表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第2章 メイドと執事と盗賊と
68/129

24 モヒカンとおじさんに旗を


「さあ、後は残党を潰していくよ、じゃあリーダーのアレッサよろしく!」


 リーダーの座をアレッサに返す。


「うむ、今度こそやりこなしてみせよう」


 なんか妙に気合が入っているね。


「では意見を求めたいと思う。残りのゴブリンを討伐するのにいい方法はないだろうか?」


 ゴブリン達は離れた位置にいるから、どこかに集めることができればいいんだけど……。


「音を鳴らしたり匂いでおびき寄せるというのはどうかな?」


 迷宮では音や魔物の鳴き声でどんどん寄ってきてたから、ある程度の効果はあるだろう。


「だが、山は広いので一部のゴブリンしか集まらないだろう」


 そうなんだよね……。


「では2手に分かれて戦うというのはどうかしら?」


 たしかにゴブリン程度なら4人で固まって動く必要はないか。


「うむ、それは悪くないな。ではその作戦でいこう! 私とトーカ、カレンとマノンのペアで行くことにしよう」


 初めて依頼を受けたときの分け方だ。何か意味があるのかな?


「アレッサはどうしてこの分け方にしたの?」


「まず、トーカとカレンが一緒だと過剰戦力だから分けることにした。そしてトーカのお目付け役と言えばカレンだが、カレンがいないなら我がするしかあるまい」


「いい判断ね」


 ……はい? それだと僕が問題児みたいじゃないか……。


「それに初めて依頼を受けたときもこの組み合わせで分かれたからな。あれから成長した我の姿をみせてやろう」


 あの時はニードルラビットにも苦戦していたからね。


「今度は逃がさないようにしなよ」


「ふっ、もちろんだ! ニールの敵を討ってやる!」


 いや、ニールを倒したのはマノンだけどね……。


「では、分かれて行動しよう。我らは山の左側を、カレン達は右側を頼む。3時間後に村の昨夜泊まった家に集合しよう」


「分かったわ、あなた達も気をつけてね」


「うむ、問題ないだろうが、そちらも気をつけてくれ」


 委員長達と別れ山の左側のゴブリンを探す。来るときあれだけ倒したのに、まだ大量にいるので3時間では終わらないかもしれないかな。


「じゃあどんどん倒していくよ」


「トーカは場所だけ教えてくれればいいさ。ゴブリン共は我が杖の錆びにしてくれるわ!」


 久しぶりに聞いたセリフだね。今回は魔法で倒すつもりみたいだけど。

 アレッサの要望どおり、ゴブリンの居場所を教えていく。ゴブリンを見つけると、魔法で1匹1匹確実に倒していく。あの森での戦いと比べてしっかりと地に足が着いた戦い方ができている。


「ニードルラビットに頭を抱えて怯えていた人物と同一人物とは思えない成長っぷりだよね」


 僕の言葉にアレッサの顔が赤くなる。


「あ、あれは初めてだったんだから仕方がないでしょ、そういうトーカも初めての戦闘は怯えていたのではないのかしら?」


 よほど恥ずかしかったのか、言葉遣いが変になっている。


「僕? 僕の初めてはバッドだったからね、怯えるほどの相手でもなかったんだよ」


 見た目もただのコウモリだから怖くなかった。


「バッドか、確かにあれでは怖くないな。我もあれなら怯えることはなかったのだがな」


 アレッサは怯えて魔物の姿を見てなかったから、魔物の種類は関係ないと思う。


「ニードルラビットも弱い魔物だと思うけど?」


「あの時はたまたま調子が悪かったのだ。急に頭が割れるように痛くて抱えざるをえなかったのだよ」


 子どものいい訳か!?


「はいはい、じゃあ調子のいいうちに頑張ってゴブリンをいっぱい倒してね」


「もちろんだ! 次はどこだ?」



 ◇



 3時間ほど経ったので、村に戻る。すると何故か20人ほどの村人が弓や槍を持ち集まっている。

 何かあったのだろうか?

 僕達が村に入ると、視線が集まる。


「何かあったんですか?」


 村人の1人に僕が声をかけると、村長さんが出てきて、近づいてきた。


「おお、無事だったか。なかなか帰ってこないからゴブリン共に捕まったのかと思っていたが、無事で良かったわい」


 どうやら心配してくれてたらしい。でもこっちは冒険者なんだからここまで心配する必要はないと思うけど……。

 そこに委員長達も帰ってきて、この騒ぎに驚いている。


「4人とも無事だったんだな」


「えっと……、何かあったのかしら?」


 委員長が戸惑い、僕に聞いてくるが、僕もさっぱり分からない。


「僕達もさっき戻ってきたらこの騒ぎで……」


「朝、君達が山に入っていくのを見かけたものが、騒いでいるのが原因でな……、それで救出に行こうと集まったわけだ」


 ゴブリンがいることを知らずに山に入った女の子4人だと思われていたのか。


「そういうことだったんですね、ですが我々は冒険者ですので心配は無用ですよ」


「そうか……そうだよな。それでゴブリンはどうなったんだ?」


「そちらはあらかた片付いたとは思いますが、ただなにぶん数が多くて」


 僕が分かっているだけで倒した数が400以上だから、委員長達のを合わせると500は超えているかもね。


「山の中で300以上、巣穴で200ほどは倒しました。かなり多いので、全体で何匹いるかは分かりかねます」


「500以上だと!? そんなにも倒したのか?」


 村長が驚いているが、倒した数に驚いているのだろうか、それともそれだけゴブリンがいたことに驚いているのだろうか。


「数は多くとも、所詮はゴブリンですからね」


「そ、そうか……」


「残りはまた明日討伐しますので、安心して下さい」


 山にいたゴブリン達も、僕達側はほとんど倒したから、残り100匹もいないだろう。明日は委員長達のペアと場所を交代してやればいいだろう。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ! さすがに女の子4人で500匹も倒すなんて無理だろ、数を誤魔化し過ぎじゃないか?」


 村人達の中から20歳くらいの男性が出てきて、僕達に疑いかけてくる。

 たしかに500匹のゴブリンを山の中を探しながら倒していくのは大変だろう。僕も空間把握がなければもっと少なかったはずだしね。


「魔物の位置を見つけることのできるスキルがあるので、そのスキルを使用し発見をしていったのです」


「いや、見つける困難さを言っているんじゃなくて……、それだけの数を倒すのが無理だと言っているんだけど……」


 あれ? そっちだったのか。僕はインベントリから巣穴で倒したゴブリン達を出してやる。全て回収したわけではないが、150匹ほどあるのでこれで分かってもらえるだろう。

 僕がゴブリンを山積みにすると、男性の顔が青くなる。村人達もゴブリンの周囲に集まり、ゴブリンを見ている。


「これは巣穴にいたゴブリンです。一部は向こうで破棄したので、全部ではありませんが。ちなみに僕が1人で倒したゴブリンです」


 僕が1人で倒したと聞いて、村人達にどよめきが走る。


「おい! このゴブリンは上位種じゃないか? かなり大きいのがいるぞ!」


 村人の1人が大きめのゴブリンを指差すと、他の人達も見ようと集まる。

 そういえば大き目のゴブリンもいたな。額を一突きした記憶がある。


「委員長、あれは上位種なの?」


 鑑定様の出番です。今日はボケないでね。


「ええ、ゴブリンキングね。迷宮で戦って以来よね」


 迷宮だとただの的だったけどね。今回も大きくてつい攻撃したけど……。


「今回も的がいたんだね。いまいちキングらしい仕事してない気がする」


 ゴブリンキング戦は重要なイベントなのに、こんなところであっさり死ぬとかありえないでしょ。もしかして今回、僕達が来なかったらイベントが発生していたんじゃないのかな?


「ゴブリンキング!? 危うく村が無くなる所だったのか……」


 村長がショックを受けている。イベントが発生したら真っ先にこの村はゴブリンの餌食になっていただろうからね。今回は本当に運が良かったと言える。

 そういえばギルドでモヒカンさんがゴブリンキングの話をしていたけど、まさか本当に出るとはね。


「モヒカンは頭に旗でも立てておけばいいのに」


「いったい何を言っているのよ……」


 そうか、大切なのはモヒカンではなく依頼に来ていたおじさんのほうか!


「おじさんは頭に旗でも立てておけばいいのに」


「あなたはモヒカンとおじさんに何か恨みでもあるのかしら……」


いつもお読み頂きありがとうございます。

よろしければ『ブックマーク』『評価』をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ