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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第2章 メイドと執事と盗賊と
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01 新しい仲間

今回から1日1話になります。


「……奴隷?」


「そう、奴隷。異世界物だと定番だし、あるかもしれないから以前に探してたんだよ」


 委員長の目が店から動かない。


「……本当に奴隷なんて買うの?」


「うん、そうだよ」


 もしかして人を売買することがショックだったのかな?

 現代じゃ考えられないことだからね。


「買ってどうするの? 何をさせるの?」


「色々? 迷宮に行ったり、ランク上げしたりだけど」


「そう……あなたは人を買うということに抵抗はないのかしら?」


 あれ? ちょっと怒りモードに入ってきてる?


「ん? ないよ。それより入るよー」


「それよりってなによ! あなたにとってはどうでもいいことなのかしら!」


 あちゃー、委員長には刺激が強かったようだね。

 その声を聞いて、店の店員が様子を見に出てきた。


「あーお騒がせしてすみません」


 店員さんに謝っておく。店員さんも何事? と思いつつ「はぁ」と返してくる。


「ここの店員さんですよね、ちょっと見学してもいいですか?」


「え、ええ、かまいませんよ」


 怒っている委員長をチラチラ見つつ答える店員。


「ほら、ここで騒いでも他の人の迷惑になるから入ってから騒ぐよ」


 僕の言葉に店員がギョッとするが、気にせず委員長を捕まえて中に入る。

 委員長も素直についてきた。


「えっと、あのーお客様? 中で騒がれても困るのですが……」


 店に入ると檻に入れられた人たちが並んでいる。思っていた以上にみな元気で、喋ってたり、寝てたり、筋トレしてたりと意外と自由にしている。


「店内ってこんな感じなんだね、もっと暗い雰囲気なのかと思っていたよ」


「当店にいるのは借金奴隷のみです。ですのであまり酷い奴隷はいませんから」


「目が見えない奴隷とか、呪いがかかっている奴隷とかいないの?」


「そのような奴隷はそもそも買い手がつきませんから、維持費などを考えますと扱う店などまずないと思いますよ」


 そうだよね、現実的に考えればあり得ない話だよね。


「それで奴隷に対する扱いはどの程度までオーケーなの?」


 そう質問すると、委員長が店員を睨み始めた。


「奴隷の扱いはあくまで奴隷との契約によります。ですのでどの程度と言うのは奴隷に決定権があります。そしてその契約が破られますと、契約は解除されお客様には違約金を支払う義務が生じます」


 その言葉を聞き、委員長の顔がいつもの顔に戻った。


「つまり奴隷だからと言って何をしても許されるわけではないのね?」


「はい、一種の雇用契約だと思って頂ければけっこうです」


 なるほど、雇用契約なのか。


「そう、じゃあ戦闘能力の高い奴隷を見たいのだけど」


「あと、僕達と同年齢ぐらいの女の子がいいな」


「かしこまりました、ではこちらに」


 そう言って案内してくれる。そして1人の女の子を紹介される。


「この子はアレッサと申しまして、攻撃魔法が得意です。もともととある貴族のご令嬢ですので礼儀作法などもできますし、教育もそれなりに受けてますので優秀ですよ」


 おおー、銀髪ロングのお嬢様が椅子に優雅に座ってるお茶を飲んでいる。僕と目が合うとニコリと微笑んでいる。


「ありだね」


「そうね、私達の知らない知識なんかも知っていそうだし良いかもしれないわね」


 すると優雅に椅子に座っていた令嬢が立ち上がる。


「ほう、なかなか見る目があるではないか! いいだろう、この我が貴様達の助けになってやろう! この出会いもまた運命と言うことか」


 ……思ってたのと違う。


「チェンジで」


 店員さんが手で目を覆っている。

 気持ちは分かる、黙っていたら誰もが欲しがりそうな人なのに、喋ると残念だからね。


「そうね、次に行きましょうか」


 次の奴隷を見るため、ここを後にする。


「ちょっ、待ちたまえ! 我らは出会うべくして出会ったのだ! ちょっと、ほんとに待ってー」


 最後ちょっと素が出ていたね。


 次の子が紹介される。


「こちらの子はマノンと申しまして、手先が器用です。女の子ですが狩りの経験もあり、弓を扱うことができます。元気で行動力もありますので是非お薦めしたいですね」


 今度は金髪少女、僕等より少し年下かな? 確かに元気そうでかわいい子だ。さっきのことがなければ即決したいとこだけど……。 


「で、この子の欠点は?」


「それは……その……少々大食いなとこでしょうか……」


 ん? それぐらいなの?


「大食いぐらいなら問題ないよね?」


「そうね、成長期だし、食べるのは悪いことじゃないわ」


 僕達の会話を聞き、金髪少女が嬉しそうな顔をする。

 妹っぽくて可愛いかも。


「決めた、この子にするわ」


「ありがとうございます、では商談スペースにて契約を交わすことになりますのでご案内いたします」


 檻の鍵を開け、金髪少女が中から出てくる。彼女と契約の内容を決めて、合意することにより契約が成立する。


 先ほどの銀髪の前を通ると、


「ま、待て、我との契約を忘れておるぞ! 我の才能を持ってすれば、どんな困難も打ち砕くことができようぞ!」


 ……まぁ面白そうか。


「じゃあこの人も追加で」


「えっと、本当によろしいのですか? 彼女はそれなりの値段しますが……」


 変でも貴族の令嬢ともなれば高いんだね。


「いいよ、契約次第だし」


 鍵を開け、中から出てくる。歩く姿なんかは本当に綺麗なのに喋ると残念になるなんて。


「ふふふ、我がいる限りどんな魔物も打ち倒してくれるわー!」


「はいはい、行くよー」



 ◇



 2人との契約交渉はすんなり済んだ。委員長がいる限り変な契約を組むことなんてないけどね。

 お金も支払い、無事2人の仲間を手に入れることができた。


「というわけで2人のメンバー加入にカンパーイ!」


 2人を連れ、冒険者ギルドで登録すると、そのまま酒場で歓迎会だ。


「えっと、私たちも一緒に座ってもいいのでしょうか?」


「もちろんよ、そんなことで文句を言う人なんていないわよ」


 もう1人は遠慮なく座っているけど。しかも座っている姿が様になっているのがなんかむかつく!


「とりあえず自己紹介をしようか、僕の名前は冬夏、冬夏初宮だよ」


「トーカ様ですね、名字あるなんてもしかして貴族の方ですか?」


「お、テンプレな質問だね。僕達の国は誰でも名字があるから貴族ではないよ。あと様はいらないから冬夏でいいよ」


「分かりました、トーカ!」


 おや、素直だ。てっきり気を使ってトーカさん、とかになるのかと思っていたけど。


「次は私ね、私の名前は花蓮、花蓮桜堂よ。私のことも花蓮でいいわよ」


「はい、カレン!」


「では次は我の番か、我が名はアレッサ、名字はもう捨てた、ただのアレッサだ」


 アレッサが言うと本気なのか冗談なのかよく分からないな。

 年齢は17歳と僕と同い年だ。


「はい、ただのアレッサ!」


「うん? 間違えてはいないが「ただの」は別につけなくともよいぞ」


「私の名前はマノン、15歳です! 家族のために奴隷になりました! 私が売れたことで実家に仕送りができて良かったです!」


 いい子だ。ただのアレッサとは大違いだ。


「今後の僕達の目的はランクAになること、そのために迷宮を攻略していくから」


「ですが4人だと少ないですよ、他にメンバーがいるのですか?」


「いないわ、4人いれば何とかなるわよ」


「ふむ、我に異論はない。迷宮など我がいれば容易く攻略できるわ」


「まあ馬鹿は放っておいて、マノンは弓で後衛を、ただのアレッサは魔法で後衛でいくから」


「はい!」

「いや、「ただの」は入れなくていいのだが」


「じゃあ武器と防具を揃えに行きましょうか」


「あれ? ちょっと聞いてる?」


 さあレッツゴー!


「ちょっとー!?」


お読み頂きありがとうございます。


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