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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第3章 聖王国脱出
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18 大きな忘れ物

10月から投稿を3日に1度になります。

ちょっと忙しくてなかなか書く時間がとれないので……。


 馬を見ながらどうしたものかと考える。よく考えると車やバイクも持ってはいるけど、運転したことなんてなかった……。


「ここは練習すればいいんじゃないかな」


 馬車も経験なんてなかったけど、今は僕も委員長も操縦できるからね。馬だってそこまでは難しくないはずだ。

 とりあえず馬に乗ってから考えればいいよね。


「練習って言っても、教えてくれる人なんていないじゃない。アレッサやマノンがいればよかったけど、私達だけじゃ動かし方や止まり方なんて分からないじゃない」


「委員長、馬の気持ちになればいいんだよ」


 そう、馬の心を理解すれば自ずと分かるはず。


「そんなの分かる訳ないでしょ!」


 そうだね、でも人間よりも分かりやすそうだけどね。


「よし、とりあえず乗ってみるよ。怪我したら治せばいいし」


 馬に乗るために馬の背中を見る。

 僕の目の高さぐらいの位置に馬の背中があるんだけど、どうやって乗ればいいんだろう……。

 しかも足を乗せる物やイスも付いていないじゃないか。


「足を乗せるとこがないし、イスも付いていないんだけど……」


(あぶみ)(くら)ね、足を乗せるのが鐙でイスは鞍よ」


 そういえばそんな名前だった気がする。


「よくそんな名称を知っているね、さすがは委員長をやっているだけのことはあるね」


「たまたまよ、あと委員長は関係ないしもうやってないわよ」


 実は馬が好きだったりするのかな?


「それで鐙って言うのがないんだけど、どうやって乗ればいいの?」


 おそらく元の世界では鐙に足を乗せて、それから乗っていた気がする。でもそれがないと、どうすればいいか分からない。

 詳しそうな委員長に聞いてみる。


「どうして私に聞くのよ。私だって乗り方なんて分からないわよ!」


 そうなのか、仕方ないから障壁を踏み台にして乗ればいいか。

 障壁を馬の横に展開すると、それを使って馬に乗る。馬が少し驚くが、背中を優しくなでてあげる。


「おお、なかなか高い」


 景色がいいところならもっと良いのだろうね。


「乗れたのね、どうやって乗ればいいのかしら?」


 委員長のところにも色つきの障壁を展開する。これで乗れるはずだ。

 委員長が障壁を使い、恐る恐る馬に乗る。貴族の前のマノンほどではないけれど、少し表情が硬く緊張しているのが分かる。


「ほら委員長、表情が硬いよリラックスリラックス」


「そんなこと言われても……、あ、歩き出したのだけど……」


 本当だ、ちゃんと歩いている。聖王国側に……。


「そっちは逆方向だよ、スフランはこっちだから」


「知っているわよ! どうやって止めたらいいのかしら?」


 委員長がかなりうろたえている。馬車は止められるんだから、同じ方法でいいはずなんだけど、焦って思いつかないようだ。

 委員長の隣に行き、落ち着かせる。


「委員長、まずは落ち着いて深呼吸して、はいヒッヒッフー」


「ヒッヒッフー、ヒッヒッフーってラマーズ法じゃない! 妊娠してないわよ!」


 ツッコミは正常だ。でも素直にやっちゃうところが緊張している証拠だね。


「じゃあ大きく息を吸ってー、また吸ってー、も1つ吸ってー」


 僕の言うとおり息を何度も吸っている。


「息ができないじゃない!」


 ちょっと面白い、お笑いのツッコミ芸人みたい。真面目なのか冗談でやっているなのか分からないよ。


「次は目を瞑ってー」


「絶対いやよ!」


 意外と冷静だ。でもちょっと瞑ろうとしてたよね。


「あなたね! もう少しちゃんとしてくれないかしら」


 いちおうしてるんだけどね。だいぶ落ち着いたようだし、もう大丈夫かな。


「じゃあ委員長に質問です、馬車を操縦する時に馬を止める方法は?」


「それは手綱を――そうだったわね、しっかりしていなかったのは私のほうだったわけね……」


 委員長が手綱を扱い馬を止めたので、それに合わせて僕も馬を止める。


「冷静になれたようだね。慣れると馬も可愛いでしょ」


 馬の背中をなでてあげる。


「そうかもしれないわね、これで3人に追いつけそうね」


 さっきまで緊張しておどおどしていたのに、慣れると騎手のように堂々としていて執事服と相まって似合っている。


「馬と執事服はいいけど、馬とメイド服はどうなんだろ……」


 違和感しかない気がする。鎧なら合うんだろうな……。


「今更なにを言っているのよ……」


 今更ってなに!? 今までおかしかったってこと!?


「ど、どういうことかな?」


「メイド服で御者もしていたじゃない」


「ああ、そういうことね……、でもそれも違和感ある気がするんだけど……」


 普通、メイドは御者しないよね?


「さあ行くわよ。3人に追いつかないと!」


 あれ? またスルーされた?

 委員長が馬をスフラン方向に向け、歩き始めるそんなに経っていないのに、ずいぶんと馬に慣れてきたようだ。

 僕も合わせて馬の向きを変えて進む。


「「あっ!」」


 馬を手に入れた場所に行き、大事な事を忘れていたことに気がつく。


「岩、そのままだったね……」


 僕も冷静ではなかったようだ。大きな岩が並んでいることをすっかり忘れていたのだから。


「ちょっとどけてくる」


 置いておいたほうが追撃に対し効果的だろうけど、商人達が困るからね。

 馬を下りて岩をインベントリに放り込む。


「なんか締まらないわね……」


 それは言わないで……。

 全ての岩を放り込むと、馬に乗り込む。


「さあ行こうか!」


「はぁ」


 委員長のため息が聞こえるがスルーだ。ちょっとやらかしただけだよ。




 馬を走らせながら思ったことが1つ。


「ねえ、3人はこの道を進んでいるのかな?」


「……ほかにも道があったかもしれないわね」


 僕達は道に詳しくないけれど、マノンやロッタは他の道を知っていたかもしれないよね。

 もしかしたら、このまま走り続けても追いつけないかもしれないね……。


「待ち合わせ場所があるから大丈夫だけど」


「そうね、あせらず進みましょうか」


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