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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
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39 ついにあれを

本日2話投稿

2話目18時


 122階層の扉を開けると、前階層と同じ闘技場タイプであり、魔物の位置も数も同じだった。

 前階層との違いは豚が牛に変わったということだけだ。

 だからそっと扉を閉めた僕の行為は間違いではなかったはずだ。


「ブモーーー!」


 ん? ブモー? 喋られないのか?

 扉を開きそっと中を覗く。

 すると怒ってますって態度で僕を指差し、手で中に入れとジェスチャーしてくる。

 僕が腕を交差し、×の形を作ると、「ブモーー!」と鳴き地団太を踏んでいる。


 ちょっと面白い。

 後ろから委員長のため息が聞こえてきたので怒られる前に入ろう。


「2人ともいい話があるよ」


「いい話? なにかしら?」


「私も聞きたいです」


 ならば話してあげましょう。


「なんとこの牛たちは喋られません!」


「そう、静かでいいわね」


「あ、でもそのほうが戦いやすいです」


 そうだよね、相手にもよるけど、暑苦しいオークなんかは言葉が通じないほうが良かった。


「だよね、だから今夜は安心してステーキが食べれるよ」


「ブモーーー! ブモブモブモーーー!」


「ブモモ、ブモブモブモモ、ブモーーー!」


「ブモーーー!ブモーーー!」


「「「ブモモ、ブモモモモ、ブモモモモモモーーー!」」」


 なんかブモブモ五月蝿い……。


「喋られないんじゃなかったのかしら?」


「何と言っているのでしょうか?」


 ……それは知りたくない。


「……それで委員長、あれは何かな?」


「あれはハイミノタウロスよ」


 ハイミノタウロス? そんなミノタウロスの種族は初めて聞いたよ。でも知性は普通の魔物よりも少し高そう、だけどなんか嫌だ。


「ハイミノタウロスですか、さっきのオーク3兄弟みたいですよね」


「「「ブモーーー!ブモモ、ブモモ、ブモモモモーーーー!」」」


 ハイオーク……もとい、ハイミノタウロス達が怒っているのは分かるけど、こいつらはオーク3兄弟を知っているの?

 階層は1つ違うだけだから行くことができたりするのかも?


「五月蝿い……」


「本当にね、こういうのはさっさと倒すに限るわね」


「すみません、私が変なこと言ったせいで……」


「いや、僕も思っていたから気にしなくていいよ」


「あれは何を言っても五月蝿そうだから気にしなくてもいいわ」


「はい、ありがとうございます」


 委員長の言うとおりさっさと倒しちゃいましょ。


「じゃあ2人とも、今回は完全勝利を目指してがんばろー」


「ええ、前回の反省を生かして今回は勝って見せるわ」


「私も教わった戦い方を使い、勝ちにいきます」


 今回も別々で戦うことにする、今回は前回と違い全員が近接タイプなので天沢には辛いかもしれないが、そこはフォローしていこうと思う。

 僕は一番近場にいるハイミノタウロスに槍で突きにいく。

 ハイミノタウロスはオーク3兄弟と違い鎧を着ていない。おそらくそれは防御力や回避能力に自信がある証拠だろう。


 ハイミノタウロスは持っていた巨大な剣を振り回す。それは技術や型など関係なく、考えなしに好き放題振るっているようだ。

 ただ剣速は早く、力強い。そして自由に振るっているため、動きが読めず攻め難い。

 それならばと魔法を撃ち、動きを止めてやる。


「サンダーランス!」


 撃った魔法がハイミノタウロスの胸に直撃するが、かまわず近づいて剣を振るってくる。

 その攻撃を回避しながら苦戦している天沢のほうに近づいていく。


「天沢、大丈夫?」


「はい、ですが魔法がほとんど効いていないように思えます……」


 魔法防御が高い相手だと天沢にはきついだろう。格闘術は使えるが、あの剣を潜り抜けて攻撃を与えられるほどの技量はない。

 つまり天沢には決定打がないため、ハイミノタウロスの攻撃を避けるしかないわけだ。


「これを使って」


 インベントリから拳銃を取り出し天沢に渡す。市販で最も威力のあるS&W M500って銃らしいんだけど、かなり無骨でいかにもな感じだ。


「これ銃ですよね、どうして持っているんですか?」


「前に秋人の商品売買で購入したんだけど、使う機会がなくてね、ちょうどいいし天沢が使ってくれたらいいよ」


 3人でいると使う必要が本当にないんだよね。さらに障壁と光魔法の組み合わせがあればほぼ銃いらないし。


「秋人君の、分かりました大事に使わせて頂きます」


「弾は全部で5発、魔法と違って弾数には気をつけて。あとしっかり持たないと反動がくるから注意してね」


 たぶんステータスが高いから反動はそこまでないはずだけど。ただかなり強力な拳銃らしいから気をつけておいたほうがいいよね。


「分かりました、これさえあれば勝てます!」


 凄い気合が入ったようだ。でも銃なんて初めて使うんだし、いきなり実戦は厳しいよね。


「僕が前衛をするから、天沢は当てることだけを考えて、まずは相手の胸を狙って撃ってみて」


「はい!」


 収納バッグに杖をしまい、ハイミノタウロスに対し銃を構える。

 2体のハイミノタウロスは僕が槍と障壁で防ぎながら天沢を待つ。


 パーン!と乾いた音と共にハイミノタウロスの1体がふらついた。撃たれたハイミノタウロスも目を見開き驚いている。

 倒せるかと思ったが、そこまで甘くはなかったようだ。だが確実にダメージは与えているようで、撃たれたハイミノタウロスはフラフラしている。


「余裕があるようならヘッドショットを狙って、なければ胸を、当てれば確実にダメージを与えることができるから」


「はい、撃ちます!」


 もう1度パーン!という音と共にふらついていたハイミノタウロスの額に穴が開き倒れた。


 ヘッドショット怖っ!


「や、やったね」


「はい! もう1体も任せて下さい!」


 銃を持ち満面の笑みを浮かべる。ヤバイ人にしか見えないんだけど……。


「う、うん」


「いきます!」


 僕だけでなく、ハイミノタウロスもドン引きしている。そして撃たれないように体を動かし的を絞らせないようにしている。

 動かれると僕も銃の射線上に入るかもしれないから、追うことができない。

 とはいえ、天沢はここまで魔法で数々の魔物の頭を吹き飛ばしてきた女だ。動く的を仕留める技術は十分ある。


 パーン!と音が鳴ると、ハイミノタウロスの額に穴が開き崩れ落ちた。


 終わったか……。

 銃がこんなに強いと今までの苦労はいったいなんだったんだと思うよね。

 もっともステータスによる効果があるからでもあるんだけど。


 後は委員長だけか、そう思って委員長のほうを見るとちょうど戦いが終わっていた。

 委員長も無事勝利したようだ。


 委員長の側に行く。


「やったね、かなり強かったけど1人で倒したんだね」


「ええなんとかね、でも銃声が響いたときは何事かと思ったわ」


「私もまさか銃があるなんて思わなくて驚きました!」


 天沢のテンションがまだかなり高そうだ。そろそろ落ち着いてくれないと怖いんだけど。


「一応保険に持っていたんだけど、使う必要がなかったから仕舞っていたんだよ」


「確かに絶対防御があるあなたには必要ないわよね、でも魔法が効き難い相手には効果的な武器よね銃って」


「はい、今回のような相手は私にとって凄く相性が悪くて。だから時間稼ぎをして2人を待つつもりでいました」


「そこで僕がきたわけだね、何かあればフォローに行こうと思っていたから」


「それで銃はまだあるのかしら?」


 やっぱりきたか。委員長のことだから分かって聞いているんだろうね。


「まだあるのですか!」


 天沢も食いついてきたけど、何故だ?


「予備にもう1丁あるよ、これ」


 インベントリからもう1丁の銃を取り出す。グロック19と呼ばれる人気のある銃だそうだ。


「これは少し小さくないかしら?」


「小さいですよね」


 M500と比べたら大抵の拳銃は小さいと思う。


「大きい銃が欲しいなら秋人にでも頼めばいいよ、あくまで護身用に用意しただけだし」


「護身用にしては天沢さんの使っているのは大きいように思えるのだけど?」


「これは大きいですよね、撃ったときの反動も凄かったです」


 片手で撃ったら反動も凄いでしょ、良くあれでちゃんと当てられるよね。


「異世界だし、何が必要になるか分からないから一応持っていたわけだよ」


「そうなのね」


 委員長が物欲しそうに僕の持つ銃をチラチラ見てくる。


「それが今回役に立ったわけですから凄いことですよ」


「たまたまだよ、好奇心が大半だしね」


「じゃあそろそろ行きましょうか」


「はい」


 委員長が秋人と出会えば銃を購入する未来が見える気がする……。


お読み頂きありがとうございます

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