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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
40/129

40 悪魔

本日2話目


 次は五月蝿くない魔物でありますように。

 そう願い123階層の扉を開けていく。

 すると王座の魔タイプの部屋のようだ。魔物の姿は見えないので、少し歩く必要がありそうだ。


「当たりの部屋かも」


「部屋に当たりも外れもないでしょ」


「ノーライフキングの時と同じ部屋なんですね」


 中に入り歩きながら部屋を見渡す。周りには鎧もないのでまた別の種類の魔物なのだろう。


「攻略まで、これを含めて3階層だよね」


「ええ、まさかここまで来るとは思わなかったわ」


「今までの最高記録が44階層でしたからそう思うのは当然ですよ」


「最下層に何があるかは分からないけど、ここまで来たからには攻略したいよね」


「だけど残り3階層も一筋縄ではいかないでしょうね」


「ですが私達なら、行けると信じてます」


 天沢の言葉にクフフッと笑い声が聞こえてきた。


「誰かな? 聞き耳を立てるなんて礼儀がなってないんじゃないかな」


「失礼、信じてますなんてかわいい言葉が聞こえてきたものですからつい」


 前からコツコツと1人の男が歩いてきた。


「イケメンが臭いセリフを吐いてる」


「確かにイケメンだけど、どちら様かしら?」


「こんなところにいるということは魔物なのでしょうか?」


「私かい? 私は人間ですよ。迷宮の罠にかかってここまで跳ばされてきたので困っていたところです」


 はい、ダウト! しかもこのイケメン、着ている服は冒険者のものとは違い、スーツを着ている。これで迷宮に潜るなんていないでしょ。


「委員長、結果は?」


「2級悪魔のダフネスよ」


「悪魔なんですね、人にしか見えなかったです」


 2級? どれぐらいのランクなんだろ? 


「クフフ、ばれてしまいましたか。さすがここまでくるだけの才能の持ち主ですね、鑑定の能力までお持ちですとは素晴らしい」


 言葉は丁寧だけど、クフフなんて笑うと腹黒いやつにしか見えない。


「それであなたがここを守っている悪魔ということでいいんですね」


「はい、それがこの迷宮主との契約ですので」


「迷宮主ね、そいつに会うには125階層に行けば会えるのですか?」


「その通りです。その為には私と124階層を守るものに勝たねばなりませんがね、ですが今のあなた方では私に勝つことはできません、ですのでここを引き返して頂けませんか?」


「戦う前から無理と言われても納得すると思いますか?」


「あなた方の戦いは100階層を越えてからずっと見ていましたので、大変素晴らしい実力だと言うことは十分ご理解しています。しかし、それでも今のあなた方では私には勝てない。もしも戦いが始まってしまいますと私は契約によりあなた方を殺すまで戦いを止めることができないのです。ですのでどうか、どうかその命をこのようなところで散らさないで下さい」


 悪魔が深く頭を下げる。

 その頭を狙い槍を突き出す。

 が、悪魔は後ろに下がり槍を回避する。


「チッ、騙されないか。結構演技には自信があったんだがなぁ」


 どうして敵のイケメンって腹黒が多いのだろう? しかもやられ方もほぼ無様になると決まっているよね。


「うんうんなかなかいい演技だったよ。だからご褒美に一撃で倒してあげようと思ったんだよ」


「そんなご褒美いらねえよ、どうせならてめぇらの魂をくれよ。すげー旨そうで楽しみにしてんだよ」


「ほー悪魔が魂を欲しがるのは物語の中だけの話じゃなかったんだね、もっと色々話を聞きたいところだけどこっちも暇じゃなくてね、さっさと終わらせて先に行かせて貰うよ」


 槍でまた悪魔の頭を狙い突き出す。

 悪魔も爪を1メートルほど伸ばすとその爪で槍を防ぐ。

 頭、胴、肩、足と狙いを変えどんどん突き出す。

 悪魔も必死に両手の爪を使い防ごうとしているが、僕の槍のほうが早く悪魔の体には無数の傷ができてきた。


「くそっ、たかが人間の分際で悪魔に手を出していいと思っているのか? もしも俺が消えれば多くの契約者の身に不幸が訪れることになる。お前達の身内に俺と契約したやつがいればそいつは死ぬことになるかもなぁ」


 悪魔がニヤリと笑うとなかなか絵になるものだ。

 僕は槍をピタッと止め、顔色を青くする。


「どういうこと? もしも僕の家族があなたと契約していたら死ぬかもしれないって……」


「はっ、思いあたりがあるようだな、この国は俺の縄張りだからな。もし俺に何かがあれば、そいつも死ぬかもなぁ」


「ど、どうすればいい? あなたは戦いを止めることができないんでしょ?」


「そうだな、俺と契約をすれば何とかしてやっグハッ!」


 委員長が話の最中だと言うのに蛇腹剣の鞭モードで斬りつけた。


「いつまで茶番をしているのかしら?」


「ちゃ、茶番ではない! 分かっているのか、お前のグハッ! おい!いきなり斬りつけグハッ!」


 鞭モードだと爪で上手く防げないのかザクザク斬られている。


「いつまでもお遊びに付き合っている暇はないのよ」


 はぁ、せっかく演技を楽しめていたのに。


「誰がお遊びだ! 真面目な話をしてグハッ!」


「どうせ嘘でしょ、あなたはからかわれていただけなのよ」


「は? 悪魔を騙すとか、それが人間のやることグハッ!」


 悪魔が怒ってこちらを睨んでくるが、もう悪魔に興味がなくなったのでスルー。


「おいお前! こっちを見グハッ! よくもこの俺を謀ってくれグハッ!」


「何を言っているか分からないわ。だからそろそろ終わりにしましょ」


 蛇腹剣を悪魔の体に巻きつける。


「待て! 止めー!」


 そのまま引くとザックリと斬れた。


「ふう、手ごわい相手だった」


「どこがよ、はっきり言って口だけだったじゃない」


「ですがまるで嘘に聞こえなかったです、私は戦わないほうがいいのかと悩みました」


「言っていることほとんど嘘だったけどね、でも演技力は良かったよ」


「演技を褒めても戦う能力がなければ意味がないじゃない」


「戦う能力がないから演技力がついたのではないですか?」


「そうだね、この階層にいたのも口の上手さによるものかもしれないね」


 そういう意味では凄い相手なのかもしれないけど、僕の看破とは相性が良くなかったんだろうね。


「期待外れよね、ステータスの割には弱かったわ」


 もしかしたら偽装系のスキルで誤魔化していたのかも。

 となると名前も2級も嘘かもしれない。


「じゃあ次の階層に行きましょう、最下層手前でしたらきっと強い魔物が出てくると思いますよ」


「そうだね、悪魔がきたのだから次は天使とかもあり得るかもね」


「天使って強いのかしら? あまり強そうなイメージがないのだけれど?」


「そうですね、可愛らしいイメージですよね。少し楽しみです」


 まだ天使と決まった訳じゃないけどね。


お読み頂きありがとうございます。

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