。

 赤い髪のタツとかいう奴は腹を抱えて笑っている。


 こいつマジで汚物運搬車と思ったんじゃないだろうな。


「いい加減にしてくれ。どんな武器でもちゃんと戦ってくれるならそれでいいだろ。これから1つのグループとなって命を預ける仲間だぞ。チームワークを乱すな」


 そう言ったのは銀牙のリーダーのサキだ。

 うん、いいよいいよ、サキちゃん。


 その言葉にセイヤは舌打ちをして「ちゃんと戦えるなら問題ねえよ」といってつまらなそうに戦車の中へ入っていった。

 タモツとタツの2人もそれに続く。


 俺は慌ててサキさんに礼を言う。


「あ、えっと、すまない。フォロー助かったよ。サキ・サカエさん」


 続いてエミリーとミウもサキに向かって頭を下げた。

 すると俺達に手の平をブンブンと振りながら、照れた表情でサキさんが言う。


「いやいや、いいんだ。頭を上げてくれよ。初めから仲間同士で喧嘩なんかしてたらこの後の依頼の結果に響くだろ。それはお互いに困るだろうと思ったから口を挟んだだけさ。それからサキと呼び捨てでいい。その代りこっちも呼び捨てで呼ぶからな」


 その後サキは自分以外のメンバーの説明をしてくれた。


 4人いる内の1人だけが銀牙正式メンバーで、名前はシンセ・シマブキと言い4等級の15歳の少年だ。


 それ以外の3人は臨時のメンバーらしい。

 つまり今回に限りチームを組んだという事だ。

 それぞれ、カト(男)、ヤマイ(男)、ユリカ(女)の3人なんだが、俺らよりも年上っぽい。

 中でもユリカという19歳だと言う女は、まわりに色気をぷんぷんと撒き散らす。

 胸元からはみ出す谷間に俺は何度も吸い込まれそうになった。


 さて、あまりゆっくりしていられるほど余裕はない。

 谷間には挟まれたいが今はそれどころじゃない。

 できるだけ早くこの依頼を終わらして、次の新しい依頼をこなしたいというのが本音だからだ。

 『ハンター稼業は儲からない、依頼こなしてナンボのもん』とよく言われるほどだ。

 お金に不自由しなくなるのは2等級くらいになってからじゃないだろうか。


 そんなこんなで俺達は、盗賊ゴブリンの拠点攻略に出発した。

 

 道中は何事もなく目的地まで到着した。

 ただ、その間やる事もなかった俺は『どうやったら谷間に挟んでもらえるのか』という、最上級の難関の作戦立案に没頭していたのだった。






次回、盗賊の拠点に偵察を出すのだがそこで予想外の偵察結果が!


次話投稿は明日の予定です。

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