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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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16話 戦車での初依頼





 未成年者用の酒とは、アルコールが入っていない酒。

 アルコールの代わりにある種の魔力が込められていて、アルコール酔いではなく、幻覚魔法により短時間だが疑似酔いするといった飲み物だ。

 この未成年用の酒はごく普通に広まっていて、狩に行く前のハンターや運転職に従事する者が良く利用する。

 『オール』という名でどの酒場でも誰にでも手に入る。


 しかしチーム名が『酔いどれウサギ』って、酔っぱらってるとはいえセンスがなさすぎだな。

 

 俺達は若干落ち込んだまま宿を出た。


 俺は戦車に燃料を入れるのと、短機関銃の弾補充と手榴弾の補充が役目。


 エミリーとミウはハンター協会へ仕事を見つけに行った。


 昨日のチンピラの件があるので、2人だけでハンター協会へ行くのは反対したんだが、エミリー曰く「お兄ちゃんが一緒の方が余計話がややこしくなる」と言って2人で行くと言い張ったのだ。


 俺はそれ以上何も言えなかった。


 相手がゴブリンだったら素手でも楽勝なんだがな。

 どうも俺は昔から素手での喧嘩が弱い。

 子供のころから喧嘩と言えば、殴られて地面に這いつくばった記憶しかない。


 俺は一番安いグレードの燃料を入れた後、弾薬や手榴弾を購入してハンター協会へと向かった。


 俺がハンター協会の無料駐車場へと戦車を入れると、見覚えのある光景が見えてくる。


 昨日のチンピラだ。


 しかもまたしても同じ場所でエミリーに壁ドンしてやがる。


 まったく、懲りない奴らだ。


 さてと、どうしてやろうか?

 俺はチンピラ撃退の作戦を脳内で何度も試行してみる。しかしどの作戦も最終的には俺が地面に平伏ひれふしている光景しか思い浮かばん!

 いや、今日こそは!

 そんな作戦イメージを15分ほどしていたら、チンピラ3人はいなくなった。


 ふん、逃げられたか。

 俺は何もなかったかのようにエミリーとミウの前に出る。


「よおエミリー、良さげな依頼は見つかったか?」


「あ、お兄ちゃん。ちょうど今見つけてきたところよ。3つあるんでお兄ちゃんが選んでくれる?」


「ああ、いいぞ。言ってみろ」


「1つ目。ゴブリンの生きたままの捕獲。1匹に付き800シルバ。最大10匹まで可。次2つ目ね。特急輸送トラックの護衛。2日間で1人につき1,400シルバ。燃料代依頼者持ち。弾薬自腹。はい、次3つ目ね。ゴブリンの盗賊の拠点攻撃。ゴブリン1匹に付き300シルバ。戦闘で入手した品は戦利品として個人入手可。この3つよ、どれにするお兄ちゃん?」


「そうだな。まずは2つ目は無理だ。特急輸送トラックの速度に付いてはいけないからな。はい、消えた」


「じゃあ1つ目のゴブリン捕獲?」


「俺に生きたまま捕獲できる技量があるように見えるか。エミリーにそんな魔法使えるのか」


「ダメじゃないの……はあい、消えた。それじゃあ残りの3つ目はどう、お兄ちゃん?」


 エミリーが首をわずかに傾げて、期待を込めた表情で俺の顔を覗き込む。


 ちょっと可愛いじゃねえの。

 ぎゅっとしたい、ああ、妹だけど、ぎゅっとしたい!


「3つ目の依頼だけど、ゴブリン拠点攻略だろ。ちょっと大変そうだけどまさか俺達だけでやるわけじゃないよな」


 ミウがすぐに補足説明してくれる。


「あ、それは大丈夫ですみたいです。すでに3チームが名乗りを上げているようですから」


「よし、ゴブリン拠点に決定だな。エミリー、すぐに申し込んできて」


「わかったわ、すぐに手続きしてくるね」


 エミリーが1人、走ってハンター協会受付へと行ってしまった。


 そうなるとミウと俺の2人きり状態だ。

 なんかきまずいな。

 俺はついついミウの獣耳と尻尾に視線がいってしまう。

 もふもふ感がハンパねえな。

 

「えっと、なにか?」


 突然ミウが口を開いた。


 やっば、ジロジロ見てたのばれたか!

 ってゆうかミウって感がいいのかな。


「いや、えっと、そうだ。ミウは戦車に乗ったことはあるのか。今回は戦車で戦闘に参加することになるんだけどさ、戦車砲とか扱えるかな」


「戦車には乗ったことないです。初めてですので楽しみです。私“命中”の魔法が使えるんですけど、戦車砲でも使えるんですかね」


 命中の魔法というのは、昔は弓やクロスボウに使う魔法で、今は呪文を改良されてライフル銃などの小火器にも使う魔法だ。

 

「ミウ、その魔法はライフル銃みたいなのに使う魔法だから、戦車砲には無理だよ。でも猟銃の扱いは上手いみたいだから砲手をやってみるか」


「はい、それでいいです」


 ミウはあまり深く考えてないようで即答した。


 それじゃあエミリーは操縦だから俺は装填手兼車長だな。

 ふふふ、戦車長だぜ!


 俺がニヤついていると、エミリーが手続きが終わったようで戻ってくる。


「お兄ちゃん、すぐ出発するって。北門に集合みたい。戦車にこれつけてくれって、目印の旗よ」


 Hと書かれたハンター協会の旗だ。

 敵味方の識別でもある。

 自走砲のホーンラビットの車体前方の左右に旗をくくりつけると、早速乗り込み出発する。


 エミリーは操縦手席に座り、ミウと俺は後部左右の座席に分かれて座る。

 エミリーの隣の機関銃手席が空いている。

 機関銃を購入できればもう一人雇ってもいいかな、などと考えていると北門に到着した。


 しかし、この時間帯待ち合わせの人や車両で一杯だ。

 ハンター達が腕時計を見ながらキョロキョロしている光景が、あっちにもこっちにもみられる。


「なあ、エミリー。どれが俺達の待ち合わせの相手なんだ?」


「えっと“銀の牙”と“シャークス”っていうチームを探して!」


 俺達は沢山の待ち合わせの中から、それらのチームを探すことから始めるのだった。







あの憎ったらしい金髪リーゼント野郎達3人がケンの前に現る。

今度はもう逃げられない。

ケンはどうするのか?


次話は明日投稿予定です。


よろしくお願いします。



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